「また価格で負けた」で片付けている限り、Web制作の失注は減りません。表向きの理由は予算とタイミングでも、決裁者の頭の中では「要件の整理度合い」「キャッシュフローへの影響」「運用リスク」「社内稟議の通しやすさ」が同時に評価されています。そこを読み違えると、提案内容がどれだけ優れていても、商談の最後で静かに却下されます。
この記事は、Web制作会社の経営者・営業責任者が抱えている「なぜ負けたか分からない」「営業が『価格』としか報告してこない」という構造的な課題を、失注理由の分解と支払い条件の設計という二つの軸から解体します。単なる営業テクニック集ではなく、調査データと現場の失注シナリオを踏まえて、どこで情報が不足し、どの要因が決裁を止めているのかを具体的に言語化していきます。
扱うのは、顧客のニーズと課題、要望不一致、デザインギャップ、キーパーソン不在、ヒアリング不足、競合比較、稟議フロー、キャッシュフロー、そして「一括請求」と「分割・リース」の違いが与える影響です。これらをバラバラに語るのではなく、商談の段階ごとに失注要因をラベリングし、営業活動とマーケティング、契約条件の見直しまで一気通貫でつなげる設計になっています。
この記事を読み進めることで、次の大型案件からすぐに使える実務レベルの武器が手に入ります。具体的には、以下のようなイメージです。
| セクション | 読者が手にする具体的な武器(実利) | 解決される本質的な課題 |
|---|---|---|
| 構成の前半(失注理由の可視化・調査データ・失注シナリオ・支払い条件) | 失注理由を「価格」「競合」から細分化し、顧客の過去の失敗体験や社内稟議の構造まで含めて分析するフレームと、支払い方を含む提案パターンの設計図 | そもそも何が原因で案件を落としているのか分からないまま、営業活動と見積を繰り返している状況 |
| 構成の後半(ヒアリング・失注分析・誤解の是正・資料とサイト改善・フォロー) | ヒアリングの質問設計、失注分析テンプレート、分割決済を含む契約条件の見直し、営業資料とWebサイトの更新、失注後フォローによる再アプローチの具体的な手順 | 個人の勘と経験に依存した属人的な営業から抜け出せず、組織として営業力を強化できていない状況 |
「Web制作 失注 理由」で検索しても、多くの記事は一般論レベルの原因列挙と抽象的な改善策にとどまりがちです。本稿では、案件単位の情報をどう把握し、チームでどう共有し、支払い条件を含めた提案内容にどう落とし込むかまで踏み込んで解説します。
もし今、「顧客の反応は悪くないのに、商談の最後で負ける」「高単価案件ほど受注できない」と感じているなら、この先の章で示す分析方法と営業ロジックが、その原因を特定し、次の案件で結果を変えるための実務的な答えになります。
「Web制作の失注理由」が“価格とタイミング”で終わる会社が伸びないワケ
商談メモの失注理由欄が、いつ見ても「価格」「タイミング」。この2ワードしか並ばない営業組織は、ほぼ確実に伸び悩みます。
理由はシンプルで、「改善のための情報」がまったく取れていないからです。
外注でWebサイトを発注した企業の約9割が、何らかの「失敗」を経験しているという調査があります。この層が、あなたの顧客候補です。彼らが判断しているのは本来「金額」ではなく、「再び失敗したくない」というリスク感情と、社内稟議を通せるかどうかという政治バランスです。
そこを見ずに「高かったから」「時期じゃなかったから」で片づけている限り、営業力は強くなりません。
失注理由のテンプレートが雑すぎる:多くの営業チームで起きている問題
多くの制作会社でSFAやスプレッドシートに並ぶ失注選択肢は、せいぜいこの程度です。
| 現場でよく見る失注理由コード | 実際に分けておくべき軸の例 |
|---|---|
| 価格 | 予算上限不一致/投資対効果の説明不足/支払い条件不安 |
| 競合 | 提案内容の具体性/実績の信頼感/担当者への安心感 |
| タイミング | 予算確定前/決裁者未巻き込み/優先プロジェクト変更 |
| 仕様不一致 | 役割設計のズレ/運用リソース誤認/社内システム連携懸念 |
上段のようなざっくりコードだけでは、「次の案件で何を変えるべきか」が一切見えません。
特にWeb制作は、要件定義・デザイン・運用・決済条件が絡む複合商品です。「どこでつまずいたか」を粒度高く残さないと、受注率は上がらないままになります。
顧客の購買意思と社内稟議:表向きの理由と本当の判断要因のズレ
発注企業の担当者にとって、制作会社を断るのはエネルギーの要る仕事です。角を立てたくないので、表向きの理由は無難になります。
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表向きに言われる理由
- 「今回は予算が合わなくて…」
- 「タイミングが合わなくて…」
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実際の社内会話
- 「前回のリニューアルで予算が膨らんだのを役員がまだ根に持っている」
- 「運用担当がいないのに、この仕様だと回らないのでは」
- 「一括でこの金額は、キャッシュがきつい」
