特定継続的役務と信販契約で売上とトラブルを避ける実務攻略完全ガイド

あなたのエステサロンや学習塾、オンラインスクールの「売上が伸びない理由」と「クレームがじわじわ増える理由」は、集客力ではなく特定継続的役務と信販契約の設計ミスかもしれません。
同じサービス内容でも、「役務の該当判定」「クレジット・カード決済・信販の選び方」「クーリングオフと中途解約の見せ方」を少し変えるだけで、手元に残る現金も、行政リスクも、決済会社の評価もまったく別物になります。

多くのサロンオーナーや学習塾の責任者は、「指定役務かどうか」と「信販会社の審査に通るか」を別々に考えがちです。ところが現場では、

  • 特定継続的役務に限りなく近い販売形態のまま信販を導入し、後から「業種NG」と言われる
  • 塾側だけで解約を受け付け、信販契約の請求が残り続ける
  • エステコースの回数や期間の設計が原因で、決済端末会社からキャッシュレス導入を断られる
    といった構造的なトラブルが繰り返されています。

法律の条文説明や一般的なクーリングオフ解説だけでは、このギャップは埋まりません。必要なのは、「役務契約」と「信販(ローン)契約」という二重構造を前提に、決済スキームと販売形態を同時に設計する視点です。
本ガイドでは、特定継続的役務の該当チェックから、カード決済・継続課金・ショッピングクレジットの比較、行政処分事例、エステサロン・学習塾・オンライン高額コースのケーススタディまでを一気通貫で整理します。

読み進めることで、次のような問いに、自分の頭で判断できる状態になります。

  • うちのサービスは本当に特定継続的役務に該当するのか
  • 決済端末・クレジット・信販をどう組み合わせると「売上」と「紛争リスク」のバランスが取れるのか
  • 広告表示、契約書、同意書、現場トークのどこを直せば、行政指導とクレームを同時に減らせるのか

この記事を読まずに特定継続的役務と信販契約を組むことは、知らないうちに「解約時の損失」と「決済会社からのレッドカード」を抱え込むのと同じです。逆に言えば、ここで紹介する実務ロジックを押さえれば、高額役務でも安心して継続サービスを伸ばしていけます。

以下のロードマップをざっと眺めてから、今の自社の弱点に一番近いセクションから読み進めてください。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
前半(該当チェック〜行政処分リスク) 自社サービスが特定継続的役務に該当するかを判断し、コース設計・販売形態・広告表示・書面構成をどこから直せばよいかが分かる 「うちは大丈夫だろう」という感覚頼みから抜け出し、行政処分や決済会社NGの根本原因を特定できない状態を解消する
後半(業種別ケース〜セルフチェック) サロン・学習塾・オンラインスクールごとの決済設計パターンと、解約・クーリングオフ対応の実務フローをそのまま自店に落とし込める 解約時に利益と信用を同時に失う構造から抜け出し、「売上を伸ばしながらトラブルを減らす」運用に切り替えられない状態を打破する

この先では、キャッシュレス導入前に見直すべき決済スキーム、クーリングオフをあえて前面に出す攻めのコンプラ戦略、そして明日から使えるセルフチェックリストまで、具体的な手順として提示していきます。

  1. まず「うちのサービス、特定継続的役務なの?」をハッキリさせる【該当チェックと販売形態の見極め】
    1. エステサロン・教室・結婚相手紹介…どこまでが規制対象の指定役務か
    2. コース回数・期間・単価で変わる“特定扱い”ライン
    3. 物品と役務をセット販売するときの「販売形態」チェックリスト
  2. 特定継続的役務×信販契約で「よくも悪くも金額が跳ね上がる」構造を理解する
    1. 役務契約+ローン契約の“二重契約”がトラブルのスタート地点
    2. カード決済・継続課金・信販の違いを「クーリングオフ」「中途解約」で比較
    3. 分割・回数の設計で“売上”だけでなく“紛争リスク”も変わる
  3. 行政処分事例に学ぶ「やってはいけない広告・説明・書面」のリアル
    1. 広告等の表示と現場トークがズレると、一気に「禁止行為」扱いになる
    2. 同意書・契約書・概要書面…必要な“書類の束”を一枚ずつ分解する
    3. 行政閲覧等で最初に見られる“規制対象”の該当項目とは
  4. 学習塾・教室がハマりがちな「ローン契約と解約」の落とし穴【ケーススタディ】
    1. 家庭の事情・進路変更で解約希望が出たとき、ローン請求が続くゾッとするケース
    2. 中途解約の精算方法を「入塾前に」どこまで見せるべきか
  5. エステサロン・美容医療が決済端末・クレジット・ローンを選ぶときの実務感覚
    1. エステサロンがキャッシュレス・分割決済を導入する前に整理すべき「施術メニュー」と「コース設計」
    2. クーリングオフを“あえて”前面に出したサロンのほうが長期的に得をする理由
  6. オンライン高額コース・コンサル・スクールは「特定継続的役務の盲点」にどう備えるか
    1. Web+対面・オンライン完結・物品付き…混成型サービスの規制リスク
    2. サブスク課金・継続課金と特定継続的役務のキワどい境目
  7. 信販・決済会社と“ケンカしない”ための契約・運用設計【業界の裏側も踏まえた視点】
    1. 審査で嫌われる販売形態・表示・書類の共通点をさらけ出す
    2. 信販・カード・現金をどう組み合わせるかという“攻めと守り”の選択肢設計
  8. 明日から変えられる「特定継続的役務×信販契約」のセルフチェックリスト
    1. 広告・書面・トークの“三点セット”を揃えて炎上リスクを一気に下げる
    2. 解約・クーリングオフ・中途精算の説明を“あえて”前倒しにする攻めのコンプラ戦略
  9. 執筆者紹介

