ホームページ制作に補助金を絡めた瞬間、多くの中小企業・個人事業は「知らないうちに損をする側」に回ります。理由は単純で、まとめ記事が教えてくれない“お金の流れ”と“段取り”を知らないまま動き出すからです。
「補助金でWeb制作費が実質無料になる」「採択されたら発注する」「IT導入補助金を使えば安心」──この発想のまま進めると、
- 採択されず案件そのものが消える
- 採択されたのに、交付決定から受給までの資金ショックで資金繰りが崩れる
- 事業計画と補助対象がズレて、時間も労力も回収できない
というパターンに、かなりの確率で巻き込まれます。
この記事は、「Web制作 補助金」を検索している経営者・フリーランス・制作会社が、そうした損失を避けるための実務ロジックと手順だけを抽出したものです。制度の概要解説ではなく、手元に残る現金と事業リスクがどう変わるかにフォーカスします。
- どの補助金でホームページが補助対象になるのか
- 公募・採択・交付・受給のそれぞれのタイミングで、いくらキャッシュアウトするのか
- 補助金、不採択時の自腹、一括払い、融資、分割決済、リースをどう組み合わせれば「倒れない資金計画」になるのか
を、事業・資金・制作スケジュールの三方向から整理していきます。
特に、次のような方は読み飛ばすと損をします。
- 「採択されたら発注します」と言われ、案件が前に進まない制作会社
- 自社で立て替える体力がなく、融資か分割かで判断に迷っている個人事業主
- IT導入補助金や持続化補助金の情報は調べたが、「自社ケースに当てはめたときの資金繰り」が見えていない経営者
この記事の前半では、補助金の最新マップと“NGな進め方”をあぶり出し、後半では、補助金に振り回されない予算設計と段取り設計を明らかにします。内容の全体像は、次の通りです。
| セクション | 読者が手にする具体的な武器(実利) | 解決される本質的な課題 |
|---|---|---|
| 前半(補助金のリアル・典型失敗・資金ショックの構造) | 使える補助金の見極め方、補助対象の条件、案件が消えるパターンの回避策 | 「どの制度をどう使えば安全か分からない」「申請しても事業が前に進まない」状態の解消 |
| 後半(資金計画・支払いスキーム・段取り設計術) | 一括・融資・分割・リースの比較軸、補助金不採択でも倒れない予算設計と制作スケジュールの組み方 | 補助金の結果に振り回されず、事業と資金と制作を一体で設計できない問題の打破 |
「補助金を使うかどうか」ではなく、補助金があってもなくても成立するWeb制作計画をどう組むかが、本当に差がつくポイントです。ここから先で、その具体的な方法を分解していきます。
「Web制作 × 補助金」まとめ記事では語られない“お金のリアル”とは
「補助金を使えばホームページは実質無料ですよ」
この一言から、案件が走り出しては消えていく現場を何度も見てきた。表向きはキラキラした支援制度だが、裏側では資金繰りとスケジュールの綱渡りが起きている。
多くのまとめ記事は制度の解説で終わるが、経営者が本当に知りたいのは「今、自分の財布からいくら出て、いつ戻るのか」「落ちた場合に事業計画をどう組み直すか」という一点だけだ。
下のギャップを押さえておくと、この記事全体の見え方が一気に変わる。
| 項目 | よくあるイメージ | 現場のお金のリアル |
|---|---|---|
| 補助金 | 出たらラッキーなプレゼント | 申請〜受給まで長期戦。事業計画と資金の両方が試される |
| Web制作費 | 補助金が通れば気にならない | まず全額キャッシュアウト。その一部が後から戻る仕組み |
| 予算設計 | 採択後に考えればよい | 不採択でも事業を回す前提で組まないと案件ごと吹き飛ぶ |
補助金でホームページが「実質無料」になるという誤解
現場で特に危険なのが「実質無料」というフレーズだ。
補助率3分の2の制度でも、実態は「先に100支払って、後から約66戻るかもしれない仕組み」でしかない。
よくある流れはこうなる。
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200万円の制作費の見積もりを提示
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「小規模事業者持続化補助金を使えば負担は3分の1程度ですよ」と案内
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事業主の頭の中では「70万円くらいで立派なホームページが手に入る」に変換
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不採択になった途端「200万円は無理です」と案件ごと停止
ここで抜けているのは次の3点だ。
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補助金は採択されない可能性が常にある
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採択されても、申請額がそのまま認められるとは限らない
