役務提供と加盟店契約で落ちない審査設計術と決済トラブル防止策まで

あなたのエステサロン、教室、学習塾、Web制作、オンラインサービスは、本来通るはずの加盟店契約を「役務だから無理」の一言で捨てていないか
見えにくい損失は、売上そのものではなく、クレジットカード・ショッピングクレジット・口座振替などの決済設計と契約内容のズレから静かに始まります。

現場で審査に落ちる会社の多くは、業種が美容・医療・語学・家庭教師だからではありません。
落ちる理由は、いわゆる特定継続的役務に該当させてしまう販売形態(長期一括・高額コース)と書面の作り方にあります。
特定商取引法や割賦販売法、クーリングオフ、中途解約、返金ルールとの整合がとれていない決済フローを組んだ瞬間、加盟店審査は一気に不利になります。

一方で、MIRAIや決済代行会社のFAQが示す通り、「役務提供でも加盟店契約は普通に通る」ケースは少なくありません。
違いを生むのは、業種コードではなく、

  • 契約期間と金額の設計
  • 月謝と長期一括の線引き
  • 解約・解除・返金の条件をどう書面化し顧客に説明しているか
  • その内容に合わせて、カード決済・クレジット・口座振替・リースをどう組み合わせるか

という実務レベルの行為と表示です。

このコラムでは、「役務提供 加盟店契約」というキーワード周辺で分断されている情報を一つに束ねます。
消費者庁の特定継続的役務トラブル事例、決済代行会社・信販会社の公開情報を、エステサロン、語学教室、結婚相手紹介サービス、Web制作会社など具体的な店舗・事業の運営目線に引き寄せて整理します。

一般的な「キャッシュレス決済のメリット」紹介では終わりません。
この記事で扱うのは、次のような実務の核心部分です。

  • 「役務」なのに審査が通る事業と、同じサービス内容でも落ちる事業の分かれ目
  • 決済端末やオンライン決済を導入するとき、どこまで設計すればチャージバックとクレームを同時に抑えられるか
  • エステサロンや教室で「効果不満→解約→返金」になった時、どこまで返金し、どこから対価として守れるか
  • 他社で断られた業種が、代行会社・信販代行を使って再チャレンジする際に、先に整えておくべき契約書と同意書の事項

この記事を読み終える頃には、

  • 「うちの業種はダメかもしれない」という漠然とした不安を、自分で判定できるチェックリストに変え
  • 加盟店契約の締結前に、どの決済手段をどう組み合わせれば、手元に残る現金と評判を最大限守れるか

を、自社のサービス設計に落とし込めるようになります。

この記事全体で得られる武器を、先に俯瞰しておきます。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
構成の前半(役務×特定継続的役務の線引き、カード決済・クレジット・月謝制の構造、加盟店審査の着眼点) 自社サービスが特定継続的役務に該当するかを自力で判定し、業種・期間・金額・販売形態を踏まえた通りやすい審査設計と決済手段の組み合わせを選べる 「役務だから加盟店契約は無理」「どの決済を導入すべきか分からない」といった思い込みと情報不足による機会損失
構成の後半(炎上パターンと修正ポイント、分割導入の成功例、代行会社の使い方、セルフチェックリスト) 解約・クーリングオフ・返金トラブルを事前に潰す解約フローと書面・広告表現のひな形を持ち、決済代行会社・信販代行を戦略的に使って安定したキャッシュフローを確保できる 加盟店契約締結後に起きるチャージバック・行政処分・口コミ悪化など、取り返しのつかないリスクへの無防備さ

「役務提供だから」「特定継続的役務だから」と一括りにしている限り、売上と信用の両方で損をし続けます。
ここから先は、業種別の具体例と審査現場の論点を一つずつほどきながら、自社にとって最も現実的な決済戦略を組み立てていきます。

  1. 「役務だから無理」は本当か?役務提供と加盟店契約の勘違いを5分でほどく
    1. 役務提供と特定継続的役務は別物:用語と規制対象をざっくり整理
    2. MIRAIのFAQに見る「役務でも加盟店契約OK」の現実と、その裏の審査基準
    3. Web制作・オンラインサービス・教室…よく迷うグレーな業種マップ
  2. 特定継続的役務×カード決済が「嫌われがち」な3つの理由と、本当にNGなライン
    1. エステサロンや教室が規制対象になる条件:期間・金額・指定役務のチェックポイント
    2. クーリングオフ・中途解約・返金ルールが“決済手段”に直結する仕組み
    3. 公開トラブル事例から読む「この説明と書面が抜けると一気に危険」
  3. カード決済・クレジット・月謝制…決済手段の選び方を間違えるとどう破綻するのか
    1. カード決済/ショッピングクレジット/口座振替/リースの構造を一枚の図で比較
    2. 高単価コース・長期コースで分割を組むときの“決済額と回数”の現実的なライン
    3. 「月謝」と「長期一括」の境界で起きがちな徴収・請求トラブルケース
  4. 加盟店審査で本当に見られているのはどこか?業種コードより怖い「販売形態」と書類の中身
    1. 決済代行会社や信販会社がチェックする“販売形態・契約書・表示”のツボ
    2. 特定商取引法の表示義務・書面交付・禁止行為が、加盟店契約にどう跳ね返るか
    3. 行政処分・評判リスクを避けるための「広告表現」と「同意書」の最低ライン
  5. 「最初は順調だったのに…」特定継続的役務で炎上する典型パターンと、プロの修正ポイント
    1. エステ・教室でありがちな「効果不満→解約→返金」シナリオを分解する
    2. 中途解約精算の設計ミスが、チャージバックとクレームを同時に呼ぶ理由
    3. 実務で使える“解約フロー設計”と、事前の説明テンプレート例
  6. Web制作・オンライン役務の「分割導入」成功パターン:キャッシュフローと単価アップの両立術
    1. 高額Web制作・コンサル案件で分割決済を入れたときのキャッシュフローの変化
    2. 「分割回数」「決済額」「サービス提供期間」をどう揃えるとトラブルが減るか
    3. EC・対面・オンライン混在ビジネスで決済手段を整理するチェックリスト
  7. 決済代行会社・信販代行をどう使うか?カード会社に直接行く前に押さえる3つの戦略
    1. カード会社直VS代行会社VS信販代行:審査・セキュリティ・手間のリアル比較
    2. 特定継続的役務を扱うときに「PCI DSS」「セキュリティ基準」が効いてくる場面
    3. 他社で断られた業種が、再チャレンジ前に必ず整理しておくべき利用先と書類
  8. 「うちの業種は大丈夫?」を自分で判定するセルフチェックリスト【エステ・教室・Web制作ほか】
    1. 規制対象かどうかを見分ける「指定役務」「期間」「金額」の3ステップ
    2. 施術メニュー・コース設計・月謝の組み立て方で特定継続的役務を外せるケース
    3. 決済システム導入前に確認したい、表示・書面・解約条項の該当項目一覧
  9. まとめ:役務提供が加盟店契約で失敗しないための“防御フロー”と、次に打つべき一手
    1. 業界の古い常識(「役務は全部NG」)を疑い、現行制度で取れる選択肢を並べ直す
    2. トラブル・処分を避けながらキャッシュレス決済を活かすための行動リスト
    3. 専門家に連絡する前に、社内で準備しておくと審査が通りやすくなる情報セット
  10. 執筆者紹介