まず「うちのサービス、特定継続的役務なの?」をハッキリさせる【該当チェックと販売形態の見極め】

「高額コースを組めば売上は伸びる。でも一歩間違えると“特定継続的役務+信販契約”で一発アウト」──ここを直視したサロンや学習塾から、静かに伸びています。

私の視点で言いますと、最初の関門は「うちはそもそも特定継続的役務に該当するのか」を誤らないことです。ここを外すと、決済導入も契約書もすべてズレ続けます。

エステサロン・教室・結婚相手紹介…どこまでが規制対象の指定役務か

特定商取引法の「特定継続的役務」は、ざっくり言えば高額+長期+継続提供のサービス契約です。代表的な指定役務と、グレーになりやすい業種を整理します。

区分 典型例 注意ポイント
明確に指定役務 エステサロン、結婚相手紹介サービス 期間・総額・継続性が揃うとほぼ確実に対象
条件付きで該当し得る 学習塾、語学教室、パソコン教室 コース制・長期一括払い・信販導入で一気に“特定扱い”に近づく
誤解されやすいグレー オンラインスクール、家庭向けコーチング 「オンラインだから安全」は誤り。実態で判定される

業界人の感覚として、オンライン説明+対面提供Web申込+訪問指導といったハイブリッド型は、行政も信販会社も「中身を細かく見に来る」ゾーンだと捉えてください。

コース回数・期間・単価で変わる“特定扱い”ライン

同じサービスでも、設計次第で「特定」になったり外れたりします。ポイントはこの3つです。

  • コース期間(例:6か月超かどうか)

  • 回数(例:10回・20回など、明確な継続役務か)

  • 総額(数十万円規模かどうか)

エステサロンや学習塾でよくあるのが、12か月・一括前払・信販利用という組み合わせ。これは決済会社から見ると「限りなく特定継続的役務に近い高リスク契約」と評価されがちです。

逆に、次のような設計はリスクを下げやすくなります。

  • 期間を6か月未満に分割し、コースごとに契約・決済

  • 月謝制+短期講座の組み合わせで、総額が肥大化しないようにする

  • 高額パックでも、役務提供済み部分を精算しやすい区切りを入れておく

「売りやすい回数設計」だけでなく、「解約・中途精算を説明しやすい設計か」を必ずセットで検討してください。ここを押さえると、クーリングオフ後のトラブルも激減します。

物品と役務をセット販売するときの「販売形態」チェックリスト

特定継続的役務と信販契約の現場で、決済端末会社やクレジット会社が一番嫌うのが、物品と役務がごちゃ混ぜのコースです。審査で落ちやすいパターンと改善ポイントを、チェックリストで整理します。

  • 物品と役務の金額配分が曖昧になっていないか

  • 契約書に「化粧品一式」「教材一式」とだけ書いて内訳が不明になっていないか

  • 役務提供前に物品だけ大量に渡し、役務解約後もローンだけ残る構造になっていないか

  • 「プレゼント」と称しつつ、実態としては物品代を信販に乗せている設計になっていないか

  • 決済端末のクレジット分割・キャッシュレス決済の利用目的を、加盟店規約に即して明確に説明できるか

信販・決済の審査担当は、ここを見ています。

  • 役務と物品の単価が分かれているか

  • 解約時、役務と物品をどう精算するのかルールが書面化されているか

  • 学習塾の教材・エステサロンの化粧品が、「ローンだけ残るための口実」になっていないか

特にエステサロンと学習塾は、「教材付き」「ホームケア付き」という一言で一気に高リスク判定になる業種です。物品は「売上を盛るためのオマケ」ではなく、契約・精算ルールとセットで設計する決済要素と捉え直してください。