ここで重要なのは、担当者の“買いたい気持ち”と、社内稟議を通す政治力学は別物だという前提です。
担当者は前向きでも、「予算超過の再発リスク」「運用負荷」「支払い条件」が怖くて、役員会にかける前に静かにフェードアウトするケースが少なくありません。
調査でも、外注失敗の主因として「予算超過」「要望不一致」「期待したデザインと違う」が上位に挙がっています。これはそのまま、「次の発注で決裁者が強く警戒しているポイント」だと読み替えた方がいいでしょう。
現場の営業が感じているモヤモヤを、情報設計と分析で言語化する
営業現場からよく聞くのは、こんな声です。
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見積提示までは「前向き」と言われていたのに、急に音信不通になる
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値引きまでしたのに、「総合的な判断で他社に」と言われる
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SFA上は毎回「価格」「他社決定」としか記録されない
このモヤモヤは、「記録する情報の設計」が甘いだけです。
まずは失注理由を、少なくとも次の3層に分けてラベリングしてみてください。
- 表向きの理由(顧客が口にした言葉)
- 真の要因カテゴリ(予算上限/運用不安/決裁構造/支払い条件など)
- 自社側の改善ポイント(ヒアリング不足/説明不足/提案順序/決済オプション未提示など)
この3層をチームで共有し、案件ごとに埋めるだけで、「どの段階で、どの情報が不足していたか」が一気に見えてきます。
価格とタイミングで蓋をするのをやめた瞬間から、Web制作の営業はようやく“改善できるゲーム”になります。
調査データに見る“失敗するWebサイト制作”と失注リスクの本質
外注経験者の9割が失敗と回答:その要因とWeb制作営業への影響
ホームページ制作を外注した企業の約9割(87.7%)が「何らかの失敗を経験した」と答えている調査がある(発注経験者550名対象の実態調査)。失敗理由のトップは「予算を大幅に超えた」、次いで「要望が伝わらず思い通りの結果にならなかった」「期待したデザインと違った」。
この数字が意味するのは単純で、あなたが初回商談で向き合っている担当者の多くが「前回の制作で痛い目を見た人」だということだ。
営業現場では、こうした過去の失敗体験がそのまま失注リスクとして蓄積されている。担当者は表向き「予算が…」「今回は見送りで…」と言うが、頭の中では「また予算が膨らむのでは」「結局イメージ通りにならないのでは」という恐怖がブレーキを踏んでいる。価格表や提案内容だけをいくら磨いても、この恐怖を上書きできなければ稟議は通らない。
下の整理を見ると、外注の失敗ポイントとWeb制作営業での失注ポイントがほぼ同じ場所にあることが分かる。
| 要因 | 発注側が感じた失敗 | 営業側で表に出る失注理由 |
|---|---|---|
| 予算超過 | 想定より高くついた | 「予算オーバー」「見送り」 |
| 要望不一致 | 目的が伝わらず成果が出ない | 「他社決定」「要件合わず」 |
| デザインギャップ | イメージと違う見た目 | 「テイストが違う」 |
失注理由コードに「価格」「他社」と入力して終わらせると、この裏側の感情を一切拾えないまま次の案件に向かうことになる。
「予算超過」「要望不一致」「デザインギャップ」が失注に直結するメカニズム
3つの失敗要因は、商談ステージごとに違う形で顔を出す。
- 予算超過
初回ヒアリングで上限予算を曖昧にしたまま要件を積み上げると、見積提示の瞬間に「想定の1.5倍」のようなギャップが生まれる。担当者はその時点で「前回と同じだ」と感じ、温度が急落する。
- 要望不一致
「問い合わせ増」「採用」「ブランディング」など目的を整理しないまま構成案を出すと、後半で「それは今回やりたいことではない」と言われる。表向きは仕様不一致だが、本質は役割設計のズレだ。
- デザインギャップ
参考サイトの共有が曖昧なままワイヤーやラフを出すと、「思っていたより地味」「イメージと違う」となる。ここで信頼が揺らぎ、見積とセットで比較された時に競合に流れやすくなる。
3つをまとめて「価格負け」と扱うと、改善の打ち手が「値引き」しか残らない。実際には、要件の優先順位付け、予算レンジの見える化、デザイン方向性の事前すり合わせでかなりの割合を潰せる領域だ。
自社サイトや関連記事の活用で、顧客の過去の失敗体験をあぶり出す方法
過去の失敗は、商談の場でストレートに聞いてもなかなか出てこない。担当者からすれば「前任者の判断ミス」でもあり、初対面の制作会社にさらけ出しづらい情報だからだ。ここで効いてくるのが、事前に仕込んだコンテンツと質問設計だ。
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自社サイトに「よくある失敗とその防ぎ方」の記事を用意し、問い合わせ後のサンクスメールで共有する