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採択されても入金はかなり後ろにずれ込む
「無料」という言葉を信じて走り出すと、不採択イコール計画崩壊になりやすい。
補助金はあくまで事業の一部を後から補う“返ってくるかもしれないキャッシュバック”として捉えておくと、判断を誤りにくい。
補助金は後払い・採択前提では動けないという資金繰りの壁
多くの補助金は後払いだ。
つまり、ホームページ制作会社への支払いは「自社資金か融資か分割決済」で先に行い、その後に国や自治体から一部が振り込まれる。
ここで中小企業が直面するのが、次の資金の山だ。
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着手金や中間金で50〜100万円が一気に出ていく
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同時期に仕入れや人件費も発生している
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補助金の入金は検収・実績報告・審査を経て数カ月後
マネーフォワードや公的機関も繰り返し「立て替え資金の確保」を警告しているが、まとめ記事だけ読んでいるとここが抜け落ちやすい。
資金の時間差を無視すると、
売上が伸びる前に口座残高だけが先に痩せていく。
このギャップを埋める手段として、銀行融資や信販による分割決済、リースなど複数の決済スキームを組み合わせる発想が欠かせない。
まとめ一覧記事と現場の感覚がズレるポイント
IT導入補助金や持続化補助金の一覧記事は、制度の比較には役立つが、次の視点が薄いことが多い。
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「申請しても30〜50%は落ちる公募回もある」という採択率の肌感
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採択されても全経費が満額は認められないケースがある現実
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補助金前提案件は、制作会社側から見ると失注リスクが高く慎重にならざるを得ない事情
ここを知らないまま「この制度が自社に合いそうだ」で止まると、
経営者の期待と、制作会社の警戒心がすれ違う。
| 視点 | まとめ記事が語ること | 現場で本当に議論していること |
|---|---|---|
| 事業者 | 上限額や補助率の比較 | 今の資金でどこまで先払いに耐えられるか |
| 制作会社 | 対象経費かどうか | 不採択でも赤字にならない受注スキームか |
| 支援者 | 要件や書き方 | 事業として本当に投資回収できる計画か |
補助金の制度解説だけでは、事業のリスクも制作の段取りも見えてこない。
ここから先は、「どの制度を選ぶか」ではなく、「補助金があってもなくても倒れないWeb投資の組み方」に踏み込んでいく。
ホームページ制作で本当に使われている補助金・助成金の最新マップ
「ホームページ制作に使える補助金一覧」を眺めても、実務で“本当に動くお金”はかなり絞られる。現場で中小企業や個人事業がホームページに絡めて狙っているのは、ほぼこの4系統に収れんする。
| 制度名 | 想定規模・業種 | ホームページが補助対象になる典型パターン |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 商店・サロン・士業など小規模 | 新規顧客獲得のためのHP制作やリニューアル、予約サイト構築 |
| IT導入補助金 | サービス業・小売・製造 | 予約システム付きHP、ECサイト、顧客管理システムと一体のWeb構築 |
| 事業再構築補助金 | 売上が落ちた中小企業 | 新分野進出のECサイト、オンライン講座プラットフォーム構築 |
| 自治体の独自補助金 | 地元密着ビジネス | 「販路開拓」「デジタル化」を目的としたHP制作や改修 |
共通するのは、「ただの名刺代わりサイト」では採択されにくいことだ。公募要領では必ず「販路開拓」「生産性向上」「売上アップ」といった目的が明記されており、そこから外れたホームページは補助対象からこぼれやすい。
中小企業・個人事業が狙いやすい補助金と「補助対象」になりにくいケース
狙いやすいケースはシンプルだ。
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新規顧客を増やしたい飲食店の予約サイト付きHP
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来店依存から脱却したい小売店のECサイト
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紹介頼みを脱したい士業・工務店の問い合わせ獲得サイト