特定継続的役務×信販契約で「よくも悪くも金額が跳ね上がる」構造を理解する

高額コースの売上が一気に伸びるか、一発で炎上するかは、「どう決済するか」で8割決まります。サービス内容より、決済スキームが“地雷”になっている店舗を、現場では嫌というほど見てきました。

役務契約+ローン契約の“二重契約”がトラブルのスタート地点

特定継続的役務で信販を使うと、実際には2つの契約が同時に走ります。

  • 事業者と顧客の「役務提供契約」(エステコース、学習塾の在籍契約など)

  • 顧客と信販会社の「立替払い契約(ショッピングクレジット契約)」

私の視点で言いますと、ここを図で説明できない事業者ほど、解約時に揉めます。

解約トラブルの典型パターンは次の通りです。

  • 顧客は「塾(サロン)に解約を伝えれば全部止まる」と思っている

  • 事業者は「役務は止めたが、信販への連絡は顧客任せ」

  • 信販は「立替契約は生きているので請求を継続」

結果、顧客の財布からだけお金が出続け、誰も得をしない構図になります。特定継続的役務を扱うなら、「役務の解除」「信販の解約依頼」「中途精算額の算定」の3ステップをセットで運用設計しておく必要があります。

カード決済・継続課金・信販の違いを「クーリングオフ」「中途解約」で比較

同じ“分割払い”に見えても、実務はまったく別物です。特定商取引法とカード会社・信販会社のルールが混ざると判断を誤りやすくなります。

下の比較表は、エステサロンや学習塾が実際によく悩む3パターンを整理したものです。

決済手段 主なイメージ クーリングオフの扱い 中途解約時の返金フロー 回収リスクの所在
カード分割(端末) 通常のクレジットカード決済 原則、特定継続的役務の要件を満たす場合に適用 事業者がカード会社へ返金処理→顧客の利用額が減額 事業者とカード会社で分散
継続課金(サブスク) 月額自動課金 サービス設計次第。長期一括前提でなければ対象外になりやすい 将来分の課金停止が中心。既払い分の精算ルールが关键 事業者側の未回収リスク高め
信販(ショッピングクレジット) 高額コース専用ローン 特定継続的役務に該当すれば書面交付と共に適用 中途解約精算→信販契約の取消・残債調整が必須 原則、信販会社が回収を担当

ポイントは、「誰と」「どの契約を」「どのタイミングで止めるか」を、顧客に見える形で事前共有することです。ここが曖昧だと、相談窓口は一気に行政・消費生活センター行きになります。

分割・回数の設計で“売上”だけでなく“紛争リスク”も変わる

同じ50万円コースでも、分割回数の切り方で、売上とトラブル率は大きく変わります。

  • 24回払い前後

    • 月々の負担感はまだ現実的
    • 解約時にも「払った分≒受けた役務」の感覚が残りやすい
  • 48回・60回払い

    • 月額は下がるが、「いつまで払うのか分からない」という心理負担が増加
    • 途中退会時に「もう十分払ったはず」という認識ギャップが起きやすい
  • 96回払いや極端な長期

    • 行政から「過大な与信」「過度な長期拘束」と見られやすい
    • 信販・決済会社の審査でも、高リスク販売形態として警戒される

事業者側が「成約率が上がるから」と分割回数だけを引き延ばすと、数カ月後にクレームと相談件数が跳ね上がることが珍しくありません。

役務の提供ペースと支払期間のバランスをとるのが重要です。例えば、エステなら「施術完了時期+数カ月以内」に完済が見込める設計、学習塾なら「在籍予定期間+α」を超えない分割回数に抑えると、紛争リスクは大きく下がります。

特定継続的役務は、単価を上げるための武器になる一方で、決済設計を誤ると「売上は立ったが現金が回らない」「解約精算で利益が吹き飛ぶ」事業に変わります。まずは自社の役務内容と決済手段・分割回数の組み合わせを、この章の視点で棚卸ししてみてください。

行政処分事例に学ぶ「やってはいけない広告・説明・書面」のリアル

「うちはちゃんと説明しているつもり」なのに、ある日いきなり行政から呼び出し――。エステサロンも学習塾も、特定継続的役務×信販契約で飛ぶか伸びるかは、この章の3テーマでほぼ決まります。

特定商取引法の条文そのものより、「広告・トーク・書類」の噛み合い方を押さえた方が、現場ではよほどリスクが下がります。

広告等の表示と現場トークがズレると、一気に「禁止行為」扱いになる

行政処分のファーストトリガーは、悪質な詐欺行為ではなく「言っていることがバラバラ」な状態です。特に、特定継続的役務と信販を組み合わせた高額コースでは、次のズレが鉄板パターンになっています。