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初回ヒアリングで「この記事の中で、特に身に覚えがあった点はどれですか?」と聞く
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失敗要因ごとに深掘り質問を用意しておく(予算なのか、要件定義なのか、社内稟議なのか)
こうすると、単に「前回はうまくいかなくて…」で終わっていた話が、「見積が後出しでどんどん増えた」「社内で決裁が通らなかった」「担当が途中で変わって要望が伝言ゲームになった」といったレベルまで具体化する。ここまで分解できれば、提案内容や支払い条件の設計でリスクを一つずつ潰していける。
発注側の失敗ストーリーを引き出し、それをその場で言語化し直してあげる営業だけが、「また失敗するかもしれない」という恐怖を「今度はうまくやれそうだ」に変えられる。ここが、単価を守りながら受注率を上げる会社と、値引き依存で消耗していく会社の分岐点になっている。
営業現場で本当に起きている「失注シナリオ」4パターンと要因分析
「また“予算が合わず”で失注……本当にそれだけか?」
Web制作の失注は、現場で見ると4つのシナリオにかなり収れんします。まずは構造を一気に俯瞰しておきます。
| シナリオ | 典型的な場面 | 表向きの失注理由 | 本当の要因 |
|---|---|---|---|
| 1. 見積後沈黙 | 好感触→見積提示→連絡が減る | 予算が合わない | 予算上限の未共有/費用対効果の言語化不足/支払い条件の選択肢ゼロ |
| 2. キーパーソン不在 | 担当者とは盛り上がる | 社内検討の結果見送り | 決裁者の意思・評価軸を取れていない/稟議フローの把握不足 |
| 3. 競合に負ける | コンペで惜敗が続く | 他社の方が条件良かった | ヒアリングの浅さ/業界理解の差/提案の“顧客別カスタム度”不足 |
| 4. 炎上→次案件消滅 | 仕様追加・納期遅延 | 次回も他社に依頼 | 要件定義の甘さ/リスク共有不足/途中の期待値調整不足 |
最初は順調だったのに、見積提示直後に沈黙する案件の共通点
初回打ち合わせは盛り上がり、「ぜひ前向きに検討したい」と言われる。構成案にも好反応。ところが見積を出した瞬間から返信が遅くなり、最終的には「今回は見送りで…」の一通だけ。営業会議では「価格負け」に分類されがちなパターンです。
公開調査では、ホームページ外注経験者の約9割が何らかの失敗を感じており、その理由の上位が「予算超過」「要望不一致」「期待したデザインと違う」と報告されています。この“予算超過恐怖”が、見積提示後の沈黙の正体になっているケースが多いです。
共通するのは、次の3つです。
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事前に「予算の上限・下限」を聞いていない
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必須機能と「あると嬉しい機能」を分けて整理していない
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総額は提示しても、「支払い方」の設計をしていない
特に総額と同じくらい効いてくるのが、「初期一括か、分割か」というキャッシュフローの問題です。決裁者は財布の中身だけでなく「今期の資金繰り」を見ているため、支払い条件の選択肢がない状態は、それだけでハードルを上げています。
キーパーソン不在のまま提案し続けてしまう営業活動の落とし穴
現場担当者とは相性も良く、要件も擦り合っている。にもかかわらず最終的に「社内で検討した結果…」で終わる。このとき、多くの営業は「担当者の説得力が弱かった」と片付けがちですが、構造はもっとシンプルです。
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本当のキーパーソンを特定していない
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その人の評価軸(何を重視しているか)を把握していない
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稟議フロー(誰がいつハンコを押すか)を聞き切れていない
BtoBのWeb制作では、決裁者はしばしば「営業部長」「経営者」「情報システム部門の責任者」です。彼らはデザインよりも「投資対効果」「リスク」「キャッシュフロー」を見ています。
担当者との打ち合わせ段階で、次の質問を入れておかないと、永遠に“代理プレゼン任せ”になります。
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この案件の最終決裁者は誰ですか?
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その方が特に気にされるポイントは、金額・成果・体制のどれですか?
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稟議から決裁まで、どんなステップを踏みますか?