逆に、以下は現場で「これは厳しい」と判断されがちだ。
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会社概要だけの1~3ページ構成
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採用ページだけの増設
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デザイン調整やスマホ対応のみの軽微な更新
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ブログ機能だけの追加で、事業計画上の役割が説明できない構成
審査側は「そのホームページが事業計画のどこで売上や生産性に効くのか」を見ている。ここを曖昧にしたまま申請書を書いても、採択率は上がらない。
IT導入補助金や持続化補助金でホームページが認められる条件の基本
IT導入補助金と持続化補助金は、似ているようで“ホームページの扱い方”が違う。
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IT導入補助金
- 登録ITツールとして事前に認定されたシステム・サービスが対象
- 予約システムやECパッケージとセットで提供されるホームページ構築は通りやすいが、単独のデザイン制作だけでは対象外になりやすい
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小規模事業者持続化補助金
- 「販路開拓」の手段としてのホームページ制作が対象
- 事業計画書で、アクセスアップ→問い合わせ→売上の流れを数値レベルで説明できるかがカギ
どちらも補助金は後払いで、いったん全額を自社で支払い、実績報告後に補助金が交付される。ここを理解せずに「実質無料」と期待すると、資金ショックを起こしやすい。
地方自治体のホームページ補助金:市区町村ごとにチェックすべき情報
自治体のホームページ関連補助は、制度名も要件もバラバラだが、チェックすべきポイントは共通している。
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対象者:商工会議所・商工会の会員限定か、全事業者対象か
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対象経費:ドメイン・サーバー費や更新費用を含むか、初期制作費のみか
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上限金額・補助率:20万円以内2/3補助など、実際にどれだけ財布の負担が減るか
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受付方法:先着順か、公募期間内に審査か
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併用可否:国の補助金と同じホームページで二重取りできないルールがないか
市区町村の「商工会議所サイト」「補助金ポータル」を必ず確認し、国の制度とどう組み合わせるかまで含めて設計すると、限られた予算でもホームページ投資の選択肢が一気に広がる。
補助金前提で案件が消える“典型シナリオ”と、プロがまず止めるNG構成
補助金をフル活用できれば心強い武器になりますが、「補助金ありき」で組んだWeb制作案件は、現場では驚くほど高い確率で消えます。
制作会社の社長が口をそろえて言うのが、「見積もりも計画書も作ったのに、採択結果と一緒に案件も消えた」というパターンです。
「採択されたら発注します」で制作が進まない心理と現場のトラブル
中小企業側の本音はシンプルです。「自己資金は極力減らしたい」「失敗したら怖い」。
その結果、次のような流れにハマりがちです。
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補助金の公募要領をざっと読む
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制作会社に見積もりと計画書の作成を依頼
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申請だけして、採択されたら発注すると約束
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数カ月後、不採択 or 事業環境が悪化しキャンセル
制作側から見ると「事業計画書や申請書のドラフトまで無償で支援したのに、売上ゼロ」という事態になり、次第に補助金案件そのものを敬遠するようになります。
結果として、補助金を使いたい事業者の選択肢が狭まる悪循環が生まれます。
申請スケジュールと制作スケジュールが噛み合わないときに起きること
多くの補助金は、公募→採択→交付決定→実績報告→交付という長いスケジュールで動きます。
ここを読み違えると、次のような「時間のミスマッチ」が発生します。