よくあるズレの構図

  • Web広告

    「月額1万円で通い放題」

  • 実際の契約

    総額48万円の役務契約+48回ショッピングクレジット

  • 現場トーク

    「実質1日あたり数百円だから負担は軽いですよ」

この瞬間、行政からは「総額の不表示」「割賦販売の誤認誘引」として、禁止行為に極めて近いグレーに置かれます。学習塾・エステサロン・オンラインスクールすべてで、相談窓口の定番パターンです。

広告とトークを揃えるうえで、最低でも押さえてほしいのが次の4点です。

  • 総額(役務+信販手数料を分けて表示)

  • 支払総額と月額の両方

  • 支払回数・支払期間

  • 信販利用が前提か任意かの明示

ポイントは、「月額いくら」だけを前面に出さないこと。私の視点で言いますと、月額だけを推す広告は、決済会社と行政の両方から一発で疑われるフォーマットです。

同意書・契約書・概要書面…必要な“書類の束”を一枚ずつ分解する

特定継続的役務+信販契約は、1人の顧客に対して最低2種類の契約が同時進行する二重構造です。そのため、現場では「紙はたくさんあるのに、中身がスカスカ」という事態が起きやすくなります。

代表的な書類を、役割ごとに整理するとこうなります。

書類名 主な目的 行政が見るポイント
特定継続的役務の契約書面 役務内容・期間・総額の確定 指定項目の欠落、クーリングオフ記載の有無
役務概要書面 事前説明用の要約 説明内容と広告の整合性
信販申込書・契約書 立替払いの条件確認 分割回数・実質年率・手数料表示
同意書(サロン・塾用) カウンセリング内容、リスク説明 「同意済み」と書けば何でも許されるような書き方

行政処分事例で目立つのは、「同意書だけ立派で、法定記載事項を満たす契約書面が薄い」ケースです。

特にエステサロンでは、ビフォーアフター写真への同意、体質に関する確認書はしっかり作る一方、次の項目が抜け落ちています。

  • 施術回数と1回あたりの単価

  • コース期間と開始・終了の基準日

  • 中途解約時の精算方法(算式)

  • 役務提供済み部分の考え方

学習塾・教室でも同様で、「入塾申込書」がレッスン内容のパンフレット+保護者署名に近い扱いになっており、特定継続的役務の契約書面としては要件不足になっていることが少なくありません。

行政閲覧等で最初に見られる“規制対象”の該当項目とは

行政が実地でサロン・塾・スクールをチェックするとき、いきなり細かい条文から入ることはまずありません。「特定継続的役務に該当する販売かどうか」「信販契約との組み合わせ方は適正か」を、次の順番でざっくり見ています。

チェック順 見られるポイント 典型的なNG傾向
1. 広告・LP 高額長期コースの有無、月額表示の仕方 総額不表示、分割回数・期間の不明示
2. メニュー表・コース設計 回数・期間・料金体系 回数無制限、期間あいまい、物販込みの一括表示
3. 契約書・概要書面 特定継続的役務の法定記載事項 クーリングオフ・中途解約条項の欠落
4. 決済・信販スキーム 決済端末・信販会社の利用実態 信販頼みの超長期分割、説明資料の不足
5. 現場トーク スタッフの説明内容 「今だけ」「審査は形だけ」などの過剰誘引

この流れで見ると、最初の3ステップで引っ掛かった事業者から、深掘り調査に進むのが実務感覚です。逆に言えば、広告・コース設計・書面をきちんと揃えておけば、後半のチェックで致命傷を負うリスクはかなり抑えられます。

エステサロンなら「施術回数×期間×単価」、学習塾・教室なら「受講期間×授業数×月謝」、オンラインコースなら「提供コンテンツ×サポート期間×支払方法」。この3点セットが特定継続的役務の該当ラインと信販審査の“入口”になっています。

ここを整理しないままキャッシュレス導入や高額コース販売に踏み込むと、行政処分だけでなく、カード会社や決済端末会社からも門前払いになりやすくなります。

学習塾・教室がハマりがちな「ローン契約と解約」の落とし穴【ケーススタディ】

「退塾したのに、クレジットの請求だけが延々と続く」
この一文に、保護者の怒りと塾の冷や汗がすべて凝縮されています。ここを設計し直さない限り、高額コースと信販導入は“時限爆弾”のままです。

家庭の事情・進路変更で解約希望が出たとき、ローン請求が続くゾッとするケース

学習塾・教室で特定継続的役務に該当するコースを信販で販売すると、実務では常に「二重契約」が同時進行しています。

  • 塾と保護者の間の「役務提供契約」(授業を提供する約束)

  • 保護者と信販会社の「ローン・クレジット契約」(授業料を立替払いする契約)