「役務だから無理」は本当か?役務提供と加盟店契約の勘違いを5分でほどく

「うちはエステだし、継続コースだし、カード決済は無理だろう」
「Web制作は“役務提供”だから、加盟店審査は通らないと聞いた」

この思い込みで、毎月何十万円もの売上チャンスを自分で捨てている事業者が少なくありません。
現場の実態は逆で、“役務だからNG”ではなく、“役務の設計と書類の出し方”で勝敗が決まるのが加盟店契約です。

ここでは、エステサロン・教室・Web制作会社・バックオフィス担当が最初に押さえるべき「用語」と「線引き」だけを、5分で一気に整理します。

役務提供と特定継続的役務は別物:用語と規制対象をざっくり整理

まず、よくごちゃ混ぜにされる2つを切り分けます。

  • 役務提供

    • サービスの提供全般(Web制作、オンラインコンサル、エステ、語学教室、学習塾など)
    • ここだけでは法規制の特別扱いは決まらない
  • 特定継続的役務

    • 特定商取引法が「トラブルが多いから要注意」とした指定6分野の継続サービス
    • 代表例:エステティック、美容医療に類する役務、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス
    • 一定の期間・金額・支払方法を満たすと、クーリングオフや書面交付義務が一気に重くなる

イメージとしては、「役務提供」がただの“サービス全般”、
その中で一部が「特定継続的役務」という“要注意ゾーン”に入る、という構造です。

この切り分けを誤ると、

  • 役務提供=全部グレーと怖がってキャッシュレス導入を諦める

  • 逆に、本当は特定継続的役務なのに意識せず運営してクーリングオフ・返金で炎上する

という両極端に走りがちです。

MIRAIのFAQに見る「役務でも加盟店契約OK」の現実と、その裏の審査基準

決済代行各社のFAQを横並びで読むと、ポイントがはっきりします。
例として、MIRAIなどが出しているFAQでは要旨として「役務でも加盟店契約は可能」と明言されています。

ただし、現場の審査で見られているのは業種コードよりも“販売形態セット”です。

代表的なチェック観点を整理すると、こうなります。

見られているポイント 審査側の本音 加盟店側の落とし穴
契約期間 長期すぎないか、役務提供期間と支払期間は整合しているか 12カ月コースを一括前払いで取るのに、途中解約条項が曖昧
金額 消費者の負担が過大でないか 「まとめて払えば安い」で高額一括に誘導
クーリングオフ・中途解約 特定商取引法の要件を満たしているか 書面がない・説明が口頭だけ
返金フロー 解約時の返金計算がロジカルか 実費精算ルールがなく、その場交渉で対応
表示・広告 誇大表示や誤認リスクがないか ビフォーアフターを断定表現で掲載

表を見て分かる通り、「エステだからNG」「教室だからNG」ではなく、
“長期・高額・事前一括・説明不十分”がセットになると一気に危険信号になります。

MIRAIのような決済代行会社は、カード会社のリスク基準と特定商取引法・割賦販売法を踏まえながら、

  • この販売設計なら、チャージバックや返金トラブルの確率はどれくらいか

  • 行政処分や炎上で、カードブランドの名前が傷つかないか

を冷静に見ています。
裏返せば、ここを整えれば「役務でも通る」余地は十分あるということです。

Web制作・オンラインサービス・教室…よく迷うグレーな業種マップ

次に、「自分は特定継続的役務なのか」が曖昧になりやすい業種をざっくりマッピングします。

業種・サービス 典型パターン 特定継続的役務に該当しやすいか 加盟店審査でのポイント
Web制作会社 制作一式+保守サポート 単発制作は通常対象外。長期サポートをコース化すると要注意 制作完了前に全額前払い+長期分割を組む設計は嫌われやすい
オンラインスクール 3〜6カ月の動画・添削コース 期間・金額次第で「教室」に近づく 教材販売に見せかけた実質スクールはチェックされる
エステサロン 10〜30回コース・定額通い放題 エステはそもそも特定継続的役務の指定業種 コース回数・契約期間・中途解約条項がそのまま審査の核心
語学教室・学習塾 月謝・学期一括など 一定の期間・金額を超えると指定役務 「月謝制に見せかけた長期一括」が最も危険な設計
コンサル・オンラインコーチング 3カ月〜1年の伴走プラン 直接の指定業種ではないが、形によっては類似リスク 成果保証・高額一括・返金保証の組み合わせが要注意