| フェーズ | 事業者の感覚 | 制度上のルール・現場で起きること |
|---|---|---|
| 公募開始~締切 | すぐに着手したい | 交付決定前に契約・支出すると対象外になる場合が多い |
| 採択発表~交付決定 | とりあえず制作を進めたい | 仕様変更や見積もり修正で再調整が発生しがち |
| 制作~検収~実績報告 | 早くサイトを公開したい | 支払い・報告の証憑が揃わず報告書が遅延 |
特に問題になるのが、「広告の繁忙期に間に合わせたい」「採用シーズンに新サイトを出したい」といったビジネス上のタイミングと、公募スケジュールがズレているケースです。
この場合、採択を待っている間に商機を逃すか、ルール違反ギリギリの前倒し発注をして後から補助対象外と判定されるリスクが生まれます。
申請書だけ完璧でも落ちるパターン:趣旨・補助対象から外れている例
「テンプレの書き方どおりに計画書を作ったのに、申請件数も多くない回で不採択だった」という相談も少なくありません。
申請書の日本語が整っていても、次のようなズレがあると採択は遠のきます。
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補助金の目的が「生産性向上」「販路開拓」なのに、実態はデザイン刷新だけ
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ホームページ更新の内製化が目的なのに、高額なシステム導入に偏っている
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売上目標・KPIが業界の相場感からかけ離れており、計画の実現性が薄い
申請側は「かっこいいサイトを作りたい」という思いで計画書を書きがちですが、審査側が見ているのは事業としての収益インパクトと継続性です。
ここを押さえず、ネット上の記入例だけをなぞると、「書類は丁寧だが、補助事業としての妥当性に欠ける案件」と評価され、静かに落ちます。
補助金を前提にせず、「補助金が通っても通らなくても成立する事業・資金計画」を先に組む。
そのうえで、趣旨に合う部分だけを補助対象として切り出す。
この順番を守るだけで、「補助金と一緒に案件も消える」という最悪パターンはかなりの割合で防げます。
採択後に待っている「交付決定~受給」までの資金ショックをどう防ぐか
実際に起きがちなキャッシュアウトの山と、制作費用の立て替え問題
補助金は交付決定が出ても、ホームページ制作費を全額支払い、実績報告が認められてから受給となる。現場ではこの時間差で財布が一気に冷え込む。
典型的な資金の山は次の3段階になる。
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契約時の着手金
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納品時の残金請求
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実績報告後の補助金受給
制作費200万円、補助率3分の2の場合も、事業者が一度200万円を支払ってから、後からおよそ130万円が戻る構造になる。帳簿上は補助だが、当面は「立て替え」であり、仕入や人件費と重なると資金ショックが起こる。
制作会社側も同じ山を越える。クライアントが補助金入金まで支払いを遅らせれば、制作会社は数か月分の売掛を抱えることになり、運転資金を圧迫しやすい。
このズレを見える化すると判断しやすくなる。
| タイミング | 事業者の現金 | 補助金の状態 |
|---|---|---|
| 契約・発注 | 減少 | 未申請〜申請中 |
| 納品・支払い完了 | 大きく減少 | 交付決定済み |
| 実績報告〜受給 | 横ばい | 審査後に振込 |
銀行融資・給付金・支援金との組み合わせ方のコツ(資金の時間差を見る)
資金ショックを抑えるコツは、「お金が出ていく時期」と「入ってくる時期」を別々に並べてから、金融手段を当てはめることだ。
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銀行融資や日本政策金融公庫の創業融資
ホームページ制作費を含めた創業資金として計画書に組み込むと、着手金と納品時の支払いを長期分割にできる。金利はかかるが、資金の山をなだらかにできる。
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給付金・支援金
コロナ関連や自治体の販路開拓支援金などは「後から上乗せ」で入ってくることが多い。補助金とは別ポケットとして考え、受給時期をカレンダーに書き込んでおくと、資金ショックの予測精度が上がる。
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信販会社の分割決済
制作会社にとっては、信販会社が立て替え、クライアントは最大96回といった長期で分割する仕組みを導入すると、制作費を一括で受け取りながら、エンドユーザー側の負担を月額に分散できる。個人与信で審査するサービスもあり、設立間もない法人でも導入しやすい。