保護者から見ると「塾としか契約していない」感覚でも、法的には別物です。ここをきちんと分解して説明できていない塾ほど、相談件数が跳ね上がります。

典型トラブルの構造を整理すると次の通りです。

  • 解約の連絡先が「担任講師」「教室長」の口頭で終わる

  • 信販契約の存在を保護者が正確に理解していない

  • 塾側も「信販会社への解約連絡フロー」をマニュアル化していない

その結果、次のギャップが生まれます。

項目 保護者の認識 実際の契約状態 発生するリスク
退塾の連絡をした時点 塾もローンも止まる 役務契約のみ終了の可能性 請求が続き「二重取り」と誤解される
中途解約時の精算額 翌月分からストップ 既提供役務分+違約金が残ることも 金額の乖離から行政相談へ発展
クーリングオフ 「塾をやめれば全部ゼロ」 信販契約側の手続が別に必要 信販会社への不信感・口コミ炎上

公的な消費生活相談でも、学習塾×信販×解約の組合せは毎年コンスタントに寄せられています。特定継続的役務の構造を理解せずにキャッシュレスや決済端末を導入した塾ほど、「そんなつもりじゃなかった」系トラブルに巻き込まれやすい、というのが業界人の肌感覚です。

私の視点で言いますと、「解約窓口を誰にするか」と「信販への通知フロー」を決めずに高額コースを売り始めるのは、ブレーキ配線をしないまま車検を通すようなものです。

中途解約の精算方法を「入塾前に」どこまで見せるべきか

多くの塾がやらかしているのは、次の順番です。

  • 入塾前は「月額いくら」「総額お得」とだけ強調

  • 契約書の奥に「中途解約精算の条項」を小さく記載

  • 退塾希望が出て初めて、精算方法を持ち出す

これでは、保護者からすれば「後出しジャンケン」です。特定継続的役務として信販契約を組むなら、入塾前に“退塾後の財布”まで見せる必要があります。

事前に示しておくべきポイントは最低でも次の通りです。

  • 特定継続的役務に該当するコースであること

  • 信販・クレジット契約と役務契約が別物であること

  • 中途解約時の精算ロジック(役務提供済み分+手数料の考え方)

  • クーリングオフ期間と、その後の解約手続の流れ

そのうえで、保護者に渡す資料には「モデルケース」を数字入りで載せておくと効果的です。

想定ケース 前提条件 解約タイミング 保護者が支払う総額イメージ
12か月コース一括信販 総額36万円・月3万円相当 3か月目で中途解約 3か月分授業料+手数料の一部
大学受験2年コース信販 総額96万円・24回払い 高2の3月で退塾 提供済み月数分+教材費の扱いを明示
季節講習セットパック 本科+講習パック48万円 本科のみ継続希望 パックの内訳と再計算方法を図解

ポイントは、「途中でやめたら、家計からどれくらいお金が出ていくか」が一目で分かる資料にすることです。これは保護者の安心材料になるだけでなく、信販会社の加盟店審査でも「説明責任を果たす塾」として評価されやすくなります。

学習塾が特定継続的役務と信販契約を組み合わせるなら、売上だけでなく「解約後のストーリー」まで設計して初めてビジネスとして完成します。ここを作り込んだ教室ほど、単価を上げても紹介入塾が止まらず、行政リスクも極端に低い状態を維持しやすくなっています。

エステサロン・美容医療が決済端末・クレジット・ローンを選ぶときの実務感覚

「コース単価は上げたのに、決済とクーリングオフで神経をすり減らしている」サロンは、決済の“選び方”で損をしています。特定継続的役務に該当する瞬間、カード会社と行政の“監視モード”が一気にオンになるからです。

エステサロンがキャッシュレス・分割決済を導入する前に整理すべき「施術メニュー」と「コース設計」

導入前に決めるのは端末のメーカーではなく、役務の設計図です。ここを曖昧にしたままショッピングクレジットや分割決済を入れると、審査NGか、通ってもトラブルの温床になります。

まず、次の3点を紙に書き出してください。

  • 施術メニューごとの「回数」「期間」「総額」

  • 物品の有無と金額割合(化粧品・ホームケア機器など)

  • 説明と契約の場所(オンライン/対面/ハイブリッド)

この整理をした上で、決済スキームの候補を比較すると現場の迷いが激減します。

決済手段 特徴 特定継続的役務との相性
通常カード決済 都度払い・一括中心 コース長期化で返金フローが複雑化
カード分割(端末) 上限額・回数はカード会社依存 高額長期だとクレーム時の火種に
信販(ショッピングクレジット) 役務+立替契約の二重構造 クーリングオフ・中途解約の設計必須

私の視点で言いますと、「物販込み・長期・高額」なのに信販を使わずカード分割で逃げ切ろうとする設計が、実務上いちばん炎上しやすいパターンです。

クーリングオフを“あえて”前面に出したサロンのほうが長期的に得をする理由

業界ではまだ「クーリングオフは最後まで言いたくない」という空気が残っていますが、特定継続的役務+信販では逆効果です。信販会社も行政も見ているのは、「不利な情報を最初に出しているか」だからです。

