ホームページ制作の分割審査落ちから逆転する決済モデル実務ガイド詳解

ホームページ制作の分割審査に一度でも落ちているなら、その瞬間からあなたのビジネスは「集客の遅れ」と「資金繰り悪化」という二重の損失を抱えています。しかも多くの場合、その原因は属性や信用情報そのものではなく、決済モデルと申込の設計ミスです。この構造を知らないまま他社に申し込み直しても、結果はほとんど変わりません。

ホームページ制作 分割 審査落ちの相談を見ていると、次のようなパターンが目立ちます。

  • PCやスマホのローンは通っているのに、なぜかHP制作費だけ通らない
  • 制作会社が善意で自社分割を引き受け、延滞から制作クオリティと評判が一気に崩れる
  • リース営業の提案をよく理解しないまま契約し、後から「解約できない」「所有権がない」と気づく

これらはすべて、「どの決済モデルで、どのような設計で申し込んだか」で結果が変わる領域です。属性をいじることはできませんが、決済モデルの設計は今日から変えられます。

このガイドでは、一般的なローン解説では触れられない、ホームページ制作ならではの実務に踏み込みます。信販・クレジット・リース・自社分割を一括りにせず、審査ロジックと契約リスクの中身を分解し、「審査落ち」から「決済モデルの再設計」に切り替えるための具体的な手順を示します。

特に、次のような方に向けた内容です。

  • HP発注側の中小企業オーナー
    → 審査落ちでも事業の成長スピードを落とさないために、どこまで分割に頼り、どこから別の資金調達に切り替えるかを判断したい人
  • 小規模Web制作会社の経営者
    → 自社分割やリース提案を武器にしたいが、貸倒れやクレームで制作現場が崩壊するのは避けたい人
  • 高額スクール・塾など役務ビジネス事業者
    → ホームページ制作と同じ構造の「役務×分割×審査落ち」を安全に乗りこなしたい人

この記事の核心は、「審査に落ちた案件を、別の決済モデルと申込設計に載せ替えて通す」ための実務ロジックです。属性を魔法のように書き換える話ではありません。
代わりに、次のような現場レベルの打ち手を手に入れてもらいます。

  • 審査に出す前に「通すべき案件/出さない方がいい案件」を見極めるチェックリスト
  • 自社分割で延滞が出たときに、制作・回収・キャッシュフローへのダメージを最小化する考え方
  • リース・ローン・信販・カード決済を組み合わせ、成約率と手元資金の両方を守る設計図

導入で細かな数字や審査基準はあえて深掘りしません。ここから先の各セクションで、ホームページ制作 分割 審査落ちの「よくある勘違い」と「打開パターン」を、決済モデルごとに具体的に分解していきます。

まずは全体像として、このガイドで手に入る実利を整理しておきます。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
構成の前半(全体像〜共通パターン〜自社分割〜決済比較〜審査落ちからの逆転) 審査が落ちる理由を属性・借入・申込設計のレベルで切り分け、案件ごとに「通すための再設計案」を描ける視点 「なぜホームページ制作の分割だけ通らないのか」「どこを直せば再チャレンジできるのか」が分からない状態
構成の後半(自己診断〜決済モデル設計図〜思い込みの整理〜実務ガイド) オーナー・制作会社それぞれが使えるチェックリストと決済モデル設計図を持ち、分割を武器として安全に活用できる体制 審査落ち=ブラック、分割=危ないといった思い込みに縛られ、機会損失と貸倒れリスクの両方を抱えている状態

ここから先は、「もう通らない」と諦める前に、何を分解し、どこから組み直せばいいのかを具体的に見ていきます。

  1. 「ホームページ制作×分割×審査落ち」で何が起きているのか?まずは全体像を冷静に整理しよう
    1. ホームページ制作費だけ“なぜか通らない”という不思議な現象
    2. PCやスマホのローンと、HP制作の分割審査の決定的な違い
    3. 審査に落ちた瞬間に、制作会社とオーナーの頭の中で起きていること
  2. 審査に落ちる人の「共通パターン」を分解する――属性・借入・申込設計のどこでNGになっているのか
    1. 信販・クレジット審査で見られている「5つのシグナル」とHP制作案件ならではの落とし穴
    2. 善意の“情報盛りすぎ”が虚偽申告扱いになるケースと、申込書の書き方のリアル
    3. 「分割回数」「月々の返済額」「他のローン」とのバランスチェックリスト
  3. 自社分割で痛い目を見る制作会社がやりがちな3つの失敗パターン
    1. 延滞1件から始まる“貸倒れ連鎖”――クオリティ低下と回収業務の現場
    2. 「今月だけ待ってほしい」というLINE・メールのやり取りが続いたとき、現場で本当に起きていること
    3. 善意の後払い提案が、制作ビジネス全体の損得勘定を狂わせる理由
  4. リースとローンと信販を一緒くたにしない――決済モデル比較で見えてくる本当の契約リスク
    1. リース営業のセールストークを“分解”する:所有権・解約金・更新のチェックポイント
    2. リース料率・総支払額・制作物の内容を一枚のシミュレーションで比較する考え方
    3. 「リース=悪」「信販=正義」という単純な図式では語れない業界のリアル
  5. 審査落ちから逆転した案件のビフォーアフター:決済モデルを変えたら何が変わったのか
    1. 他社信販で3連続否決だった案件が“設計図の書き換え”で通過したケーススタディ
    2. 申込者の選び方・役務と機器の内訳・分割回数を変えたときのビジネスインパクト
    3. 成約単価・入金スピード・制作クオリティの三立てを狙う設計のコツ
  6. 「審査に出す前」にやるべき自己診断:オーナー・制作会社それぞれのチェックリスト
    1. オーナー側:収入・借入・返済額の“許容度”を冷静に測る自問シート
    2. 制作会社側:案件の内容・価格・分割条件を見極める事前診断フロー
    3. 「この条件なら別の調達手段を優先した方がいい」ラインの引き方
  7. 制作会社が分割決済を導入するときに外せない“決済モデル設計図”の描き方
    1. クレジットカード・ショッピングクレジット・自社分割・リースの役割分担をどう組み合わせるか
    2. 業種別に変わる決済モデルのマッチパターン(中小企業のHP・スクール・ECなど)
    3. 審査スピードと成約率のバランスをとるための「複数ルート設計」という発想
  8. 「分割=危ない」「審査落ち=ブラック」という思い込みを一度手放す
    1. 消費者ローン情報と事業用HP投資を混同したときに起きる判断ミス
    2. ブラックだから落ちた?というよくある質問への“ビジネス目線”のアンサー
    3. 審査に落ちても「次の一手がある人」と「チャンスを逃す人」の決定的な違い
  9. 現場の打開策から学ぶ:中小企業と制作会社が“分割”を武器にするための実務ガイド
    1. 実際にあった相談ケースを分解する:質問→回答→決済モデルの再提案の流れ
    2. 決済導入事例に共通する、売上UPとリスク回避を両立させる設計のポイント
    3. 「分割があるから決まる案件」「一括にした方がいい案件」を見極める目線を持つ
  10. 執筆者紹介