ここが抜けたまま提案を重ねると、「担当者とは盛り上がるのに、受注は決まらない」という消耗戦に陥ります。
競合の提案力に負けるときの“情報不足”とヒアリング精度の問題
コンペで「内容は良かったのですが、今回は他社に」と言われるとき、負け筋はほぼ決まっています。
それは制作スキルの差よりも、「顧客の文脈をどこまで情報として取れていたか」の差です。
負けやすいパターンでは、ヒアリングが次のようになっています。
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目的が「問い合わせ増やしたい」レベルで止まっている
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顧客の過去の失敗経験を深掘りしていない
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社内リソース(更新担当者・運用時間)の把握が甘い
一方で勝ちやすい提案は、「この業界ではよく、◯◯という失敗が起きていますよね」と外部調査や他社事例を踏まえて会話を組み立てています。外注失敗の調査では、「要望不一致」「更新のしにくさ」も強い不満要因として挙がっており、ここを先回りして設計・説明できるかが営業力の分かれ目になります。
納期・ロット・仕様追加で炎上し、そのまま次の案件も逃すパターン
受注はしたものの、プロジェクト途中で仕様追加が相次ぎ、予算も納期も崩れていく。結果として顧客の信頼を失い、リニューアルや別事業部のサイトは他社に発注される。数字には出にくいものの、実は最も痛い失注です。
炎上案件には、次の要因が重なっています。
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要件定義時に「必須」「あったら良い」「将来検討」を分けていない
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追加対応のルール(どこまでが見積内か)を文書で共有していない
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仕様変更が決裁に与える影響(費用・納期)を、その都度見える化していない
ここを丁寧に設計しておくことは、単なるプロジェクト管理ではなく、「次の案件を守る営業活動」です。
途中での期待値調整と、リスクの共有をサボると、「今回の制作会社は大変だった」という印象だけが社内に広まり、失注理由コードには一生「タイミング」や「他社採用」とだけ残り続けます。
価格だけじゃない。「支払い方」と契約条件が失注・受注を分ける
「金額は通っていたのに、最後の稟議でひっくり返された」
営業現場で何度も聞くこの一言の裏側には、“総額”ではなく“支払い方と条件設計”を読み違えた失注が潜んでいる。
Web制作は数十万~数百万円単位の投資。
決裁者は見積書の数字だけでなく、「キャッシュフローへの圧力」「他プロジェクトとの予算配分」「社内からの突き上げ」まで含めて判断している。ここを外すと、提案内容がどれだけ優れていても、稟議の土俵にすら乗らない。
決裁者の頭の中:コストと投資対効果、キャッシュフローをどう見ているか
現場担当は「問い合わせ増」「ブランディング」といった効果を重視するが、決裁者の頭の中はもっとシビアだ。
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今年度のキャッシュアウトは何円増えるか
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他の投資(人件費・設備・広告)と比べて優先度はどうか
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失敗した場合、誰が責任を取るのか
外注経験者の約9割がWeb制作で何らかの失敗を経験しているという調査もあり(PR TIMES掲載の実態調査より)、決裁者は「また予算超過したらどうする」という防衛本能で見積を眺めている。
ここに投資対効果のシミュレーション+キャッシュフローへの配慮(支払い条件)がセットで提示されているかどうかが、判断を左右する。
一括請求と分割・リースの違いが、稟議・経営判断に与える影響
同じ300万円でも、「今期一括」と「96回分割」では、経営層の肌感がまったく変わる。
| 観点 | 一括請求 | 分割・リース型 |
|---|---|---|
| キャッシュフロー | 今期にドンと出る | 月々の固定費化で平準化 |
| 稟議の通りやすさ | 高額案件として慎重になりやすい | 他コストとの比較検討がしやすい |
| 社内説明 | 「高いサイトを買う」 | 「毎月の集客装置への投資」 |
| 失注リスク | 予算枠の壁にぶつかりやすい | 金額印象を和らげやすい |
分割・リースを利用する場合でも、制作会社側の入金は一括で行われ、与信や回収は信販会社が担う仕組みを採用しているサービスもある(高額役務向け分割決済導入支援サービス「まかせて信販」のような形態)。
この構造を理解している営業と、ただ「値下げします」とだけ言う営業とでは、提案の説得力と安全性が別物になる。
分割決済サービスの導入で増える“提案パターン”と営業トークの作り方
支払い方の選択肢を持つと、提案パターンそのものが増える。
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パターンA:機能フルセット+分割払い(初期負担を抑えつつ最適構成)
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パターンB:機能を絞ったミニマム構成+一括払い
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パターンC:戦略フェーズのみ先行着手+本開発は次年度に分割
営業トークでは、「価格の話」ではなく「資金繰りと経営判断の話」に乗せ替えるのがポイントだ。
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「今期のキャッシュアウトを抑えながら、このタイミングでサイトを刷新する方法を一緒に設計させてください」
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「分割にすると、月々の広告費と同じレベルの固定費として説明しやすくなります」
支払い方を「後出しのオプション」にせず、ヒアリング段階で予算・決算月・補助金活用の有無とセットで確認し、提案書の段階で複数パターンを見せる。これだけで、商談の土俵が「高いか安いか」から「どのプランが自社に合うか」に変わる。