クーリングオフと中途解約を前面に出すサロンほど、次の3つの数字が下がりやすくなります。

  • 契約後すぐのキャンセル率

  • 「聞いていない」と主張される相談件数

  • 信販会社からの紹介停止・加盟店解除リスク

現場で有効だった“攻めの説明フロー”の一例です。

  • カウンセリング序盤で「クーリングオフできます」「途中解約の計算式はこれ」と明示

  • コース提案時に「24回払うと総額はいくらになるか」を紙で見せる

  • 契約書だけでなく、概要書面・同意書にもクーリングオフ条項を重ねて記載

このスタイルに切り替えたサロンでは、相談自体は減らなくても「揉める前に早期相談してくれる顧客」が増えるため、結果として売上も信販の評価も安定しやすくなります。クーリングオフを“防御壁”ではなく“信頼の保証書”として設計したサロンだけが、高単価と継続を両立できます。

オンライン高額コース・コンサル・スクールは「特定継続的役務の盲点」にどう備えるか

「Zoom説明会だけで300万円のコンサル契約がサクッと売れた」
この成功パターンが、そのまま行政処分と信販停止の入口になっているケースが増えています。

オンライン完結だから安全、物品を混ぜたから特定継続的役務に該当しない──そう思った瞬間から、地雷原の上で継続決済を踏み抜くリスクが立ち上がります。

オンラインスクール、コンサル、ハイブリッド講座のオーナーにとって、ここは「売上設計」と「特定商取引法対応」を同時に設計し直すゾーンです。

Web+対面・オンライン完結・物品付き…混成型サービスの規制リスク

特定継続的役務かどうかは、「オンラインかオフラインか」ではなく実態として何をどれだけ継続提供しているかで判定されます。

混成型サービスで特に危ないのはこの3パターンです。

  • Web説明会→対面契約→数十万円〜の長期コース

  • オンライン完結だが、半年〜1年以上の継続サポート付き高額コンサル

  • 動画教材+チャットサポート+個別面談をセットにした高額講座

下の表は、現場で問題化しやすい組み合わせをまとめたものです。

販売形態 規制リスクのポイント 信販・決済の該当懸念
Web説明+対面契約 勧誘過程が見えにくい、説明録音なし 特定継続的役務+クレジット契約の疑い
オンライン完結・長期サポート 実質は教室型役務に近い クーリングオフ説明不足の相談多発
物品+継続サポートセット販売 物品と役務の価格配分が不透明 決済会社から「業種NG」「販売形態NG」判定

私の視点で言いますと、「指定役務ではないから大丈夫」なオンライン講座ほど、信販導入後に“後出し指導”を受けて青ざめるパターンが目立ちます。役務の中身が教室型に近いのに、広告も契約書も「情報商材」「コンテンツ販売」とだけ書いてしまうのが典型です。

混成型で最低限やるべきは次の3つです。

  • サービス実態を「時間」「回数」「サポート内容」で棚卸しし、継続役務性を自分で認識する

  • 広告・申込フォーム・契約書で、サポート期間と提供回数を数値で明記する

  • 物品(教材・機材)と役務をセットにする場合は、それぞれの対価を分けて表示し、決済会社にも同じ説明資料を出す

サブスク課金・継続課金と特定継続的役務のキワどい境目

「うちは月額サブスクだから特定継続的役務ではない」という判断はかなり危険です。
支払いの形がサブスクでも、中身が長期コースなら“実質”継続役務と見られます。

ポイントは、次の3軸で見分けることです。

  • 期間固定かどうか

    • 「最低12カ月継続」「1年パックのみ」は、実質一括役務に近い
  • 提供量が前提化されているか

    • 「月2回の個別指導を1年間」など、回数が約束されていると特定継続的役務に接近
  • 途中解約の精算ルールがあるか

    • 一括前提で中途解約金を計算している場合は、役務契約+決済の二重構造と評価されやすい

サブスクと一括・信販の違いを、紛争リスクの観点で整理するとこうなります。

決済スキーム 利用者の印象 規制上の見られ方 典型トラブル
純粋サブスク(月ごと解約自由) 気軽な利用 特定継続的役務に当たりにくい 解約手続きの分かりにくさ
名ばかりサブスク(最低期間あり) 月額と誤認しやすい 実質長期役務と評価されやすい 中途解約金をめぐる紛争
信販・分割(回数確定) 本気の長期契約 特定継続的役務+クレジットの典型構造 クーリングオフ・中途精算の説明不足