「ホームページ制作×分割×審査落ち」で何が起きているのか?まずは全体像を冷静に整理しよう

「車もPCもローン通ったのに、ホームページ制作だけ審査落ちしました。」
現場で一番よく聞くこの一言に、すでに“答えの半分”が隠れています。

多くのオーナーも制作会社も、「審査=属性や年収だけで決まる」と思い込んでいますが、ホームページ制作の分割は“何を・誰に・どう請求するかという設計”のミスで落ちているケースが目立ちます。
属性ではなく「申込の組み立て方」が敗因になっている案件が、想像以上に多いのが現場の実感です。

ホームページ制作費だけ“なぜか通らない”という不思議な現象

同じ30万円の分割でも、PCは通ってHP制作は落ちる。ここで起きているのは「不公平」ではなく“取扱い区分の違い”です。

信販側の見え方を整理すると、ホームページ制作は次のように映ります。

  • 形が残りにくい「役務・サービス」が大半

  • 成果物の価値が“目に見えにくい”

  • 制作会社の管理レベルにより、満足度の振れ幅が大きい

その結果、同じ金額でも「物販ローンより慎重に見る」傾向が生まれます。

申込の中身を分解すると、こうした“通りにくくなる要素”が混ざっていることが多いです。

項目 通りやすいパターン 通りにくい典型例
申込名義 代表者個人or法人 実態の弱い個人事業主名義のみ
内容区分 サーバー代・機器と役務を分けて記載 すべて「HP一式」で一本化
金額設計 初期費用+月額で分離 高額一括を長期分割

「同じ30万円でも、“書き方次第で別物として扱われる”」ここを理解できると、闇雲な再申込から卒業できます。

PCやスマホのローンと、HP制作の分割審査の決定的な違い

PCやスマホのローンと、ホームページ制作の分割審査は、中身がまったく別ルールと思った方が早いです。

見られているポイント PC・スマホローン ホームページ制作 分割
対象 物販100% 役務+物販が混在
担保イメージ 本体が残る 形が残りにくい
申込設計の影響 書き方の影響は小さい 書き方で通過率が激変
審査NGの主因 属性・他社借入 申込設計ミス+属性

現場でよくあるのが、制作費・広告運用費・コンサル費・サーバー費を「HP制作プラン」とだけ書いて一本化してしまうパターンです。
信販側から見ると「中身の見えない高額役務」に見え、慎重判断になりやすくなります。

役務と物販を分ける・分割回数を現実的にする・申込者を適切に選ぶ
この3つを整えた瞬間、それまで否決続きだった案件が通過した事例は少なくありません。

審査に落ちた瞬間に、制作会社とオーナーの頭の中で起きていること

審査否決の通知が来た瞬間、現場ではこうした“ズレ”が同時多発します。

  • オーナー側の頭の中

    • 「自分はブラックなのか?」
    • 「この制作会社、大丈夫なのか?」
    • 「別の会社なら通るのでは?」
  • 制作会社側の頭の中

    • 「また否決か…営業トークが悪かったのか?」
    • 「単価を下げるしかないか」
    • 「自社分割に切り替えるしかないか?」

本当の問題は「誰のせいか」ではなく、“どこが設計としてまずかったのか”が共有されないことです。
説明不足のまま「審査落ちしました」で終わらせると、オーナーは不信感を抱き、案件がそのまま飛ぶケースが少なくありません。

ここで必要なのは、「属性が原因か」「申込設計が原因か」を切り分ける視点です。次の章では、この“切り分け”に直結する共通パターンを具体的に分解していきます。

審査に落ちる人の「共通パターン」を分解する――属性・借入・申込設計のどこでNGになっているのか

「属性も年収もそこそこ、家電ローンは通るのに、ホームページ制作の分割だけなぜか落ちる。」
現場で何度も見てきたパターンだが、多くは“人”ではなく“申込の設計”で落ちている