契約条件・アフターサポートの説明不足が、営業成果を削っている現場感
失注理由の表向きは「価格」でも、実際は契約条件とサポート体制への不安が決裁を止めているケースが多い。
代表的な抜け漏れは次の通り。
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更新・保守の範囲と月額費用が曖昧
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仕様追加時の料金テーブルがない
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解約条件・データの取り扱いを説明していない
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担当者変更や引き継ぎ時のサポートが不透明
これらが不明なまま高額見積を出すと、決裁者の頭の中では「予算超過リスク×ブラックボックス契約」という赤信号が点灯する。
逆に、提案資料や自社サイトで以下を明示しておくと、営業力が一段上がる。
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契約期間・解約条件・更新条件の一覧表
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仕様変更時の料金目安と判断フロー
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月額保守の内容(対応時間・範囲・SLA)
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分割払い時の総支払額と月額イメージ
価格そのものをいじる前に、「支払い方」と「契約条件の見える化」で失注理由を1つずつ潰していく。
ここに踏み込める制作会社だけが、高単価案件でも安定して受注し続けられる。
「ヒアリングが甘いから失注する」:プロ目線で見る質問と聞き出し方
「提案内容は悪くないのに、なぜか他社に決まる」
このパターンが続く会社は、ほぼ例外なくヒアリングが浅い。ワイヤーも見積もりも、その前の質問設計で勝敗がついている。
Web制作は「ページを作る仕事」ではなく、顧客の事業課題をWebという器に翻訳する仕事だ。課題の翻訳精度を決めるのがヒアリングであり、ここを外すと、その後の営業活動はすべてズレたまま突き進む。
ニーズと課題を取り違えると、Webサイトの役割設計からミスマッチが始まる
多くの商談で混同されているのが「ニーズ(やりたいこと)」と「課題(やらざるを得ない理由)」だ。ここを分けて聞けるかどうかで、サイトの役割設計がまるごと変わる。
よくある会話はこうなる。
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ニーズ:
「採用サイトを強化したい」「問い合わせを増やしたい」
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実際の課題:
「営業担当が足りず新規開拓が止まっている」
「既存顧客からの単価アップが進まず、粗利が薄い」
この2つを分解せずに「問い合わせ数アップ用サイト」とだけ捉えると、CVボタンやフォーム改善の議論に終始しがちだが、本当に必要なのは「案件の質を上げる情報設計」や「営業資料として使えるコンテンツ」かもしれない。
商談では、最低限以下の3層に分けて聞くとズレが減る。
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事業レベルの課題
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マーケティング・営業プロセスの課題
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既存サイト・Web施策の課題
この3層が揃った瞬間、顧客は「この会社はウチの内情まで理解している」と判断し、競合との差が一気に開く。
予算・時期・キーパーソンを自然に引き出すトークスクリプトと話法
予算・時期・キーパーソンを聞けない営業は、高確率で「価格」と「タイミング」で失注する。とはいえ、いきなり「予算いくらですか?」と切り込めば、警戒されるのも事実だ。
現場で有効な流れを、ステップごとに整理する。
| ステップ | 目的 | 実際の質問例 |
|---|---|---|
| 1. 現状把握 | 失敗経験と不安のあぶり出し | 「前回の制作で、いちばんモヤモヤが残った点はどこでしたか?」 |
| 2. 成功イメージ | ゴールと評価指標の確認 | 「今回のサイトがうまくいったとき、社内でどんな状態になっていると理想ですか?」 |
| 3. 投資感覚 | 予算レンジの探索 | 「その成果が得られるなら、年間どれくらいの投資までなら許容されそうでしょうか?」 |
| 4. 稟議プロセス | キーパーソンと時期を把握 | 「最終的なご決裁は、どなたとどなたの承認が必要になりますか?」 |
| 5. 支払い方 | 一括か分割かの許容度 | 「支払い方については、一括と分割ではどちらが社内として通りやすいでしょうか?」 |
ポイントは、「予算」「キーパーソン」を単体の質問として投げないことだ。
発注側は、過去の外注失敗(予算超過や要望不一致)を抱えているケースが多い。まずその不安を言語化してもらうと、その延長線上で「だったらこのくらいの投資までは」「社長が予算面をかなりシビアに見ていて」といった情報が自然に出てくる。
支払い方の確認は、決裁プロセスの話の“仕上げ”として聞くとスムーズだ。ここで「初期費用を抑えて分割にする選択肢もあります」とだけ添えておけば、のちの条件交渉で使えるカードが1枚増える。
顧客情報の共有とワークシート化で、チーム全体の提案力を底上げする
ヒアリング精度が個人依存のままだと、担当者が変わった瞬間に営業力がガタ落ちする。SFAの「失注理由:価格」といった単語だけでは、次の提案に活かしようがない。
最低限、次の3ブロックを持つワークシートを作り、商談後24時間以内に埋める運用を推奨したい。
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顧客の「表のニーズ」と「裏の課題」
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稟議フロー・キーパーソン・予算レンジ
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不安要素(過去の外注失敗・社内リソース・キャッシュフロー不安)