支援機関・専門家が伝える「採択結果が出たあとに慌てないための準備」
商工会議所や支援機関の担当者がよく口にするのは、「採択された瞬間から逆算しても遅い」という一言だ。交付決定後に慌てないためには、少なくとも次の準備を申請前に済ませておきたい。
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手元資金で賄える上限額を把握する
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銀行融資や公庫への相談タイミングを決めておく
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分割決済やリースなど、制作会社が用意できる決済手段を確認する
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実績報告に必要な書類(請求書、振込明細、検収書)のフォーマットを事前に共有する
この段取りをしておくと、「採択はされたが支払いができない」「実績報告の不備で受給が遅れ、資金ショート寸前になる」といった事態をかなりの確率で避けられる。補助金は単なる割引券ではなく、事業と資金と制作の三つを同時に動かすプロジェクトだと捉えると、判断を誤りにくくなる。
補助金だけに頼らないWeb制作予算の組み立て方(分割・ツール活用を比較)
「補助金が落ちた瞬間、ホームページの話も消えた。」
現場で何度も聞くこの一言は、補助金前提の予算設計そのものが“経営リスク”になっている証拠です。ここでは、補助金は“あればラッキー”に位置付けつつ、Web制作費用をどう平準化するかを整理します。
一括払い・融資・分割・リース:制作コストをどう平準化するか
同じ制作費100〜200万円でも、「財布からいつ・どれだけ出ていくか」で体感負担はまるで違います。現場で使われる主な資金調達・決済スキームを、資金繰り目線で並べると次のようになります。
| 方法 | 資金の出ていき方 | 主なメリット | 主なデメリット | 向きやすい事業 |
|---|---|---|---|---|
| 現金一括払い | 契約時や納品時にドンと出る | 総額が安くなりやすい / 手続きが少ない | 一時的な資金ショックが大きい | 手元資金に余裕がある会社 |
| 銀行融資+一括払い | まとまった資金を借りて一括支払 / 返済は毎月 | 金利が比較的低い / 他投資とセットで計画しやすい | 審査に時間・書類が必要 / 創業まもないとハードル高め | 計画的に成長投資したい中小企業 |
| 信販系の分割決済 | 制作会社には一括入金 / 利用者は毎月返済 | 制作会社は回収リスクほぼゼロ / 個人与信で導入しやすいサービスもある | 手数料負担 / 審査落ちリスク | 小規模事業・個人事業のWeb制作案件 |
| リース・割賦販売 | サーバー・機器+一部システムを月額払い | 「設備」とセットで導入しやすい | 途中解約が難しい / 役務のみは対象外になりやすい | システム・機器導入が大きい業種 |
ポイントは、「補助金が入る・入らない」とは別に、日々の売上から無理なく捻出できる月額ラインを決めることです。
例えば、月5万円までなら広告費として耐えられる飲食店なら、
・Web制作費の一部を分割
・残りを小規模な銀行融資
で組み合わせ、補助金は「返ってきたら前倒し返済にまわす」くらいの感覚で設計すると、採択・不採択に振り回されなくなります。
信販会社を使った分割決済サービスの中には、Web制作やコンサルのような役務でも利用しやすい仕組みがあり、制作会社側は代金を一括で受け取れる形が一般的です。この構造を理解しておくと、「クライアントの資金負担は月額」「制作会社の資金回収は一括」という両方のニーズを両立できます。
ITツール導入とホームページ構築を分けて考えると見える“予算の逃げ道”
IT導入補助金や持続化補助金では、「ITツール導入」と「ホームページ制作」が同じ箱の中で語られがちですが、費用の性質は別物です。
・ITツール導入
クラウドシステム、予約システム、ECカートなど、業務プロセスを変える“システム投資”
・ホームページ構築
ブランディング、採用、販路開拓の起点になる情報発信の“メディア投資”
この2つを分けて考えると、予算の逃げ道が見えてきます。
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システムは「IT導入補助金+月額利用料」で組み立てる
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ホームページは「持続化補助金+分割決済」で平準化する
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どちらも通らなかった場合は、「最低限のサイト+後から拡張する」二段構えにする
例えば、最初からフルスクラッチで300万円のサイトを狙うのではなく、