ここでは、信販会社の審査目線と、HP制作案件特有のクセを混ぜて、“落ちる筋道”を解剖する。

信販・クレジット審査で見られている「5つのシグナル」とHP制作案件ならではの落とし穴

信販側が見ているのは「この人が悪いかどうか」ではなく、「この契約がシステム上どれくらい危険に見えるか」だ。現場感覚で整理すると、主なシグナルは次の5つ。

信販が見る5つのシグナル

シグナル 中身 HP制作での落とし穴
属性 勤続年数・業種・雇用形態 開業1年未満の法人・個人事業主で一気に高額申込
返済負担 既存ローンとの合計返済比率 車・カードリボと合わせて月額が実収入に対して重すぎる
事故情報 延滞・債務整理・強制解約歴 過去の携帯・カード延滞の影響を本人が把握していない
取引履歴 その会社との過去の契約状況 同じ信販での過去解約トラブルが残っている
申込設計 金額・回数・名義・契約内容 役務と物販の内訳がおかしい、名義と実態がズレている

HP制作案件で多いのは、5つ目「申込設計」だけでアウトになるケースだ。

典型的なのが、以下のような設計ミス。

  • すべてを「ホームページ一式」として申込

    → サーバー・PC・広告運用・コンサルまで全部ひとまとめにして、役務と物販の区別が曖昧

  • 「機器0、役務100%」なのに、リース的な期間・金額で申込

    → 信販側から見ると「解約されたら何も残らない高額役務」と判断されやすい

  • 代表者ではなく「スタッフ名義」で申し込み

    → 実際の支払主体と異なるため、リスク高と見なされるケース

金額より先に“構造がおかしい契約”がはじかれる、というのが制作案件ならではのポイントだ。

善意の“情報盛りすぎ”が虚偽申告扱いになるケースと、申込書の書き方のリアル

審査を通したくて、制作会社もオーナーもついやりがちなのが「盛りすぎ申告」。これが一番危ない。

代表的な“悪気はないのにアウトになるパターン”は次の通り。

  • 年収を「予測ベース」で書いてしまう

    → 「今年はこのくらい行くはず」と見込み数字を書く

  • 勤続年数・開業年数を端数切り上げ

    → 実際は1年3カ月なのに「2年」と記入

  • 申込者と実際の支払者が違う

    → 法人のHPなのに、個人家族名義で申し込む

  • 「家賃」「住宅ローン」「他社借入」を少なめに書く

    → 実支出より軽く見せてしまう

問題は、他の情報ソースと照合したときに“矛盾”として検知されることだ。
信用情報・住所情報・勤務先情報などと突き合わせたとき、数字のブレが大きいと「誤入力」ではなく「虚偽」と扱われるリスクがある。

申込書記入で守りたいリアルなポイントはシンプルだ。

  • 年収は「源泉徴収票・確定申告書」の数字をベースにする

  • 勤続・開業年数は「開業日・入社日」から素直に計算

  • 名義は「実際に返済原資を生む人・法人」に合わせる

  • 不明点は空欄にせず、制作会社経由で信販に確認してから書く

制作会社側は、「盛れば通る」ではなく、“矛盾しない情報で通す”サポートをする方が、長期的には成約率が安定する。

「分割回数」「月々の返済額」「他のローン」とのバランスチェックリスト

多くの審査落ちは、「属性NG」ではなく、返済設計のバランス崩れが引き金になっている。
ざっくり言えば、「この月額なら、この人の財布には重すぎる」と判断される状態だ。

そこで、審査前にオーナーと制作会社双方でチェックしておきたい観点を整理する。

返済バランスのセルフチェックリスト

チェック項目 目安・ポイント
HPの月々支払額 手取り月収の20%以内に収まっているか
既存ローン総額 車・住宅・カードリボなどを合算し、HP含めて30〜35%以内か
分割回数 「耐用年数」より長くしすぎていないか(例:3年で作り替えるHPを7年払いにしない)
ボーナス併用 事業者の場合、ボーナス頼み設計は避ける
キャッシュの余力 3カ月分の返済額くらいは、現預金でカバーできるか
事業の収益化タイミング HPからの集客・売上が立つまでの期間と返済開始タイミングは合っているか

ここで特に見落とされがちなのが、「耐用年数」と「分割回数」のズレだ。

  • 3年後にはフルリニューアル前提のサイト

    → 7年分割にすると、リニューアル時期にまだ前のローンが残り、次の投資ができない

  • 逆に、事業立ち上げ期で資金繰りがシビアなのに、24回など短期に詰め込みすぎ

    → 月額が跳ね上がり、審査上もリスク高に見える

制作会社が決済パートナーとして頼りにされるのは、「月額を下げましょう」か「そもそも別の調達手段(補助金・リース・カード)にしましょう」まで踏み込んで提案できるときだ。

審査落ちを「信販が厳しい」で終わらせず、
属性・借入・申込設計のどこで赤信号が灯っているかを分解していくと、次の一手が見えてくる。

自社分割で痛い目を見る制作会社がやりがちな3つの失敗パターン

「売上を取りたい」「お客さんを助けたい」で始めた自社分割が、気づけば“回収会社ごっこ”に変わっていく。
ここを間違えると、儲かるはずのHP制作事業が、一気に「貸倒れとストレスの沼」になります。

自社分割の失敗は、きれいに3パターンに集約されます。

  • 回収リスクを甘く見て、1件の延滞から崩れ始めるパターン

  • ずるずると支払い猶予を出し続けて、制作現場が麻痺するパターン

  • “善意の値引き&後払い”で、ビジネス全体の採算が壊れるパターン

延滞1件から始まる“貸倒れ連鎖”――クオリティ低下と回収業務の現場

自社分割を始めた制作会社が最初に直面するのが「延滞1件くらい大丈夫だろう」の罠です。

延滞が出ると、現場では次の順番でおかしくなります。

  1. 経理・営業が「催促役」になり、本来の仕事が止まる
  2. 制作側が「本当に最後まで作って大丈夫か?」とブレーキを踏む
  3. 社内で“延滞客の愚痴”ばかりが飛び交い、空気が悪くなる
  4. 制作クオリティが落ち、紹介・リピートが減る
  5. キャッシュフローが詰まり、新規案件の着手も遅れる