会議では、「今回の失注は見積金額の問題か?」ではなく、「このワークシートのどのブロックを取りこぼしたか?」を議論テーマにする。そうすると、チーム全体でヒアリングの質問設計を磨く流れが生まれ、個人の勘に頼らない営業組織に変わっていく。
案件ごとの失注要因を“見える化”する分析・分類の手法
「また価格で負けた」で終わらせる営業は、次の商談も同じ負け方をします。現場で本当に効くのは、案件ごとに失注要因を“分解してラベリングする仕組み”です。
「価格」「競合」だけでは足りない失注要因の分類とラベリングの作り方
まず、自社のWeb制作案件で必ず使う失注ラベルを設計します。ポイントは「表面的な理由」と「本当の原因」を分けてコード化することです。
| レイヤー | 分類カテゴリ | 具体ラベル例(Web制作向け) |
|---|---|---|
| 表面理由 | 価格・競合 | 予算オーバー/他社決定/見送り |
| 真因(ニーズ) | 要件・役割 | サイトの目的不明/期待値ギャップ/KPI不一致 |
| 真因(組織) | 稟議・体制 | キーパーソン未接触/稟議否決/決裁者変更 |
| 真因(条件) | 契約・支払い | 初期費用負担感/支払い条件不一致/契約期間への不安 |
| 真因(プロセス) | 営業活動 | ヒアリング不足/提案内容の弱さ/フォロー遅延 |
SFAやスプレッドシートの「失注理由」を、このレイヤー別ラベルに変更します。営業パーソンには「最低2つ以上の真因ラベルを必ず選ぶ」運用にすることで、“なんとなく価格”入力を封じます。
商談ごとの情報をチームで共有し、改善サイクルを回す失注分析テンプレート
ラベルだけでは改善に結びつきません。失注した案件を、毎月10〜20件ほどピックアップし、チームで分解します。おすすめは、1案件1枚のA4テンプレート運用です。
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基本情報
- 案件名/業種/想定売上/担当営業
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商談の全体像
- 接点〜提案〜見積〜稟議〜結果までのタイムライン
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失注ラベリング
- 表面理由コード/真因コード(複数可)
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キーとなった発言・メール文言
- 顧客が口にした「本音っぽい一言」を抜粋
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営業側の仮説
- 失注要因/足りなかった情報/次回の対策
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プロセス改善アイデア
- ヒアリング質問の追加/提案資料の改訂/支払い条件の提示タイミングなど
週次・月次の営業会議では、「売上ランキング」ではなく「失注トップ10」から議論を始めると、組織全体の営業力と情報感度が一気に変わります。
稟議フロー・経営体制・意思決定プロセスも含めたBtoB営業力の強化
Web制作のBtoB案件では、「いい商談だったのに役員会で落ちた」が頻発します。ここを分析に組み込まないと、いつまでも現場の感覚と経営判断がズレたままです。
| 観点 | 把握すべき情報 | ヒアリング例 |
|---|---|---|
| 稟議フロー | 決裁金額ライン/稟議の回数 | どの金額から役員決裁が必要ですか? |
| 体制 | 最終決裁者/影響力の強いキーパーソン | このサイトの成否で責任を問われる方は誰ですか? |
| 判断基準 | 投資対効果/キャッシュフロー/他案件との優先度 | 他の投資候補と比べた時、何を基準に判断されますか? |
| 支払い方 | 一括/分割/補助金利用可否 | 支払い条件はどのように設定されていると動きやすいですか? |
こうした情報を案件単位で蓄積すると、「製造業×中小企業×新規サービス立ち上げ時は、初回から支払い条件をセットで提案」「決裁者が社長のケースでは、投資対効果シミュレーション必須」といった、業界・企業規模別の“勝ちパターン”が可視化されます。
個人の勘に依存した営業から、失注データを武器にしたBtoB営業へ。ここまでやると、失注は“痛い経験”から“自社の営業設計図”に変わります。
Web制作会社がやりがちな誤解と、業界の“常識”を疑う視点
「また価格負けか」とSFAに登録して終わらせているうちは、受注率はほぼ動かない。多くの制作会社が共通してハマるのは「楽なストーリー」に逃げることだ。ここでは、現場でよく見る3つの誤解を、営業活動と数字へのダメージという切り口で分解する。
「安くすれば受注できる」は危険な幻想:価格ダウンと営業力ダウンの関係
値引きで受注した案件ほど、その後の商談が苦しくなる。理由はシンプルで、顧客の頭の中では「安く買ったサイト=投資対効果に厳しくない案件」ではなく、「安く叩ける業者=代替可能な業者」とラベリングされるからだ。
値引き前後で起きがちな変化を整理すると、次のようになる。
| 項目 | 値引き前 | 値引き後 |
|---|---|---|
| 顧客の評価軸 | 課題解決力・提案内容 | 価格優先・最安値比較 |
| 商談の質 | ニーズ深掘りのヒアリング | 単価交渉・工数削り合い |
| 次回案件の扱い | 「相談すべきパートナー」 | 「見積を取る1社」 |
短期の売上は立っても、営業力は確実に削られる。結果として、「案件は多いが粗利が残らない」「キーパーソンとの関係が深まらない」という中小の制作会社が量産される。価格を下げる前に、本当に削るべきは単価ではなく、ヒアリングの甘さと提案内容の抽象度だ。
「分割は格が下がる」という誤解が、機会損失とマーケティングの停滞を生む
高額の役務サービス分野では、分割やリースは「安売りの象徴」ではなく「投資をしやすくする導線」として機能している。Web制作も同じ構造だが、現場ではまだこんな声が根強い。
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「分割を出すと、安いサービスに見られそうで怖い」
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「ちゃんと予算がある企業だけ相手にしたい」
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「金融まわりは難しそうで営業が説明できない」
その結果、「提案内容は刺さっているのに、キャッシュフローの不安から社内稟議が通らない案件」をみすみす逃している。決裁者が見ているのは合計金額だけではなく、「いつ・いくら財布から出ていくか」だ。支払い方法を選べる状態にしておくことは、値引きとは別次元の打ち手であり、マーケティングの選択肢を増やす行為に近い。