オンラインスクールやコンサルがサブスクを盾にコンプラを軽く見ると、相談件数は減らず決済会社の評価だけが下がる、という現場感覚があります。

サブスク型でも、次を徹底しておくと信販・カード会社との相性が一気に良くなります。

  • 利用規約で「解約のタイミング」「締日」「その月の役務提供範囲」を、カレンダー例付きで説明

  • 実態として1年以上の継続利用を前提にしている場合、その前提と中途解約時の考え方を申込前資料で開示

  • 高額コースに関しては、サブスク+信販+カード一括の選択肢を並べたうえで、どの決済でもクーリングオフ・中途解約の窓口を一本化する

オンライン高額コースは、設計を少し変えるだけで「グレーゾーン事業者」から「決済会社に歓迎される継続サービス」に化けます。役務の中身と決済の形を切り離さず、最初からセットでデザインすることが、飛ぶか伸びるかの分かれ目です。

信販・決済会社と“ケンカしない”ための契約・運用設計【業界の裏側も踏まえた視点】

「売上アップのつもりで信販や分割決済を入れたら、決済会社に止められ、行政にも突っ込まれ、現場も大混乱」
ここを避けられるかどうかが、サロンも塾も“飛ぶか・詰むか”の分かれ目です。

私の視点で言いますと、信販・カード・現金の設計は「どの決済を使うか」ではなく「どのリスクを残すか」を選ぶ作業です。

審査で嫌われる販売形態・表示・書類の共通点をさらけ出す

信販会社や決済代行の加盟店審査で落ちるサロン・学習塾・オンラインスクールには、驚くほど同じパターンがあります。業種よりも「売り方」の問題です。

代表的なNGポイントを整理します。

  • 役務内容が抽象的すぎる

    • 「自分史上最高の美ボディコース」「総合学力アップ講座」だけで、回数・期間・提供内容が不明
  • 特定継続的役務に“限りなく近い”のに、その自覚がない

    • エステサロンで6カ月・30万円超、学習塾で1年以上の一括払いなのに、特定商取引法の書面不備
  • 物品と役務を不透明にセット

    • 「教材付き」「ホームケア化粧品付き」なのに、物品と役務の単価を分けていない
  • 広告と契約書・現場トークがバラバラ

    • LPは「月額1万円〜」なのに、実態は信販96回・総額80万円
  • 同意書はあるが、特定商取引法の契約書面がスカスカ

    • クーリングオフ・中途解約・役務提供済み額の算定方法が書かれていない

特に、「特定継続的役務に該当し得るのに、自覚なく“普通のサービス”扱いしているケース」は、信販側も行政も最も警戒します。

審査現場で実際に嫌われやすいパターンを表にまとめるとこうなります。

項目 嫌われる例 評価されやすい例
役務の説明 抽象的キャッチコピーのみ 回数・期間・提供内容を具体的に列挙
特定継続的役務対応 法定書面なし・クーリングオフ記載なし 特商法書面+概要書面+同意書が一式揃っている
物品とのセット 一括金額のみで内訳なし 役務と物品の金額を明確に分離
広告表示 「月額◯円」だけ強調 総額・支払回数・実質年率をセットで表示
解約説明 申込時はほぼ説明せず 中途解約の精算例を事前資料で提示

ポイントは、「規制を避ける」のではなく、「規制前提で透明に設計する」と審査が一気に通りやすくなるところです。

信販・カード・現金をどう組み合わせるかという“攻めと守り”の選択肢設計

同じ30万円のコースでも、決済の組み立て方で「売上の伸び方」と「トラブルの出方」はまるで変わります。エステサロンも学習塾も、ここを感覚で決めると痛みます。

よく使われるパターンと、攻め・守りのバランスを比較します。

決済スキーム 攻め(売上拡大) 守り(リスク管理) 向きやすい業態
全額信販(ショッピングクレジット) 高額役務を一気に提案しやすい クーリングオフ・中途解約の運用を間違えると一気に炎上 高額エステ・長期学習塾
初回現金+残り信販 本気度の高い顧客を取りやすい 解約時に「現金分」と「信販分」の精算設計が必須 サロン・コンサルスクール
一部現金+カード分割 決済端末での対応で導入しやすい カード会社のチャージバックリスクに注意 中価格帯の教室・スクール
毎月現金(口座振替) 特定継続的役務のグレーから距離を取れる 未収・滞納の管理コストが高い 小〜中規模の学習塾
サブスク型カード継続課金 退会手続きが分かりやすいと好評価 実態が長期一括役務に近いと特商法の指導対象になり得る オンラインスクール・コーチング