延滞のインパクトを整理すると、感覚ではなく“数字”で怖さが見えてきます。

項目 一見の影響 実際の波及
売掛10万円の延滞 「後で払ってもらえばいい」 回収工数・ストレス増、他案件の時間を食う
3件同時延滞 「ちょっと資金繰りが苦しい」 外注費の支払い遅延→クオリティ低下
半年放置 「もう諦めるしか…」 貸倒損失計上、次の投資が打てない

「延滞=単なる未入金」ではなく、「制作会社の集中力と評判を削る時限爆弾」として扱う必要があります。

「今月だけ待ってほしい」というLINE・メールのやり取りが続いたとき、現場で本当に起きていること

分割でありがちなメッセージがこれです。

  • 「今月だけ厳しいので、来月2ヶ月分払います」

  • 「今、助成金の入金待ちで…」

  • 「コロナで売上が落ちていて…」

このやり取りが3回続いた段階で、現場では次の3つが起きています。

  • 支払いルールが事実上“なし崩し”になる

  • 「払わない前提」での駆け引きが始まる

  • 担当者のメンタルが削られ、他案件への対応も雑になる

この段階で必要なのは、“感情ベースの同情”ではなく“ルールベースの線引き”です。

判断の分岐 対応 結果
初回の遅延 書面ベースで支払計画を再設定 まだコントロール可能
2〜3回の「今月だけ」 一時停止条項を発動し、制作・保守を止める選択肢も提示 相手の本気度が見える
連絡も途切れる 法的手続き・債権譲渡も視野に入れる 担当者が回収役から解放される

「情で伸ばす」と「ルールで管理する」を混ぜると、必ず制作側がすり減ります。
延滞が発生した時点で、“サービス提供のストップライン”を社内で共有しておくことが重要です。

善意の後払い提案が、制作ビジネス全体の損得勘定を狂わせる理由

中小の制作会社ほど、「ウチも昔資金繰りで苦労したから」と、分割や後払いを軽くOKしてしまいがちです。
しかし、善意の後払いは次の3つを同時に発生させます。

  • 単価に“リスクプレミアム”を乗せていない

  • 回収コスト(人件費・ストレス)を原価計算に入れていない

  • 信販・リースとの役割分担をせず、全部自分で抱え込む

結果として、「売上は増えたのに手残りは減る」状態に陥ります。

モデル 月商100万円時のイメージ 手残りの実態
一括+信販中心 粗利70万、回収トラブルほぼなし 新規投資に回せる
自社分割多用 粗利70万のはずが、延滞・貸倒・回収工数で実質50万以下 いつも資金繰りに追われる

「お客さんを助けたいなら、自社が倒れない設計にする」が大前提です。
本来リスクを負うべき“金融の仕事”を、制作会社が丸ごと背負っていないか、一度洗い出す価値があります。

リースとローンと信販を一緒くたにしない――決済モデル比較で見えてくる本当の契約リスク

「審査に落ちたから、リースにしておきましょう」
この一言で、5年〜7年あなたのキャッシュフローが縛られるケースは珍しくない。HP制作の分割を考えるなら、リース・ローン・信販を“同じ支払い方法”として扱った瞬間に負けが始まる

HPはPCやコピー機と違い「形のない役務」が大部分を占めるため、契約モデルの選び方を間違えると、途中解約も改修もできない“高額な置物サイト”だけが残るリスクがある。

ここでは、現場で実際によく見かける勘違いを、契約書レベルまで噛み砕いて整理する。

リース営業のセールストークを“分解”する:所有権・解約金・更新のチェックポイント

リース営業のトークは耳ざわりが良いが、キーワードをそのまま信じると危険信号になる。

よくあるセールストークを、契約実務の目線で割ってみる。

表: 営業トークと契約現実のギャップ

営業トークのフレーズ例 契約上のリアルな意味合い チェックすべきポイント
月々わずか数万円で最新HPが持てます 総支払額は制作費の1.5〜2倍になることが多い 料率と総支払額を必ず数字で確認する
解約もできますよ 「中途解約不可」または「残リース料一括精算」が多い 中途解約条項と違約金の算定方法
機器込みなのでお得です PCやタブレットを抱き合わせにして金額を膨らませている 役務と物販の金額内訳が明細化されているか
更新時もそのまま使えます 自動更新で支払いだけ続くケースもある 契約期間満了後の扱いと更新条件

必ず押さえておきたいのは次の3点。

  • 所有権

    • リース: 所有権はリース会社。HPデータやサーバーも実質的に握られるケースがある
    • 信販・ローン: 原則として支払い完了後は発注者側の資産として扱いやすい
  • 解約金

    • リース: 残期間分のリース料を一括請求されるパターンが多く「実質解約できない」に近い
    • 信販: 残債の一括返済で終了できるため、事業再編時に身動きが取りやすい
  • 更新

    • リース: 自動更新条項が入っていると、「いつの間にか2周目に入っていた」事例が多い
    • 信販: 分割終了で契約は終了。更新は新規契約として別管理できる

HP制作のリース提案が来たら、セールストークを3つの単語に翻訳してから読むと安全になる。
「所有権」「中途解約」「更新」——この3語で契約書をなぞると、リスクの輪郭がはっきり見える。

リース料率・総支払額・制作物の内容を一枚のシミュレーションで比較する考え方

リースが危ないのではなく、「比較せずにサインすること」が危ない。
制作会社側もオーナー側も、最低限この1枚は作ってから決めると判断ミスが激減する。

表: HP制作50万円を想定した簡易シミュレーション例(36回)