Wikipedia的な情報やコタツ記事では語られない、現場の判断基準と留意点
営業現場での判断基準は、「5つのWを押さえた会話ができているか」に尽きる。
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Why そのサイトに投資する経営理由は何か
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What 具体的な課題・KPIは何か
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Who キーパーソンと最終決裁者は誰か
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When 予算化・公開のタイミングはいつか
-
How to Pay どの支払い方なら社内稟議を通しやすいか
多くの記事は「失注理由は価格・競合・ニーズ把握不足」と箇条書きで終わるが、現場で効くのは、これを商談ごとに言語化してチームで共有する運用だ。テンプレの失注理由コードに逃げず、「なぜその判断になったのか」を1案件ずつ分解して初めて、営業力強化とマーケティング改善が回り始める。
失注から学ぶ営業資料・サイト・提案内容のアップデート術
「負けた提案書」と「勝ち続ける提案書」の差は、センスではなく“構造”の差です。ここからは、失注シナリオを材料に、営業資料とWebサイトを総点検していきます。
営業資料とWebサイトで、顧客の疑問・不安・誤解を事前に払拭する方法
外注経験者の約9割が何らかの失敗を経験しており、理由の多くが「予算超過」「要望不一致」「デザインギャップ」と報告されています(PR TIMES調査)。この3つは、そのまま「商談前に潰しておくべき不安リスト」です。
顧客が心の中で抱えている典型的な疑問を、サイトと営業資料側で先回りして潰しておきます。
代表的な不安と、コンテンツへの落とし込みは次の通りです。
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予算超過への不安
- 価格表に「この金額に含まれるもの/含まれないもの」を明記
- 追加費用が発生するケースを具体例付きで記載
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要望不一致への不安
- 要件定義フローを図解
- 初回ヒアリングで必ず聞く質問リストを公開
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デザインギャップへの不安
- ラフ案→本デザインまでのプロセスを事例付きで紹介
- 「NGだったデザインからどう修正したか」のビフォーアフターを掲載
このとき、有効なのが「FAQを営業起点で再設計する」ことです。よくある“問い合わせ系FAQ”ではなく、失注の言い訳で頻出するワードから逆算して作ります。
FAQ設計の起点にしたいソースは次の3つです。
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SFAの失注理由欄(価格/競合/仕様不一致/タイミングなど)
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営業メンバーの口頭ヒアリングメモ
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納品後アンケートの不満・不安コメント
これらをマインドマップ化し、「金額への不安」「プロセスへの不安」「運用への不安」の3カテゴリで整理すると、サイト構成の穴が一気に見えてきます。
投資対効果と提供価値を伝えるプレゼン・計画書の作り方
決裁者が見ているのは、デザインではなく「投資対効果」と「キャッシュフロー」です。にもかかわらず、多くの提案書が“制作メニュー表”で終わっています。
営業資料を、次の3枚の必須スライドから逆算して組み立てます。
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1枚目: 経営課題とWebの役割整理
- 売上増加・採用強化・問い合わせ増など、経営目標とWebサイトの関係を図解
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2枚目: 投資対効果シミュレーション
- 例: 月間問い合わせが10件→20件になると粗利はいくら増えるか
- 期間を1年/3年で分け、回収見込みを表で整理
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3枚目: 支払い方法別のキャッシュフロー比較
- 初期一括払い案
- 分割・リース活用案(信販会社を使う一般的なスキームなど)
支払い方法の比較は、決裁者の判断を大きく後押しします。
| パターン | 初期負担 | 月次負担 | 向いている企業像 |
|---|---|---|---|
| 一括払い | 大きい | なし | 手元資金に余裕がある企業 |
| 分割・信販利用 | 小さい | 一定額 | キャッシュフローを重視する中小企業 |
分割決済導入支援サービスの中には、信販会社が立替払いを行い、発注企業は分割で支払う仕組みを提供するものがあります(例: まかせて信販は高額役務向けの分割決済導入支援サービスとしてホームページ制作等にも対応と公表)。こうした仕組みを「提案パターンの1つ」として資料に組み込んでおくと、「価格で悩んで止まる案件」を減らせます。
メルマガ・ブログ・セミナー・PRを連動させるマーケティング活用アイデア
失注理由の多くは、商談のその場ではなく「接触前」と「接触と接触の間」で醸成されています。ここをメルマガやブログで埋めていきます。
おすすめは、失注シナリオ4パターンをそのままコンテンツテーマにする方法です。
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パターン1: 見積提示直後に沈黙した案件
- ブログタイトル例「見積で固まるのはなぜか?Web制作の“予算超過”を防ぐ3つの事前確認」
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パターン2: キーパーソン不在で進めてしまった案件
- セミナーテーマ例「決裁者の頭の中を可視化するWeb提案の組み立て方」
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パターン3: 競合に内容で負けた案件