・初年度は100万円で骨格だけ構築(分割+一部自己資金)
・翌年度以降に、補助金や利益を使って機能追加
という段階投資モデルにしておけば、「今年の公募に間に合わなかったから全て白紙」という事態を避けられます。
補助金不採択でも倒れない予算設計:制作コストを何で、どこまで補うか
現場で失敗が多いのは、「補助率2/3だから、自腹は3分の1で済むはず」という“机上の計算”で計画書を書いてしまうケースです。実態に合わせて組むなら、次の3ステップで考えた方が安全です。
-
補助金ゼロ前提での“最低ライン”のサイト費用を決める
・「この内容なら、自己資金+分割でギリギリ回せる」という金額を、経営者と制作会社で共有する -
補助金を“上乗せオプション”と位置付ける
・採択されたら、写真撮影、LP追加、予約システム連携など、売上アップに直結する項目を後から足す -
資金の出どころを3つに分散する
・自己資金
・金融機関からの融資(公庫・マル経なども含む)
・信販系の分割決済やリース
この順番で設計すれば、「補助金の交付決定」と「ホームページ公開」がセットでなくてもよくなります。補助金は事業の成長を後押しする“ブースター”であって、サイト公開の「スイッチ」ではありません。
制作会社側も、見積時に
・補助金ありパターン
・補助金なしパターン
・分割決済併用パターン
の3つを並べて提示しておくと、社長の資金計画と話が合わせやすくなり、「採択されなかったので今回はナシで…」という失注パターンを大きく減らせます。
Web制作会社・ベンダー側で実際に起きている「案件化の落とし穴」
「補助金をからめれば、単価も上がるし成約率も上がるはず」
そう信じて走り出した制作会社ほど、現場では逆に商談が長引き、案件が消えていく光景を見ている。
補助金あり案件ほど受給決定前に失注しやすい理由
補助金前提のWeb制作は、営業の土俵から「価格交渉」ではなく「公募スケジュールと審査」の土俵に移る。ここで多くの制作会社が、次の3つの失速ポイントにはまりやすい。
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採択発表まで3〜4か月放置され、その間に競合や別案件へ流れる
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結果が出る頃には、クライアントの資金状況や優先順位が変わっている
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不採択=予算ゼロと誤解され、代替案を検討する前に話が消える
感覚値として、現場からは「補助金あり案件は、通常案件に比べ途中離脱率が高い」という声がよく出る。
その背景を整理すると、次の構造になる。
| 観点 | 補助金なしWeb制作 | 補助金ありWeb制作 |
|---|---|---|
| 受注までの期間 | 2〜4週間 | 3〜6か月 |
| 失注タイミング | 見積もり直後が多い | 採択発表前後が多い |
| 失注理由の主語 | 価格・仕様 | 資金・スケジュール・不採択 |
「採択されたら発注します」という一言は、その場の安心感は高いが、営業コントロールを手放す宣言に近い。ここに気付けるかどうかで、補助金との付き合い方が変わる。
着手金ゼロ・成功報酬型の補助金サポートが抱えるリスクと現場の疲弊
中小の制作会社ほどやりがちなのが、「申請サポート費は採択されたらでOK」「着手金ゼロで伴走します」というモデルだ。表向きはクライアントにメリットが大きく見えるが、現場では次のような負債が積み上がる。
-
計画書・申請書作成に数十時間かけても、不採択なら売上は0円
-
申請件数が増えるほど、代表やディレクターの夜と週末が埋まり、本来の制作・営業が圧迫される
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「タダでやってもらえるなら」と、そもそも本気度の低い相談も集まりやすい
結果として、「補助金案件を増やすほど、キャッシュと体力が削られる」という逆説的な経営状態に陥る制作会社が少なくない。
成功報酬型を採用するなら、
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事前相談の段階で、補助対象・要件に合わない案件はきっぱり断る
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申請サポート費用の一部は、申請時点で最低限の着手金として請求する
-
不採択時でも回収できる「計画書作成・コンサル費」として契約を分ける
といったリスク分散がないと、継続的な支援事業としては持たない。
相談者とのメール・チャットで頻発する「誤解のパターン」再現例
補助金付きWeb制作の相談窓口には、メールやチャットで似たフレーズが何度も飛んでくる。現場で頻発する誤解を、あえて原文に近い形で並べる。
-
「補助金を使えば、自己負担ほぼ無料でホームページ作れますよね?」