ここで重要なのは、同じ業種でも「販売設計」で色が変わる点です。

  • Web制作でも、「着手金+納品時残金」の2回払いで、役務提供と支払のタイミングを揃えれば審査は通りやすい

  • エステや美容系でも、「回数券+都度予約」「短期コース」で組めば特定継続的役務の条件から外せるケースがある

  • 教室・塾でも、「本当に月謝制(毎月解約自由)」であればリスクはかなり下がる

ペルソナ1の中小Web制作会社代表にとっては、
「高単価サイトを分割で売りたいが、加盟店契約が怖い」状況をどう崩すかがテーマになります。
その突破口は、役務の設計と決済の設計を“別々に考えない”ことです。

続く章では、特定継続的役務とカード決済がなぜ嫌われるのか、どこまでが本当にNGラインなのかを、消費者庁のトラブル事例と決済代行各社の公開情報をベースに、より踏み込んで解きほぐしていきます。

特定継続的役務×カード決済が「嫌われがち」な3つの理由と、本当にNGなライン

「エステや教室はカード無理です」と言われた経験があるなら、それは“業種”より“売り方”で落とされている可能性が高いです。
特定継続的役務は、カード会社から見るとリスクが濃縮されたビジネスモデルになりやすく、加盟店審査で最初に疑われます。

嫌われる主な理由は次の3つです。

  • 高額×長期×無形で、解約・返金トラブルが発生しやすい

  • クーリングオフ・中途解約時の返金資金を、加盟店が持ちきれないことが多い

  • 行政処分や口コミ炎上が起きると、カード会社も一緒に燃える

ただし「特定継続的役務=即NG」ではありません。どこからが法律上アウトかを踏み外さない設計をすれば、加盟店契約は十分狙えます。


エステサロンや教室が規制対象になる条件:期間・金額・指定役務のチェックポイント

まず、特定継続的役務に該当するかどうかのざっくり判定軸です。消費者庁・経産省の資料を加盟店目線に引き直すと、チェックすべきは次の3点です。

  • 指定役務に入るか(業種)

  • 一定額以上か(支払金額)

  • 一定期間以上か(契約期間)

代表的な指定役務を整理するとこうなります。

区分 主なサービス例 目安となる期間・金額のライン(参考)
美容 エステサロン 1カ月超かつ5万円超の継続コース
学習 語学教室・学習塾・パソコン教室 2カ月超かつ5万円超のコース・講座
教育 家庭教師 2カ月超かつ5万円超の契約
婚活 結婚相手紹介サービス 1カ月超かつ5万円超
医療類似 美容医療(一定のもの) 内容により個別判断が多い

※具体的な金額・期間は法令・ガイドラインを必ず確認することが前提

加盟店側でやるべきことは単純です。

  • 対象役務かどうか

  • そのコース設計だと期間・金額条件を踏んでいないか

を、メニューごとに表にして潰しておくことです。
特に「6カ月一括払いを“月謝”と呼んでいる」「実質通い放題だが上限回数を書いていない」といった“見せ方のズレ”は、審査でもトラブルでも一気に不利になります。


クーリングオフ・中途解約・返金ルールが“決済手段”に直結する仕組み

カード会社や信販会社が本気で見ているのは、解約された時に誰がどこまで損をかぶる設計かという点です。

特定継続的役務では、概ね次がポイントになります。

  • クーリングオフ期間内なら、原則として全額返金が前提

  • 中途解約では「未提供分を返す」のが基本線

  • 解約時の清算方法を書面で明確にしているか

ここがあいまいだと、チャージバック(カード会社側からの強制返金)+加盟店への立替請求が頻発します。
つまり「売上が立っても、数カ月後にごっそり持っていかれる」リスクがある形は、カード会社にとっても加盟店にとっても危険です。

そのため実務上は、決済手段の設計が次のように変わります。

  • クーリングオフ期間を跨ぐような一括高額決済は避ける

  • 提供期間に合わせて月次請求(口座振替・都度カード決済)へ分散する

  • 役務提供の進捗と連動した分割パターンを信販会社と事前にすり合わせる

「決済フロー=解約フロー」とセットで設計しておかないと、加盟店審査でまず止まる、通ってもあとから決済停止という事態になりがちです。


公開トラブル事例から読む「この説明と書面が抜けると一気に危険」

消費者庁の公表事例を加盟店視点で分解すると、炎上案件はほぼ同じ“踏み越え方”をしていることが分かります。特に危ないのは次の3点です。

  • 効果保証のような広告表現(「必ず痩せる」「確実に成績アップ」)

  • 解約条件・中途解約精算方法の事前説明不足

  • 「月々◯円」だけ強調し、総支払金額・契約期間を小さく表示

カード決済を前提にする場合、ここが抜けると一気にリスクが跳ね上がります。

  • 説明不足 → 消費者庁・国民生活センターへの相談 → 行政処分・報道

  • 報道・SNS炎上 → カード会社・代行会社が加盟店契約を見直し

  • その時点での未提供分売上について、チャージバック・返金が集中

この流れが見えているからこそ、カード会社は「業種コード」より契約書と申込書の中身を嫌がります。

現場で最低限押さえておきたい書面・説明の鉄板は次の通りです。

  • 契約期間・総額・支払方法・役務内容を同一書面に大きく明記

  • クーリングオフの可否・方法・期限を、署名欄の近くに分かる言葉で表示

  • 中途解約時の清算式(例:提供済回数×単価+違約金の有無)を、見本を使って口頭でも確認

ここまでやって初めて、カード会社や信販会社と「役務提供でも安全に決済を回せる加盟店」として会話ができるようになります。ペルソナでいうエステオーナーや教室運営者は、“施術・指導より先に解約フロー”を設計した事業だけが、キャッシュレスを武器にできます。