攻めと守りを両立させるなら、次の設計が現場で機能しやすいと感じます。

  • 役務のコア部分は「特定継続的役務」前提で設計

    • 契約書・概要書面・クーリングオフ・中途解約の算定方法をあらかじめ固める
  • 高額一括は信販、低額・短期はカードや現金で切り分け

    • 例:エステは6カ月以上かつ20万超のみ信販、それ未満はカード分割または現金
  • サロン・塾現場には「決済別の解約フロー」をマニュアルで明示

    • 「信販の場合の解約手順」「カード決済の場合の返金手順」「現金のみの場合の中途精算」をそれぞれ図にしておく

特に、「塾には解約を言ったが、信販会社には伝わっておらず請求だけ続く」という国の相談事例は、決済スキームの設計とマニュアルの不足が招いています。

  • 契約時に「役務契約の解約」と「信販契約の解約」が別物であることを伝える

  • 受講生・保護者から解約連絡が来たら、同じ日付で信販会社にも解約連絡を入れるフローにする

この2点を徹底するだけで、「特定継続的役務×信販契約」の相談リスクは体感で半減します。

エステサロン、学習塾、オンラインスクールすべてに共通するのは、「売り方」と「決済の組み立て」が、特定商取引法と信販会社の視点に沿っているかどうかです。
ここを押さえておけば、売上を伸ばしつつ、行政処分や決済停止を遠ざける“攻めと守りの決済設計”が見えてきます。

明日から変えられる「特定継続的役務×信販契約」のセルフチェックリスト

「広告は攻めてるのに、契約とトークは昭和のまま」──このギャップが、サロンも塾も一瞬で炎上モードに入るスイッチです。
ここでは、エステサロンオーナーも学習塾責任者も、明日から実務を変えられる“セルフ点検の型”だけを絞り込みました。

広告・書面・トークの“三点セット”を揃えて炎上リスクを一気に下げる

まず押さえるべきは、「何を売るか」ではなく「どの順番で、どの媒体で、どう説明しているか」です。現場で行政指導を見てきた業界人の感覚として、次のズレがあると一気に危険ゾーンに入ります。

  • 広告:月額表示だけ派手、総額・期間・信販利用が小さすぎる

  • 書面:特定継続的役務の契約書面が薄く、同意書だけ充実

  • トーク:クーリングオフ・中途解約の説明が、契約後か質問された時だけ

この3つを、一つの“設計図”としてそろえてください。

チェック項目 サロン(エステ・美容) 学習塾・教室 オンライン高額コース
広告の金額表示 総額・回数・支払方法まで同一フォーマットか 月謝と一括ローンを明確に分けて表示しているか 「サブスク」と「長期一括」を混在させていないか
契約書・概要書面 特定継続的役務の必須記載+クレジット利用欄があるか 中途解約の精算例が金額付きで入っているか オンライン説明と同じ文言になっているか
現場トーク 事前カウンセリングで必ず読む“説明台本”があるか 講師任せにせず、統一スクリプトを配布しているか Zoom説明会用スライドと契約内容が一致しているか

広告・書面・トークを見比べて、「一番弱い媒体に他を合わせる」のではなく、「一番正直な媒体に合わせて底上げする」のがポイントです。

解約・クーリングオフ・中途精算の説明を“あえて”前倒しにする攻めのコンプラ戦略

特定継続的役務と信販契約が絡むと、役務契約+立替払い契約の二重構造になります。ここをぼかした瞬間に、クーリングオフと中途解約が爆発ポイントになります。

私の視点で言いますと、クレジット導入がうまくいく店舗・塾は、例外なく「嫌な話」を先に出します。セルフチェックでは、次の順番を使ってください。

  1. 初回カウンセリング・体験時に
    「クーリングオフできる期間」と「どこに連絡すれば止まるか(店舗か信販か)」を説明する
  2. 契約前の見積書・シミュレーションで
    「途中でやめたらこの金額になる」という中途精算の具体例を1〜2パターン入れる
  3. 契約書面に
    役務提供済み分の算定方法を、日割り・回数割りのどちらなのかはっきり記載する
  4. 説明をした証拠として
    顧客の署名欄とは別に「クーリングオフ・中途解約説明を受けました」チェック欄を設ける

この4ステップを通すと、信販会社の目線でも次の評価につながります。

  • 「解約時のトラブルで立替金が焦げ付きにくい加盟店」

  • 「特定継続的役務を理解している事業者」として長期的に枠を出しやすい

解約の話を隠すほど、顧客も行政も“後出しジャンケン”と受け止めます。
クーリングオフと中途精算を前に出せる店舗ほど、売上も継続率も残る、ここが現場で見えているリアルな相関です。

執筆者紹介

主要領域はビジネスクレジット事務代行と信販・分割決済導入支援。特定継続的役務に該当し得るサロン・学習塾・スクール等の加盟店契約や決済スキーム設計を日常的にサポートしています。決済会社・信販会社の審査観点と、公的機関の相談事例・業界の実務慣行を踏まえ、「売上を伸ばしつつ行政処分とクレームを避ける」ための運用設計を解説できる立場から本記事を執筆しています。