→補助率はあくまで上限。しかも交付は後払いで、全額を一度は自己資金や融資で支払う必要がある。
-
「採択されなかったら、今回の制作はなかったことにしてもいいですか?」
→この前提で進めると、制作会社側の事業計画が崩れる。不採択時の代替手段(分割決済やスコープ縮小)までセットで設計しておくべき案件だ。
-
「とりあえず申請だけ出してみて、通ってから中身を考えましょう」
→補助金の審査は事業計画の具体性と実現性を重視するため、このスタンスでは採択率が下がる。結果として「補助金は難しい」という悪印象だけが残る。
こうした誤解に、その場しのぎで迎合すると、後で必ず揉める。
経験豊富な制作会社ほど、初回の相談メールの時点で
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資金の準備状況
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補助対象になる可能性
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不採択だった場合の制作費用の支払い方法(一括・融資・分割決済など)
をセットでヒアリングし、「補助金があってもなくても継続できるプロジェクト」かどうかを静かに見極めている。ここを丁寧に詰められるかが、補助金時代の案件化スキルの分かれ目になっている。
こうすれば事故らない:補助金+ホームページ制作の“段取り”設計術
「補助金出たらサイト作ります」が口約束のままだと、半年後に“お金も時間もゼロ”という事故が起きます。事故を防ぐ鍵は、感覚ではなく段取り表で事業・資金・制作を並べて見ることです。
申請前に整理しておくべき資料・診断・チェック項目
申請書を書き始める前に、最低限ここまでは机に並んでいる状態にします。
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事業そのものの整理
- 現状の売上・客数・粗利(ざっくりで良いが根拠を数字で)
- ホームページで増やしたいのは「問い合わせ数」「予約数」「単価」のどれか
- 競合サイトのURLと「負けている理由」のメモ
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資金・キャッシュの確認
- 手元資金で今すぐ出せる上限額
- 補助金の交付決定から入金まで待てる期間
- 銀行融資・信用金庫・日本政策金融公庫への相談余地
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書類・証拠の準備
- 開業届・登記簿謄本・直近の確定申告書または試算表
- 見積書(Web制作会社から)
- 事業計画書のドラフト(テンプレートベタ写しではなく、自社の数字入り)
申請前チェックとして、次の3つがすべて「はい」ならGO判断に近づきます。
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補助金がゼロでも、規模を落とせばホームページ制作を実行できる
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制作費をいつ・誰に・どういう方法(現金・融資・分割決済)で払うか説明できる
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公募締切~採択発表~交付決定~実績報告までのタイムラインをカレンダーに書いてある
手続きフローを「事業 × お金 × 制作」の3レイヤーで見直す
多くのトラブルは、「申請スケジュールだけを見て、制作と資金の線を引いていない」ことから生まれます。3レイヤーを並べると、危険な山が一目で分かります。
| レイヤー | いつ考えるか | 典型的な落とし穴 | 取るべき対策 |
|---|---|---|---|
| 事業(計画書) | 公募前~申請前 | 売上予測が根拠なく大きすぎる | 既存の客数・単価から逆算し、3年後でも無理のない数字にする |
| お金(資金繰り) | 申請前~採択直後 | 補助金入金前の立て替え資金を見ていない | 手元資金+融資+分割など支払方法を組み合わせて試算する |
| 制作(Web構築) | 事前ヒアリング~納品まで | 公募締切に合わせて仕様を盛りすぎる | 「絶対必要」と「あると良い」を分け、後から追加できる構成にする |
この表をもとに、制作会社とも同じカレンダーと数字を見ながら打ち合わせすると、「そんなに先払いできませんでした」という行き違いをかなり減らせます。
支援機関・代行業者に丸投げした案件でよくあるNGと、その回避策
商工会議所や支援機関、申請代行の専門家は心強い味方ですが、「丸投げ」すると別の事故が起きます。
よくあるNGパターンは次の3つです。
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支援機関が作った計画書と、実際に依頼したいホームページの中身がズレている