カード決済・クレジット・月謝制…決済手段の選び方を間違えるとどう破綻するのか

「決済手段の設計」でミスると、売上が立った瞬間から“時限爆弾のタイマー”が回り始めます。役務提供の現場で爆発しているパターンを、構造から一気に整理します。

カード決済/ショッピングクレジット/口座振替/リースの構造を一枚の図で比較

同じ「分割で払える」でも、資金の流れとリスクを負う相手がまったく違います。ここを混同すると、チャージバックと返金請求の両方に挟まれます。

決済手段 資金の流れ 立場上の“お客さま” 向いている役務 主なリスク
カード決済 カード会社→加盟店→役務提供 実質はカード会社 短期コース・月謝制 チャージバック、加盟店停止
ショッピングクレジット 信販会社→加盟店→役務提供 信販会社 高額・長期コース 解約時の残債精算、割販法違反
口座振替 利用者口座→加盟店 加盟店 月謝・サブスク 未払い・残高不足
リース リース会社→加盟店→機器 リース会社 機器販売・美容機器 途中解約困難、長期拘束

ポイントは3つだけ押さえればよいです。

  • 誰が一括で立て替えているか(カード会社か信販か、誰も立て替えていないか)

  • 誰が法的に“債権者”になるか(解約時に誰が請求されるか)

  • 継続役務かモノか(特定商取引法・割賦販売法の規制ライン)

特定継続的役務(エステサロン・語学・学習塾・結婚相手紹介サービスなど)で高額を扱うなら、カード決済を「分割払いの器」とだけ見ず、ショッピングクレジットや口座振替との役割分担を設計することが防御になります。

高単価コース・長期コースで分割を組むときの“決済額と回数”の現実的なライン

審査側は「役務提供期間」と「支払期間」があまりにもズレていないかを、かなりシビアに見ています。現場感として、以下は一つの目安です。

役務のタイプ 総額の目安 役務提供期間 分割回数の“現実的ライン”
エステ・美容コース 20〜50万円 6〜12か月 12〜24回程度
語学・学習塾長期コース 10〜40万円 6〜24か月 提供期間+α数か月
Web制作・コンサル 50〜200万円 1〜6か月 3〜12回、原則提供完了前に回収完了

特にWeb制作会社がやりがちな危険パターンは、「制作2か月+保守12か月」のパッケージなのに、36回払いをカードで受けるケースです。提供がほぼ終わった後もカード会社は立て替え続けている状態になり、加盟店審査では「回収期間と提供期間のギャップが大きすぎる」と判断されやすくなります。

最低限、次を揃えるとトラブル頻度は一気に下がります。

  • 高額案件は、役務提供が終わる時点で売上の7〜8割は回収済みにする設計

  • 長期継続サービスは、月謝制or更新制+口座振替を軸にする

  • どうしても長期分割を使う場合は、信販会社とのショッピングクレジットを検討する

「月謝」と「長期一括」の境界で起きがちな徴収・請求トラブルケース

消費者庁のトラブル事例でも頻出なのが、「月謝と言いつつ、実態は長期一括前払い」パターンです。加盟店目線で見ると、次の3点で線を踏み越えると一気に危険になります。

  • 募集広告では「月謝◯◯円」なのに、申込時は1年分一括カード決済

  • クーリングオフや中途解約時の精算ルールが、申込書や書面に明記されていない

  • “月ごとに提供している”と言いながら、実態は最初の数回でほぼ全サービスを提供している

この構造だと、加盟店契約上は「継続・定期課金のように見せて実は長期一括」の最悪パターンになりやすく、チャージバックと返金要求の両方を招きます。

特定継続的役務に該当しうるエステサロンや教室、語学・学習塾で月謝制をうたうなら、次を徹底しておくと防御になります。

  • 本当に毎月ごとに役務提供し、1か月ごとに解約可能にする

  • 初回入会金・事務手数料を分け、前受金は2〜3か月分程度に抑える

  • 申込書と特定商取引法の書面で、クーリングオフ・中途解約・返金の条件を具体的に記載

ここを整理せず「なんとなくカードが通るやり方」に流れると、短期的なキャッシュは良く見えても、数か月後に加盟店契約の見直しや決済停止に直撃します。役務提供ビジネスでキャッシュレスを味方につけるには、「売上を立てる前に、決済の構造図を描き切る」ことが欠かせません。

加盟店審査で本当に見られているのはどこか?業種コードより怖い「販売形態」と書類の中身

「うちはエステだから」「教室は特定継続的役務だから」
ここで思考停止した瞬間に、加盟店審査はほぼ詰みます。
現場で本当に落とされるのは業種コードより“販売形態+書類の中身”です。

役務提供の加盟店審査は、ざっくり言うと次の3点セットで見られています。

  • 何を、どの期間、いくらで提供するか(販売形態)

  • それをどう説明し、どんな契約書・申込書にしているか(書面)

  • サイト・広告・LP・チラシで何をうたっているか(表示・広告表現)

この3つがズレた瞬間、「チャージバック予備軍」「特定商取引法違反予備軍」と判断され、決済代行会社も信販会社も一気に腰が引けます。

決済代行会社や信販会社がチェックする“販売形態・契約書・表示”のツボ

カード会社は細かいオペレーションまでは見ませんが、その手前の代行会社・信販会社は細部までチェックします。特定継続的役務(エステサロン、語学教室、学習塾、結婚相手紹介、家庭教師、美容医療など)ならなおさらです。