決済モデル 表向きの月額 想定総支払額 主な内訳の特徴 向き・不向き
リース 約18,000円 約65〜70万円 機器抱き合わせ、解約制限が強い キャッシュは守りたいが契約条件を読み込める事業者向け
信販(ショッピングクレジット) 約16,000円 約57〜60万円 役務と物販を分けて申込設計しやすい 中小企業のHP・スクールなど役務メイン案件向け
クレジットカード分割 約17,000円 カード会社の分割手数料による 与信は個人ベース、審査は速い 個人事業主や小規模店舗の少額案件向け
自社分割 15,000〜20,000円 元本+自社設定の手数料 貸倒れリスクは制作会社100%負担 制作会社側の体力と回収フローが前提

ポイントは、「月額がいくらか」より「何にいくら払っているか」を分解する癖をつけること

特にHP案件では、申込書の内訳がこう変わるだけで、審査通過率とリスク配分が大きく変わる。

  • 役務(制作・運用・サポート)

  • 物販(PC、ルーター、タブレット、撮影機材)

  • サーバー・ドメイン・保守といった継続費用

この3つをバラしてシミュレーションすると、「リースに入れるべきなのは本当に物販だけだった」と気づくケースが多い。

「リース=悪」「信販=正義」という単純な図式では語れない業界のリアル

現場で多いのは、極端な二択思考だ。

  • リースで痛い思いをした会社が「もう分割は全部悪」と思い込む

  • 信販が通らなかった制作会社が「自社分割こそ正義」と走って貸倒れに苦しむ

どちらも、決済モデルそのものではなく「設計と運用」を間違えている

実務で見えているリアルを整理すると、次の通りになる。

  • リースが活きるパターン

    • 高額な機器がメインで、HP部分はごく一部
    • 財務・税務面でリース会計を選ぶ合理性がある
  • 信販が強いパターン

    • 役務比率が高く、「HP制作+運用サポート」のように人件費が中心
    • 制作会社・スクール側が申込設計を理解しており、審査落ち時の代替ルートを持っている
  • 自社分割が成立するパターン

    • 単価が比較的低く、万一の貸倒れが会社全体を揺らさない
    • 回収担当・督促フロー・延滞時の制作停止ルールが社内で言語化されている

「どの決済モデルが良いか」ではなく、「自社のビジネスと顧客の状況に対して、どの組み合わせが一番事故りにくいか」が軸になる。

HP制作の分割で失敗している現場ほど、リースとローンと信販を“支払い方法のバリエーション”としてしか見ていない。
逆にうまく回している会社は、契約リスク・キャッシュフロー・制作クオリティの三点を同じテーブルに乗せて設計している

この視点に立てるかどうかが、「審査落ちで案件が飛ぶ会社」と「決済モデルを武器に受注を伸ばす会社」を分けている。

審査落ちから逆転した案件のビフォーアフター:決済モデルを変えたら何が変わったのか

「審査落ち」は“門前払い”ではなく、“設計ミスのアラーム”だと捉え直すと、一気に展開が変わります。ここからは、現場で実際に起きている“逆転パターン”だけを切り出します。

他社信販で3連続否決だった案件が“設計図の書き換え”で通過したケーススタディ

ホームページ制作費の審査否決で多いのは、「人」ではなく「組み立て方」で落ちているパターンです。

典型例を要約するとこうなります。

  • 申込者: 個人名義の代表者

  • 契約内容: HP制作一式+PC+撮影機材を“役務まとめて1本”で申込

  • 分割: 84回、月額はギリギリ黒字レベル

ここで審査否決が続いた案件が、下記のように“設計図”を変えた瞬間に通過するケースがあります。

項目 Before(否決) After(通過)
申込者 個人事業主本人 法人名義+代表者連帯保証
内訳 役務・機器を一括記載 役務と物販を明確に分離
回数 84回(7年) 48回+カード決済併用
月額感 限界ギリギリ 売上の3〜5%以内に調整

ポイントは「同じ総額でも、“誰が・何に・どれくらいの期間で”支払うかを書き換えた」ことです。
属性を無理やり“盛る”のではなく、信販側がリスクを読みやすい形に翻訳し直したイメージに近いです。

申込者の選び方・役務と機器の内訳・分割回数を変えたときのビジネスインパクト

決済モデルの再設計は、「通るかどうか」だけでなく、その後のビジネスの動き方も変えます。

変更ポイント 制作会社側のインパクト 発注者側のインパクト
申込者の選定(法人or個人) 審査通過率UP、案件飛びリスク減 与信枠を事業用/個人用で使い分け可能
役務・機器の分離 信販審査が通りやすくなる 契約内容が明確になりトラブル減
分割回数の短縮 キャッシュインが早まり制作体制が安定 月額は上がるが完済までの心理負担が軽い

「どの名義で申し込むか」「サイト制作と機器を一緒にしない」といった小さな調整が、
・成約率
・紹介・リピート
・解約トラブル発生率
までじわじわ効いてきます。

成約単価・入金スピード・制作クオリティの三立てを狙う設計のコツ

制作会社が“審査落ちしにくい決済モデル”を組むときは、次の3軸を同時に満たす設計を意識するとバランスが崩れにくくなります。

  • 成約単価

    • 役務を削るのではなく、分割ルートの選択肢で調整する
    • 例: 高単価プランは信販+一部着手金、ライトプランはカード一括メイン
  • 入金スピード

    • 「全額自社分割」で遅らせない
    • 信販・カード決済を優先し、自社分割は“最終手段”として位置づける
  • 制作クオリティ

    • 回収不安がある案件ほど、現場は無意識に工数を削りがち
    • 決済設計の段階で“貸倒れリスクを外に逃がす”ことで、制作チームをお金の心配から切り離す

実務的には、案件ごとに次の順序で考えると迷いにくくなります。

  1. クライアントのキャッシュフローから現実的な月額ラインを決める
  2. その月額ラインに合わせて「回数」ではなく「決済手段の組合せ」を調整する
  3. 信販審査に乗せる前に、「申込者・内訳・回数」の3点セットをセルフチェックする