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代行業者が採択率だけを追い、運用できないほど高機能なサイト構成で申請してしまう
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交付決定後に「この仕様は補助対象外なので自己負担です」と判明し、予算オーバー
避けるための実務的なポイントは次の通りです。
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支援機関との打合せには、可能な限り制作会社の見積書とラフ構成を持参する
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「この部分は補助対象経費、この部分は自腹」という線引きを、申請前に三者で確認する
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代行業者に依頼する場合も、「補助金がゼロでも成立する事業計画にしてください」と最初に伝える
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立て替え負担が重い場合は、銀行融資や信販会社の分割決済など支払手段の組み合わせを検討し、交付決定前から資金調達の相談を並行して進める
補助金は、ホームページ制作の“起爆剤”にはなりますが、“生命維持装置”にはなりません。事業・お金・制作の3本線を1枚の紙に描き出すことが、事故を防ぐ最初の一手になります。
「補助金に振り回されない」中小企業・個人事業のホームページ戦略
補助金はあくまで「追い風」であって、舵を握るのは経営者自身の事業計画と資金戦略です。採択の有無に人生を左右されないためには、最初からホームページを事業そのものの“売れる仕組み”として設計することが欠かせません。
多くの現場で見てきたのは、「補助金が取れたら立派なサイトを」「落ちたら何もしない」という二択思考です。これでは販路開拓も採用もずっと後手に回り、売上も人材もライバルに流れます。ポイントは、補助金の有無にかかわらず実行できるAプラン/Bプランの二重設計にしておくことです。
補助金があってもなくても意味のあるホームページの目的設計
最初に決めるべきは「デザイン」ではなくホームページの役割です。現場では、目的が曖昧なサイトほど投資回収に失敗しやすくなります。
| 主な目的 | 成功しているサイトの指標例 | 補助金の有無に左右されない設計ポイント |
|---|---|---|
| 新規集客(販路開拓) | 問い合わせ件数・来店予約・見積依頼 | 小さく始めて広告・SEOで後から拡張できる構成 |
| 既存顧客の囲い込み | メルマガ登録数・会員ページのログイン回数 | 更新を社内で回せるCMS・テンプレート化 |
| 採用・人材獲得 | 応募数・面接設定数・定着率 | 仕事内容・社風・給与レンジを正直に見せる構成 |
| 信用力アップ | 取引先からの評価・商談成約率 | 実績・受賞歴・専門資格の見せ方を整理 |
この表のどれを優先するかで、「必要なページ構成」「最低限の制作費用」「運用にかかる手間」が変わります。補助金の申請書を書き始める前に、経営者自身が目的と数字目標(問い合わせ月◯件・応募月◯件など)を決めておくと、採択されなくても「まずは必須部分だけ発注する」という判断がしやすくなります。
サイトリニューアル・採用サイトなど“補助金外”の投資も回収する考え方
補助対象になりにくいリニューアルや採用サイトでも、現場では意外と回収スピードが早い投資になりやすい領域です。例えば:
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採用ページを整えた結果、求人媒体への掲載回数が減り、年間の広告費が下がる
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施工実績ページを整理したことで、営業の説明時間が短くなり、商談数を増やせる
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よくある質問を充実させて電話対応が減り、社長やスタッフの残業が減る
これらは帳簿上は「制作費」でも、実態は人件費と広告費の節約=固定費削減投資です。補助金が付かなくても、1〜2年で元が取れるケースが少なくありません。
補助金を狙うかどうかよりも、「このホームページ投資で、毎月の財布の手残り(利益)がいくら増えるか」「何年で回収できるか」をシンプルに計算し、足りない部分だけを分割決済や融資で平準化する。こうした考え方に切り替えると、補助金の採択結果に一喜一憂せず、事業を前に進めやすくなります。
執筆者紹介
Web制作×高額役務の分割決済設計を主領域とし、日常的にホームページ制作会社やスクール・サロン等の資金計画を支援している「まかせて信販」の担当者です。補助金だけに頼らない販売スキームやキャッシュフロー改善の相談を多く受けており、その現場感覚をもとに「倒れない資金計画」と決済手段の選び方を解説しています。