代表的なチェック観点を整理すると、次のようになります。

販売形態・書類・表示で見られる主なポイント

見られるポイント 代行側の本音 現場で多いNGパターン
契約期間・金額・役務内容 特定継続的役務に該当するか、クーリングオフ・中途解約義務が発生するかを確認 6カ月以上なのに「短期コース」と称して総額だけ大きい
決済タイミング 役務提供前に高額一括決済していないか 「12カ月コースを初回に全額カード決済」
役務提供方法 通学/オンライン/訪問など、実際に提供可能か ほぼ提供実態がないのに「オンライン講座」で高額販売
契約書・申込書 特定商取引法の必須記載項目が入っているか 解約・返金条項があいまい、手書き日付なし
Webサイト・LP表示 特定商取引法の表示義務を満たしているか 事業者情報・総額・支払方法・役務提供期間が抜けている

特に、「月謝制です」と言いながら実態は長期一括前払いになっているケースは、審査側から最も嫌われます。販売形態と表示が食い違うため、チャージバックになったときに加盟店を守れないからです。

Web制作会社やオンラインコンサルでも同じで、

  • 「制作+保守1年」をまとめてカード一括

  • サービス提供期間は1年なのに、解約条項がない

  • 納品物と役務提供範囲が契約書に書かれていない

といった設計は、役務業種と同じくらいリスク高と見られます。

特定商取引法の表示義務・書面交付・禁止行為が、加盟店契約にどう跳ね返るか

特定商取引法は「あとから揉めるポイント」を先回りしてルール化した法律です。
加盟店審査では、この法律を守れる仕組みを持っているかが見られます。

ポイントは3つです。

  • 表示義務(Webサイト・広告・パンフレット)

  • 書面交付義務(契約書・申込書)

  • 禁止行為(誇大広告、不実告知、不退去など)

これが満たせていないと、代行会社からは次のように判断されます。

  • 「このまま通すと、消費者庁の行政処分リスクが高い」

  • 「チャージバック時に加盟店側の非を否定できない」

  • 「同業他社の処分事例と構造がそっくりで危険」

特定商取引法が加盟店審査に効くポイント

  • 表示義務

    • 役務の内容、総額、支払方法、役務提供期間、クーリングオフ・中途解約の可否と条件を明記
    • Web制作やオンライン役務も、「特定商取引法に基づく表示」ページで整理しておくと審査がスムーズ
  • 書面交付義務

    • 契約書面に、役務の内容・期間・金額・支払方法・クーリングオフ・中途解約条件を記載
    • 消費者庁の公開事例では、ここが抜けていて「言った/言わない」トラブル→行政処分になっているケースが多い
  • 禁止行為

    • 「必ず痩せる」「100%合格」など、成果を保証する広告
    • 解約を妨害する運用(電話がつながらない、店舗でしか受けない、など)
    • これらがあると、代行会社は「炎上したときに支えきれない加盟店」と判断する

行政処分・評判リスクを避けるための「広告表現」と「同意書」の最低ライン

現場で本当に効く“防御力”は、豪華な規約ではなく、広告表現の設計と同意書の粒度です。
ここを抑えないまま加盟店契約だけ通すと、数カ月後にチャージバックと口コミ炎上のダブルパンチになります。

広告表現の最低ライン

  • 効果・成果は「個人差がある」前提にとどめる

    → エステサロンなら「サイズダウン事例はあるが、結果には個人差がある」と明記

  • 金額・期間・支払方法を、LP・チラシ・カウンセリングで同じ内容にそろえる

    → 「初月無料」に見せかけた実質長期一括はNG

  • 特定継続的役務に該当する場合は、その旨を社内で理解し、クーリングオフ・中途解約の条件をスタッフ全員が説明できるようにしておく

同意書・申込書の最低ライン

項目 なぜ必要か 抜けたときのトラブル
役務内容の具体的記載 何をどこまで提供するかを明文化 「そんなコース聞いていない」とチャージバック
役務提供期間 特定継続的役務該当性・解約時精算の基準 「期間が曖昧」で全額返金を迫られる
総額・支払方法・決済回数 割賦販売法・カード会社ルールとの整合性 「一括のつもりが分割」クレーム
クーリングオフ条項 消費者庁事例で最も争点になりやすい部分 書面不備でクーリングオフ期間が延びる
中途解約・返金ルール 解約時の清算方法を明文化 代金の何割を返すかで紛争化
サイン・日付 契約成立日と本人同意の証拠 「説明を受けていない」と争われる

エステサロン、語学教室、学習塾、Web制作、オンラインコンサル、どの役務サービスでも、
加盟店審査は「業種名」より、このテーブルの中身で勝負が決まります。

業種そのものを変えることはできませんが、販売形態と書類の設計は変えられます。
ここを整えれば、「役務提供だから加盟店契約は無理」という古い常識から、一段上の土俵に上がれます。

「最初は順調だったのに…」特定継続的役務で炎上する典型パターンと、プロの修正ポイント

「契約も取れて、カード決済も回り出した。なのに、3カ月後から電話が鳴り止まない。」
特定継続的役務の炎上は、ほぼすべてが「解約と返金設計」の甘さから始まります。

エステ・教室でありがちな「効果不満→解約→返金」シナリオを分解する

典型パターンを時系列で見ると、どこで“線を踏み越えたか”がはっきりします。

  • 広告で「必ず痩せる」「短期で合格」など効果を強く保証

  • 最初のカウンセリングで高額コースを一括カード決済

  • 契約書にクーリングオフや中途解約の記載が薄い・読ませていない

  • 効果不満から解約希望 → 返金条件をその場で揉める

  • 消費者はカード会社・消費生活センターに相談 → チャージバック・行政相談へ

とくに特定継続的役務(エステ・語学・学習塾など)では、「説明したつもり」と「書面に残っていること」のギャップが決定打になります。

中途解約精算の設計ミスが、チャージバックとクレームを同時に呼ぶ理由

加盟店審査で決済代行会社が厳しく見るのは「販売形態」と「中途解約ルール」です。
現場で多い“危険設計”を整理すると、構造が見えてきます。

項目 よくあるNGパターン なぜ危険か(チャージバック論点)
役務提供期間 1年コースなのに3カ月でほぼ施術終了 「残り期間が長いのに返金が少ない」と主張されやすい
請求方法 長期分を最初に一括カード決済 役務未提供分の前受けが大きく、割賦販売法的にもリスク
解約精算 「返金なし」または「事務手数料が高額」 消費者庁公表事例と酷似し、加盟店側が防御しづらい