- ホワイトペーパー例「Web制作会社が提案前に必ず調べておくべき競合分析チェックリスト」
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パターン4: 納期・仕様追加で炎上した案件
- メルマガ特集例「要件定義の失敗から学ぶ、追加費用トラブルを防ぐ打ち合わせ術」
これらを単発で終わらせず、次のような導線設計にすると、マーケティングと営業活動が一体化します。
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ブログ→ホワイトペーパーDL→個別相談
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セミナー→アンケート回収→失注理由の定量分析
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メルマガ→事例記事→「同じ課題があればいつでも相談を」という常設CTA
ポイントは、「現場で本当に起きた失注シナリオ」をテーマにすることです。営業会議の議事録とSFAの失注理由を掘り起こし、コンテンツカレンダーにそのまま写経していくと、机上のマーケティングでは出てこない“刺さるテーマ”が揃っていきます。
「失注したまま終わらせない」フォローと再アプローチの仕組みづくり
失注直後のフォローと情報収集で、次の案件と改善施策に変える方法
失注は「ゲームオーバー」ではなく、「次の一手のためのユーザーインタビュー」と捉えた方が売上は伸びる。ポイントは感情が冷めきる前のフォローだ。
失注連絡を受けたら、営業担当は24〜48時間以内に以下を実行する。
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メールで一度お礼+簡単なアンケート依頼
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可能なら10〜15分のオンライン面談を打診
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「営業評価アンケート」でなく「意思決定プロセスの振り返り」として質問
聞くべきテーマを整理すると、次のようになる。
| 質問テーマ | ねらい |
|---|---|
| 比較したポイント | 顧客の評価軸を特定 |
| 最後まで迷った要因 | 受注目前で足りなかった価値を把握 |
| 社内稟議で出た懸念 | 次回提案で事前に潰す論点を抽出 |
| 予算・支払い条件への本音 | 金額と支払い方のどちらで詰まったか切り分け |
ここで得た一次情報は、次の提案内容・見積パターン・営業トークに必ず反映させる。単発の「反省会」で終わらせず、テンプレート化して毎案件で回すのが肝だ。
営業活動履歴の整理と、個人の経験を組織横断のイネーブルメントに昇華する
「Aさんは強いがチームは弱い」組織は、経験がSFAやスプレッドシートに沈んでいる。失注案件こそ、営業イネーブルメントの宝庫になる。
最低限、以下の粒度で営業活動履歴を残す。
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商談ステージ(初回・提案・見積・稟議中・最終交渉)
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失注要因(価格/支払い条件/要件ズレ/決裁構造/競合優位など複数選択)
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顧客の印象に残った提案内容・不安点
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キーパーソンの発言メモ
| 視点 | 個人管理で終わる状態 | イネーブルメントに昇華した状態 |
|---|---|---|
| データの粒度 | メモレベル | ラベル・タグ付きで検索可能 |
| 利用タイミング | 営業本人の次回商談のみ | 全営業のロールプレイ・研修・資料改善に活用 |
| 改善サイクル | 属人的な工夫 | 月次でチームレビューしルール化 |
月1回の「失注レビュー会」を設け、3〜5件を題材に全員で解剖する。ここで「どの質問が足りなかったか」「サイトや資料で事前に説明できなかったか」を突き詰めると、営業力の底上げスピードが一気に変わる。
分割決済や契約条件の見直しで“後日復活する案件”を取りこぼさない仕組み
Web制作は単価が高く、顧客都合で「今年はやめておく」が頻発する領域だが、その中には「支払い方さえ変えれば動く案件」が混じっている。ここを拾えるかどうかで、年間売上は静かに変わる。
やるべきは「失注理由:予算」をさらに分解して管理すること。
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「総額が高い」のか
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「初期費用のキャッシュアウトが重い」のか
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「決裁権者がキャッシュフローを懸念している」のか
| 失注パターン | 次回アプローチの打ち手 |
|---|---|
| 初期費用が重くて見送り | 分割決済サービスやリースを前提にした再提案 |
| 期末予算が足りない | 翌期スタート前に再見積+支払いスケジュール提案 |
| 稟議でリスク指摘 | 契約条件の明文化・保守範囲の整理をセットで再提示 |
高額商品・役務向けの分割決済導入支援サービス(例として「まかせて信販」のように、信販会社が立て替え、導入企業は一括で入金を受ける仕組み)を活用すれば、顧客は分割で支払いながら、制作会社側は回収リスクを負わずに済む。この「総額は変えず、支払い方だけを変えるカード」をポートフォリオに持っておくと、失注案件の“後日復活”が現実的な選択肢になる。
重要なのは、失注時点で終わらせず、「いつ・どの条件なら再び検討されうるか」を記録し、半年〜1年単位でリマインドする運用だ。ここまで設計してはじめて、「失注が次年度の受注予備軍」に変わっていく。
執筆者紹介
高額役務の分割決済導入を専門とする「まかせて信販」編集部です。ホームページ制作・ITサービス・スクール・士業など、多様な事業者の分割決済導入と運用を支援してきました。支払いスキームの設計を通じて、「単価を下げずに成約率を上げ、キャッシュフローを安定させる」提案づくりを日常的にサポートしており、本記事もその知見をもとにWeb制作会社向けの失注対策と支払い条件設計を体系化したものです。