審査落ちで止まった案件ほど、“金額を下げる”より“設計を変える”方が、ビジネスの伸びしろは大きくなります。

「審査に出す前」にやるべき自己診断:オーナー・制作会社それぞれのチェックリスト

審査に落ちてから慌てて対処すると、高確率で「変なリース」か「苦しい自社分割」に流れます。
止め方はシンプルで、「申込ボタンを押す前に、両者でチェックする」だけです。

オーナー側:収入・借入・返済額の“許容度”を冷静に測る自問シート

売上ではなく、「毎月どこまでなら痛くないか」を数字で決めておくと、無理な分割条件を避けられます。

以下を紙に書き出すところから始めてください。

  • 現在の毎月の手残り(社長の生活費を引いた後の金額)

  • リース・ローン・カードの毎月返済合計

  • あと何カ月で終わる返済がいくつあるか

  • 事業用とプライベート用の借入を分けて説明できるか

「手残りに対してどこまでならHPの返済を許容できるか」をざっくり決める目安は下表です。

項目 目安ライン チェックポイント
返済負担率(全借入/手残り) 30%以下 超えるなら分割額を下げる
HP分の返済額 手残りの10〜15% 20%超は要再設計
返済期間 36〜60回 それ以上は事業リスク増

このラインを超えているのに「まあ何とかなる」で申し込むと、信販より先に自分の資金繰りが折れます。

制作会社側:案件の内容・価格・分割条件を見極める事前診断フロー

制作側が「どんな案件でも同じ分割条件」で出すと、審査落ちと貸倒れが一気に増えます。
現場で使いやすい簡易フローはこの順番です。

  1. 案件タイプを分類

    • 集客用(新規問い合わせ増加目的)
    • 会社案内用(信頼性アップ中心)
    • 通販・予約機能付き(売上直結)
  2. 投資回収イメージを確認

    • 1件あたり粗利×想定件数で、何カ月で元が取れるかを口頭で一緒に試算
  3. 価格と分割条件を整理

    • 「制作費+運用費+保守費」の内訳を明確にする
    • 分割対象を“初期費”中心にするか、“運用セット”にするかを選ぶ
  4. 信販に出すか、他手段を優先するかを仮決め

チェック軸 OKなら信販に出す NGなら再検討
投資回収の目途 2〜3年で回収イメージがある 数字が全く出てこない
単価 30〜150万円帯 極端に低い/高い
オーナーの説明力 事業内容を整理して話せる 話が散らかりすぎている

この事前整理を一緒にやるだけで、「申込の設計ミス」で落ちる案件が目に見えて減ります。

「この条件なら別の調達手段を優先した方がいい」ラインの引き方

審査に出す前に、「出さない勇気」を持つラインを決めておくと、後悔する契約をかなり避けられます。

  • 既存の返済負担率が手残りの30%を超えている

  • HPの投資回収イメージが3年以上ぼんやりしている

  • 社長が個人の延滞履歴を把握していない

  • 制作側が「自社分割なら通せます」としか言えない状態

このどれか1つでも当てはまる場合は、次の選択肢を優先した方が安全です。

  • 小さめの制作プラン+短期分割+後から増築

  • クレジットカード分割やカードローンでの自己調達

  • HP以外の投資(人材・広告)と優先順位を入れ替える

「今は審査を出さない」という選択も、立派な経営判断です。
申込ボタンを押す前に、オーナーと制作会社の双方がこのラインを共有しておくと、審査落ちが“トラブルの起点”ではなく、“設計を見直す合図”に変わります。

制作会社が分割決済を導入するときに外せない“決済モデル設計図”の描き方

「審査に落ちた瞬間に案件が消える制作会社」と「決済モデルを組み替えて取り戻す制作会社」の違いは、営業力ではなく設計図の有無にある。ここでは、その設計図を現場レベルまで落として描いていく。

クレジットカード・ショッピングクレジット・自社分割・リースの役割分担をどう組み合わせるか

まず押さえるべきは、各決済手段の「向き不向き」を勘で決めないこと。現場では次のように役割を切り分けると事故が激減する。

決済手段 向いている案件 制作会社側のメリット 主なリスク
クレジットカード 〜30万円の小中額HP、更新費 即時決済・審査ほぼ不要 チャージバック、手数料
ショッピングクレジット(信販) 30〜150万円のHP・保守込みパック 一括入金・貸倒れリスク外出し 審査落ち、書類不備
自社分割 信販に出せない少額・短期(〜6回) 柔軟に条件調整できる 回収・督促・貸倒れ
リース 機器+HP+保守を長期パック化 単価アップ・長期契約 中途解約トラブル

現場で失敗するパターンは、信販で否決になった瞬間に「じゃあ自社分割で全額分割しましょう」と一気にリスクを抱え込むケース。実務的には次の順番で検討する方が安全だ。

  • 1: 金額を削ってカード決済+一部現金にできないか

  • 2: 役務と物販を分けて信販に再設計できないか

  • 3: 回数を短くした自社分割で“頭金+残金”にできないか

  • 4: 機器を絡めてリースに載せ替える余地があるか

「どれを使うか」よりも、「どこまでを外部にリスク移転し、どこから自社で抱えるか」を線引きする発想が、貸倒れ連鎖を止めるポイントになる。

業種別に変わる決済モデルのマッチパターン(中小企業のHP・スクール・ECなど)