中途解約の精算式が合理的かどうかは、チャージバックの“勝敗ライン”に直結します。
「受領済み対価が、提供済み役務+実費+妥当な違約金を大きく超えていないか」が、カード会社・信販会社の着眼点です。

実務で使える“解約フロー設計”と、事前の説明テンプレート例

炎上を避けるには、「フロー」と「セリフ」をあらかじめ決めておきます。

基本フローの型

  1. 解約申し出の受付(日時・担当者・理由を記録)
  2. 契約書面・特定商取引法の記載内容を一緒に確認
  3. 提供済み役務の整理(回数・期間・原価)
  4. 中途解約精算額の算定・書面提示
  5. 返金方法と決済キャンセル手続き(クレジット・口座振替など)を説明
  6. 合意内容を双方署名で保管

事前説明のテンプレート例(口頭+書面)

  • 「本サービスは特定継続的役務に該当するため、契約書面をお渡しします」

  • 「○日以内はクーリングオフで全額解除できます」

  • 「それ以降に中途解約される場合は、提供済み回数分の対価と、上限○円の事務手数料を差し引いて返金します」

  • 「決済はカード会社の規約上、全額一括決済ですが、役務提供と返金のルールはこの書面どおりに運用します」

このレベルまで解約フローと説明を“型化”しておくと、加盟店契約の審査でも、「販売形態が整理されている事業者」として評価されやすくなり、特定継続的役務でも決済導入のハードルを一段下げられます。

Web制作・オンライン役務の「分割導入」成功パターン:キャッシュフローと単価アップの両立術

「高単価案件は提案できるのに、支払い方法が“銀行振込一括のみ”で毎回しぼんでいく」
多くのWeb制作会社・オンラインコンサルがつまずくのは、営業力ではなく決済設計です。分割決済の入れ方ひとつで、キャッシュフローもクレームリスクも真逆の結果になります。

ここでは、特定継続的役務の規制や加盟店契約の審査ロジックを踏まえつつ、現場で安全に使える「分割導入パターン」だけを絞り込みます。

高額Web制作・コンサル案件で分割決済を入れたときのキャッシュフローの変化

Web制作・オンライン役務は、物販と違い「納品=役務提供完了」まで時間がかかります。ここを無視してカード決済を組むと、チャージバック時に一気に資金が逆流します。

よくある3パターンを、キャッシュフローとリスクで整理するとこうなります。

方式 キャッシュイン 主なリスク 向いている案件
銀行振込一括 着手金+完了時のみ 受注率低下・売上頭打ち 小規模サイト、既存顧客
カード分割(自社加盟店) 売上を一括で先取り可能(締め支払) 途中解約時の返金・チャージバック 制作+短期運用サポート
ショッピングクレジット等 信販会社が立替、回収リスクを外出し 審査落ち・手数料高め 高額コンサル、長期プログラム

ポイントは「役務提供の進行」と「入金タイミング」のズレをどこまで許容するかです。
・制作フェーズが2〜3カ月で完了する案件なら、カード分割でもまだ設計しやすい
・1年超の伴走型コンサルは、長期継続役務に近づくため、信販会社利用や月謝制への分解が安全です

「分割回数」「決済額」「サービス提供期間」をどう揃えるとトラブルが減るか

加盟店審査や特定商取引法トラブルで問題視されるのは、「一括前取り×長期提供」の組み合わせです。
消費者庁の特定継続的役務トラブル事例を逆読みすると、次のような設計が危険ゾーンに入りやすい構造があります。

  • 12カ月伴走のWebコンサルを、初月にカード一括決済

  • 「月謝」と言いつつ、実態は1年分をカードで一括徴収

  • 制作+1年運用サポートを“パック商品”として前金で全額決済

これを避けるためのシンプルな指針は1つです。

「決済がカバーする期間」と「役務提供期間」をできるだけ近づける

目安として、Web制作・オンライン役務では以下のような組み立てが現実的です。

  • 制作費: 制作完了までをカバーする一括または2〜3回分割

  • 保守・運用: 月謝制(口座振替・毎月カード継続課金)で、期間と支払いを一致させる

  • 長期コンサル: 3〜6カ月単位で区切り、更新制にすることで特定継続的役務ラインをまたがない設計を検討

「分割回数だけ」を増やすと、加盟店側の未提供分リスクだけが膨らみます。回数よりも「どこまでの役務を含めた請求か」を先に決めることが重要です。

EC・対面・オンライン混在ビジネスで決済手段を整理するチェックリスト

Web制作会社やオンラインスクールは、物販EC・対面コンサル・オンライン講座が混在しがちです。ここを一緒くたにして加盟店契約を取りに行くと、「業種不明」「販売形態不明」で審査落ちしやすくなります。

導入前に、次のチェックリストで自社の決済マップを一度“棚卸し”してください。

  • 物販と役務提供を分けて説明できるか

  • 役務ごとに、提供期間と金額を一覧化しているか

  • 月謝制か、一括か、カード分割か、口座振替かを商品単位で整理しているか

  • クーリングオフ・中途解約時の返金ルールを、役務ごとに明文化しているか

  • ECサイト・申込フォーム・申込書面の表示内容が、上記と矛盾していないか

  • カード加盟店契約で扱うのはどこまでか(高リスクの長期コースを切り離す判断を含めて)を決めているか

このレベルで整理してから、決済代行会社や信販代行に相談すると、「役務提供でも加盟店契約が通りやすいライン」が具体的に見えてきます。
支払い方法は後付けではなく、サービス設計そのものの一部として最初から組み込む。ここを押さえるだけで、キャッシュレス導入は一気に“攻めの武器”に変わります。

決済代行会社・信販代行をどう使うか?カード会社に直接行く前に押さえる3つの戦略

「カード会社に直で申し込んで撃沈→慌てて代行会社を探す」パターンを卒業するには、最初にルート選びの設計図を持っておく方が圧倒的に有利です。

カード会社直VS代行会社VS信販代行:審査・セキュリティ・手間のリアル比較

まずは3ルートの「現場感」を一望します。

ルート 審査のクセ セキュリティ負担 手間・スピード 向きやすい役務
カード会社直 業種・販売形態に厳格。特定継続的役務は門前払いも多い PCI DSS対応など自社負担が重い 書面多く時間もかかる 物販中心、大手規模
決済代行会社 販売形態を一緒に組み立てれば通りやすい セキュリティ要件をサービス側で吸収 導入〜運用までワンストップ Web制作、スクール、オンライン役務
信販代行(ショッピングクレジット) 高額・長期継続を前提にした審査ロジック 信販会社側でカード情報を保持 与信〜回収フローが出来上がっている エステサロン、教室、学習塾など特定継続的役務寄り

現場で強いのは、「カード直で通らない前提」で、決済代行+信販代行をどう組み合わせるかまで含めて設計することです。

特定継続的役務を扱うときに「PCI DSS」「セキュリティ基準」が効いてくる場面

エステサロンや語学教室、コンサルの長期契約など、継続役務でクレジットカードを扱う場合、

  • カード情報を自社で保持しない

  • 毎月の継続課金を安全に回す

この2点を満たすために、PCI DSS準拠の決済端末・システムをどう選ぶかが実務の肝になります。

押さえるべきポイントは3つだけです。

  • カード番号を店舗で「メモしない・保存しない」設計になっているか

  • 継続課金(サブスク)機能が、途中解約や返金に対応した仕様か

  • 契約書・特定商取引法の表示と、決済システムの動きがズレていないか

ここが噛み合っていないと、「解約は月単位と説明したのに、決済は12回一括」など、チャージバック一直線の構造になりがちです。

他社で断られた業種が、再チャレンジ前に必ず整理しておくべき利用先と書類

一度審査で落ちた役務事業者ほど、再チャレンジ前の棚卸しで結果が変わります。特に中小Web制作会社や教室オーナーは、次の3点を先に固めてから、決済代行会社・信販代行に相談した方が早いです。

【1 利用先の役割分担を決める】

  • 小額・短期の役務 → 決済代行(カード決済)

  • 高額・長期コース → 信販代行(ショッピングクレジット)

  • 低額の月謝・会費 → 口座振替サービス

【2 必須レベルで整えておく書類】

  • 役務の内容・期間・金額が明確な契約書・申込書

  • クーリングオフ・中途解約・返金ルールを記載した約款

  • 特定商取引法に基づく表記(Web・パンフレット)の最新版

  • 実際の営業トーク・説明スクリプト(消費者庁の事例と照合)

【3 「NGを踏んでいないか」のセルフチェック】

  • 「月謝」と言いながら実態は長期一括払いになっていないか

  • 効果保証のような過度な広告表現が残っていないか

  • 解約時の精算方法が一律不返金になっていないか

ここまで整えてから相談すると、決済代行会社側も「どこを直せば審査を通せるか」を具体的に提案しやすくなります。結果として、加盟店契約そのものより前の設計力が、カード決済導入の合否を分けていると考えた方が、現場の感覚には近いはずです。

「うちの業種は大丈夫?」を自分で判定するセルフチェックリスト【エステ・教室・Web制作ほか】

「役務だからカード加盟店は無理」と悩む前に、まずは自分で“赤黄青”を塗り分けてみてください。ここを外すと、審査も特定商取引法も一気に不利になります。

規制対象かどうかを見分ける「指定役務」「期間」「金額」の3ステップ

まずは、この3ステップで特定継続的役務への該当リスクを粗取りします。

  1. 指定役務に入るかチェック
区分 主な指定役務例 典型業種
美容 エステサロン、美容医療に近い痩身サービス 痩身エステ、脱毛サロン
学習 語学、学習塾、家庭教師 英会話教室、進学塾
その他 結婚相手紹介サービス、パソコン教室など 結婚相談所、資格スクール

上記に役務内容が近い場合は黄〜赤信号です。

  1. 期間チェック
  • 役務提供期間が2カ月超

  • かつ「継続」提供(コース・パック・長期契約)か

  1. 金額チェック
  • 合計金額が5万円超か(入会金+コース費+教材費など全部込み)

  • 「月謝」と言いながら、実質は長期一括請求になっていないか

上の3つがすべて揃うと、特定継続的役務にほぼ直撃し、消費者庁・カード会社ともに監視が濃くなります。

施術メニュー・コース設計・月謝の組み立て方で特定継続的役務を外せるケース

同じ業種でも、設計次第で「規制ド真ん中」から「加盟店審査が通りやすいゾーン」まで振れ幅があります。

エステサロン・美容系の例

  • 1回ごとの都度払い中心にする

  • 3カ月を超える“通い放題コース”にカード一括決済を使わない

  • 高額コースはショッピングクレジットやローンに分離し、カード決済は少額役務に限定

教室・学習塾・語学サービスの例

  • 完全前納制6カ月分をやめ、1〜2カ月単位の更新制にする

  • 「月謝」と称しながら12カ月分を請求する販売形態をやめる

  • 長期パックは、口座振替で毎月決済し、クーリングオフ対象部分を明確に分ける

Web制作・オンライン役務の例

  • 「制作一式+保守2年」を分割契約にし、長期保守をカード一括に乗せない

  • 「成果が出るまでコンサル12カ月分前払い」のような構造を避ける

  • 契約期間より長い分割回数を設定しない(12カ月提供なら12回払いまでが限界ライン)