同じ50万円の案件でも、業種が変わると最適な決済モデルは変わる。現場で使われている判断軸を整理すると、次のようなマトリクスになる。

業種/商材 典型単価 向きやすい決済 設計のコツ
中小企業のコーポレートHP 30〜80万円 信販+カード 初期制作費を信販、保守はカード月額
集客LP+広告運用 50〜150万円 信販中心 LP制作+運用3〜6カ月分をまとめて割賦化
高額スクール・塾 30〜200万円 信販+自社分割 入学金は現金、受講料を信販 or 自社分割
ECサイト構築 50〜200万円 リース+信販 機器・カート費用はリース、制作は信販

たとえばスクール系では、「開講前に売上が立たない」「個人事業主が多く属性が弱い」といった事情から、信販と自社分割を組み合わせた二段構えが機能しやすい。一方でBtoBのコーポレートHPは、法人代表者の属性が通りやすい反面、「毎月の保守は審査に載せにくい」ため、制作費は信販・保守はカード/口座振替と役割分担した方が、審査もキャッシュフローも安定する。

重要なのは、業種ごとに“標準の決済レシピ”を社内で決めておくこと。案件ごとに場当たりで決めると、審査落ちのたびに変な自社分割が増えていき、気づいたら回収専任が必要な会社になってしまう。

審査スピードと成約率のバランスをとるための「複数ルート設計」という発想

審査落ちで案件が飛ぶ制作会社には共通点がある。決済ルートが1本しかないことだ。逆に、現場で数字を伸ばしている会社ほど、最初から「複数ルート前提」で商談を組み立てている。

商談の流れを分解すると、次のような設計が現実的だ。

  • 初回提案時に「3つの支払いプラン」を並べて提示

  • 事前ヒアリングで属性が弱そうなら、最初からカード+自社分割寄りのプランを推す

  • 信販に出す場合も、「否決時の第二案」を事前に共有して不信感を防ぐ

ここで効いてくるのが、「審査スピード」と「成約率」のトレードオフだ。

観点 速さ重視 成約率重視
主軸にする決済 カード・現金 信販・リース
否決時の動き その場でプラン縮小 別ルートに即スイッチ
必要な設計 少額商品ライン 決済モデルの複線化

カード中心ならスピードは出るが、単価の上限が見えやすくなる。信販中心なら単価は上がるが、審査落ちリスクと説明コストが増える。だからこそ、「金額帯×属性」に応じてどのルートを主軸にするかを、社内ルールとして言語化した設計図が必要になる。

この設計図が固まると、「審査落ちたらどうしよう」という属人的な不安が消え、「この条件ならBルート、この条件ならCルート」と淡々と切り替えられるようになる。ここまで来れば、分割はリスクではなく、制作ビジネスを伸ばすための武器に変わっていく。

「分割=危ない」「審査落ち=ブラック」という思い込みを一度手放す

「分割にしたら信用落ちそう」「審査に落ちた時点で終わりだ」とブレーキを踏んでいる会社ほど、実は“機会損失”で財布を痛めています。
ここでは、現場で何百件と審査を回してきた立場から、よくある思い込みを一度リセットします。

消費者ローン情報と事業用HP投資を混同したときに起きる判断ミス

多くのオーナーが、テレビCMやカードローンの記事で見た「個人向けローンの常識」を、そのまま事業用のHP投資に当てはめてしまいます。ここでズレが生まれます。

項目 消費者ローン(カード・キャッシング) 事業用HPのショッピングクレジット等
お金の使い道 生活費・娯楽 売上アップ目的の投資
審査で重視される印象 「浪費の可能性」 「事業として妥当か」
否決時の意味 収入に対して借入過多のサイン 申込設計ミスの影響も大きい

HP制作で目立つのは、内容が悪いのではなく「申込の組み立て」が悪くて落ちるパターンです。

例として、次のようなケースが審査に響きます。

  • 役務(制作費)と物販(PC・タブレット等)をひとまとめにして高額化

  • 分割回数だけを伸ばして、月額が妙に低い“長期スカスカ契約”にしている

  • 実質的に支払う人と申込名義人が違うのに、説明が足りない

ここを直さず「やっぱり分割は怖い」と判断してしまうと、本来は通せた投資まで自分で捨てている状態になります。

ブラックだから落ちた?というよくある質問への“ビジネス目線”のアンサー

審査に落ちた瞬間、オーナーからほぼ必ず出るのが「自分、ブラックなんですか?」という質問です。
現場の体感では、HP案件の否決理由は次のような比率になりやすいです。(厳密な統計ではなく、複数社の実務感覚の整理)

否決理由イメージ 割合感覚 中身
申込設計のミス 4割前後 名義・内訳・回数設定の不整合
情報不足・説明不足 3割前後 勤続・年収・事業実態の説明が弱い
本当に信用情報が厳しい 3割前後 長期延滞・多重債務など

つまり、「ブラックだから落ちた」に一括りするのは雑すぎるという話です。

制作会社側も、「理由は教えてもらえないんですよ」で会話を終わらせがちですが、ビジネス目線では次を確認すべきです。

  • 誰の名義で出したか(代表者か、経理担当か、家族か)

  • 役務と機器をどう分けて申請したか

  • 会社の実態(売上・年数・業種)をどこまで説明できていたか

ここを棚卸しせずに「ブラック扱いされた」と思い込むと、次の打ち手の精度が一気に下がります。

審査に落ちても「次の一手がある人」と「チャンスを逃す人」の決定的な違い

審査否決のあと、2種類の経営者・制作会社に分かれます。

次の一手がある側の動き

  • 否決の直後に、制作会社と一緒に「申込設計のどこを変えるか」を10分で整理

  • 申込者を変える(個人名義→法人代表、もしくは安定収入のある共同経営者など)