加盟店審査では、業種コードよりも販売形態と期間・金額の組み合わせが強く見られます。この設計を変えるだけで、「NG業種」から「要注意だが通せる業種」へ変わるケースが非常に多いです。

決済システム導入前に確認したい、表示・書面・解約条項の該当項目一覧

最後に、決済端末やオンライン決済を入れる前に、自社の書面とサイトを棚卸しするチェックリストです。バックオフィス担当がここを整えておくと、代行会社の審査もスムーズになります。

1 特定商取引法まわり

  • 事業者名・所在地・連絡先・代表者名を特定商取引法に基づく表示として公開しているか

  • 役務の内容・対価(総額・内訳・追加料金の有無)を明記しているか

  • クーリングオフの可否、期間、方法をはっきり書いているか

2 契約書・同意書の中身

  • 提供期間・役務内容・金額・支払方法・決済回数が数字で明示されているか

  • 中途解約の条件と精算ルール(既提供分の算定方法、返金額の計算式)があるか

  • 解約や返金の申し出窓口(メール、書面、店舗)の記載があるか

3 広告・セールストーク

  • 「必ず痩せる」「合格保証」のような効果保証表現を使っていないか

  • 「今日だけ」「今なら無料」など、過度な心理的圧力をかける売り方をしていないか

  • 分割払いの総支払額とクレジット手数料を、きちんと説明しているか

この3ブロックを埋めてから加盟店契約に進めば、「審査でどこを突かれるか」が自社でも見えるようになります。ここまで整えておくことが、役務提供事業のキャッシュレス対応を“攻め”ではなく“守り”から固める最短ルートです。

まとめ:役務提供が加盟店契約で失敗しないための“防御フロー”と、次に打つべき一手

業界の古い常識(「役務は全部NG」)を疑い、現行制度で取れる選択肢を並べ直す

「役務はカード無理」「特定継続的役務は全部NG」と思い込んだ瞬間、売上チャンスと交渉カードを自分で捨てています。
今の審査は、業種ラベルより「販売形態+契約期間+解約・返金設計」を重く見ています。

ポイントは3つだけ押さえればよいです。

  • 指定役務かどうか(エステサロン・語学・学習塾・結婚相手紹介など)

  • 期間と金額(長期+高額になった瞬間、特定継続的役務のスイッチが入る)

  • クーリングオフ・中途解約・返金フローが書面と運用で整っているか

ここを整理したうえで、
カード決済/ショッピングクレジット/口座振替を「一括・分割・月謝」の軸で組み合わせれば、役務提供でも通る加盟店契約のゾーンは意外と広い、というのが現場の実感です。

トラブル・処分を避けながらキャッシュレス決済を活かすための行動リスト

「売上を伸ばす導入」と「行政処分まっしぐらの導入」は、スタート時点の数ステップで分かれます。最低限、次だけは順番に潰してください。

  • 特定商取引法チェック

    • 指定役務/期間/金額を確認し、特定継続的役務に該当するか社内で判定
    • クーリングオフ・中途解約・返金条件を、曖昧な表現のままにしない
  • 販売形態・契約書の棚卸し

    • 「月謝」「都度払い」「長期一括」をメニューごとにラベリング
    • 契約書・申込書・同意書で、支払期間と役務提供期間を必ず明記
  • 決済手段の役割分担

    • 高額長期はショッピングクレジット、短期少額はカード一括、継続少額は口座振替といったルールベースを作る
    • リース・ローンを役務の前払いに使わない(典型的なNGパターン)
  • 広告・カウンセリングトークの見直し

    • 「必ず痩せる」「絶対合格」など禁止行為ワードを消す
    • 解約・返金の説明を、クロージングトークの中に必ず組み込む

このレベルまで整えてから加盟店契約を申し込むと、「役務だから」で落とされにくくなり、チャージバック率も下がります。

専門家に連絡する前に、社内で準備しておくと審査が通りやすくなる情報セット

最後に、決済代行会社や信販代行に相談する前に揃えておきたい情報パッケージを整理しておきます。ここが揃っている会社は、審査担当の反応が明らかに変わります。

区分 事前に用意しておきたい内容
事業概要 業種、役務内容、店舗・オンライン別の提供形態、対象顧客層
契約・書面 利用規約、契約書・申込書、解約・返金条項、特定商取引法の表示案
料金・期間 コース一覧、金額、役務提供期間、支払期間、分割回数パターン
決済設計 使いたい決済手段(カード・クレジット・口座振替など)の組み合わせ案
リスク管理 クレーム対応フロー、クーリングオフ・中途解約時の精算ルール

この情報セットをベースに、次の一手を決めると動きが早くなります。

  • 中小Web制作会社の代表なら

    → 高額案件は「納品マイルストン連動の分割+カード決済」、保守は口座振替で月額化

  • エステサロン・教室オーナーなら

    → 特定継続的役務に該当するコースとしないコースを切り分け、カードと信販を役割分担

  • バックオフィス担当なら

    → 各メニューの期間・金額・決済手段を一覧にし、「特定継続的役務マップ」を社内共有

古い常識でブレーキを踏むより、リスクを見える化したうえで通る形に組み直す
その発想に切り替えた瞬間、「役務提供でも加盟店契約は通るのか?」という問いは、「どう組めば通して安全に回せるか」という具体的な設計課題に変わります。

執筆者紹介

主要領域は役務提供事業の決済設計と加盟店審査まわりの制度整理です。本記事では、消費者庁・経産省資料や決済代行各社の公開情報を比較し、加盟店候補が実務で判断に使える形に再構成しています。法令条文の丸写しではなく、特定継続的役務・特定商取引法・割賦販売法と決済手段の関係を、エステサロンや教室、Web制作など具体的なビジネスモデルに結びつけて解説することを特徴としています。