  • 役務と物販を分けて、HP制作は信販・機器はリースや別決済に切り替える

  • 分割回数を現実的なラインに戻し、月額・総額のバランスを再設計

チャンスを逃す側の動き

  • 「審査に落ちた=うちの会社は信用されていない」と感情的に判断

  • 制作会社への不信感が高まり、そのまま案件自体を白紙に戻す

  • せっかく検討した戦略やコンテンツ案を、すべて流してしまう

  • 半年〜1年後、競合が先にHPを刷新して差をつけてくる

決定的な違いは、審査結果を「人格診断」ではなく「ビジネス設計のフィードバック」として扱えるかどうかです。

制作会社側も、「落ちました、すみません」で終わらせず、

  • どの決済モデルならリスク分担と審査通過のバランスが良いか

  • 自社分割に逃げて貸倒れリスクを抱えないために、どのラインで諦めるか

を一緒に整理してあげることで、分割を“事故の入口”ではなく“武器”に変えられます。

分割=危ない、審査落ち=ブラックというレッテルを一度外した先に、「設計を変えてもう一度仕掛ける」発想が生まれます。ここからが、ホームページ制作と決済モデルの本当の勝負どころです。

現場の打開策から学ぶ:中小企業と制作会社が“分割”を武器にするための実務ガイド

「審査に落ちた瞬間に案件が消えるか、設計を変えて“蘇る”か」。分かれ目は、センスではなく“決済モデルの運用ルール”です。

実際にあった相談ケースを分解する:質問→回答→決済モデルの再提案の流れ

HP発注側・制作会社側の相談は、だいたい次の3パターンに集約されます。

  • 事例1:信販否決後に質問が来る

    • 質問:「ブラックなのか。もうHPは無理か」
    • 回答:属性だけでなく「申込者の選定」「役務と物販の混在」「分割回数」が原因になっている可能性を説明
    • 再提案:
      • 代表者ではなく、実際に給与所得の安定している共同経営者で再申込
      • 制作費とPC・カメラなど機器を分けて契約
      • 分割回数を“ギリギリ通りやすいレンジ”まで短縮し、月額を高めに再設計
  • 事例2:自社分割で延滞が出た制作会社

    • 質問:「1件だけだから様子見していいか」
    • 回答:延滞1件が、制作の手抜き・スタッフ疲弊・口コミ悪化の起点になることを可視化
    • 再提案:
      • 以降の新規は自社分割を封印し、信販かカードに統一
      • 既存の延滞案件は「入金が続く範囲での納品スケジュール」に切り替え
  • 事例3:リース営業とバッティングした案件

    • 質問:「リースなら審査が通ると言われたが、本当に得か」
    • 回答:所有権・中途解約・総支払額を並べて比較
    • 再提案:
      • HP制作は信販分割、PCだけリース等、役割分担型の提案へ変更

この流れをテンプレ化すると、「質問→原因の分解→“誰が・何を・何回で払うか”の再設計」という3ステップに落ち着きます。

決済導入事例に共通する、売上UPとリスク回避を両立させる設計のポイント

うまくいく制作会社は、「とりあえず分割OK」ではなく、最初から“決済のルール表”を持っています。

決済ルート別の基本方針イメージは次の通りです。

決済手段 使う案件 制作会社のリスク 強み
一括振込 小額・再取引 貸倒れほぼゼロ キャッシュ即回収
クレカ 〜50万円 チャージバック程度 審査スピード最速
信販分割 30〜200万円 立替払い後は信販側リスク 「月◯万円」で売りやすい
自社分割 原則NG/例外のみ 延滞・回収・感情トラブル 信頼関係が強い既存客のみ
リース 機器中心・長期契約 説明不足によるクレーム 初期費用ゼロの訴求力

共通して押さえているポイントは3つです。

  • 分割を「値下げ」ではなく「支払い方の設計」として使う

  • 自社分割は“例外運用”に閉じ込め、ルールを文書化しておく

  • 信販が通らなかった時の「第2案・第3案」を、事前に会社として決めておく

ここまで決めておくと、営業現場は「審査結果に振り回される側」から「決済モデルを選ぶ側」に立場が変わります。

「分割があるから決まる案件」「一括にした方がいい案件」を見極める目線を持つ

最後に、現場で使える“即判断フィルター”を置いておきます。

  • 分割が武器になる案件

    • 初期費用30万円以上で、今の売上にはまだ直結しないHPリニューアル
    • 広告運用・撮影・ライティングなど、成約単価を高める追加オプションをセットにしたい時
    • 資金繰りはタイトだが、事業としては黒字が見えている成長局面
  • 一括か別手段を優先すべき案件

    • そもそも返済原資になる事業の利益が見通せない
    • 既存のローン返済率が高く、「月々◯万円」が明らかに重い
    • HPよりも先に、在庫・人件費など火急の支払いが詰まりかけている

この“線引きの目”をオーナーと制作会社の両方が持てば、「通らなかったから終わり」の審査ではなく、「どの決済モデルなら、双方の財布とビジネスが守れるか」という建設的な打ち合わせに変わります。ここまで来れば、分割はリスクではなく、売上と信用を同時に育てるための武器になります。

執筆者紹介

主要領域はホームページ制作と分割・リース等の決済モデル設計です。本記事は、これらの領域で一般に共有されている実務知識や業界構造を整理し、審査落ち後の打開策を体系的にまとめた解説として執筆されています。特定個人の経験談ではなく、発注側・制作側・決済提供側といった複数の立場から公開されている情報を抽象化し、読者が自社案件に応用しやすい判断軸だけを抽出しています。