あなたの「電気工事士として独立したら、今より楽になるはずだ」という前提は、多くの場合、数字の裏側を知らないまま立てた計画だ。発注量は増えたのに、口座残高は会社員時代と大差ない、むしろ不安定になる──独立電工が現場で何度も繰り返しているパターンである。
電気工事士の独立は、資格や届出よりも「お金の流れ」と「契約の中身」を知らないことで失敗する。
売上が増えても、元請けの支払いは2カ月先、材料は即金、追加工事は口約束のまま。消防設備や点検の仕事は、やり方を間違えると固定客どころか、赤字契約が積み上がる。ネット上の一般論は、ここをほとんど語らない。
この記事は、「電気工事士 独立」で検索しているあなたに、耳障りの良い成功話ではなく、手元に残る現金を最大化するための現場ロジックだけをまとめたものだ。
開業資金の目安、資金ショートの典型パターン、見積もりと条件交渉の現実、分割払い・信販を使った高額工事の受注率の差、さらに独立後によくあるLINE・メール相談の具体文面まで、すべて「実務で使える形」に落としている。
ポイントは単純だ。
独立で後悔する人は、独立前からすでに「負ける条件」で動いている。
年収を分けるのは腕前ではなく、次の三つだけである。
- どの発注を受け、どの発注を断るかの基準
- 追加工事・仕様変更・点検をどう契約と見積もりに落とし込むか
- 個人客に対して、分割払いを含む支払い条件をどこまで設計できるか
この記事を読み進めれば、営業が得意でなくても、元請け依存から抜け出し、発注量と資金繰りを自分でコントロールするための設計図が手に入る。逆に言えば、ここに書かれたお金と契約のルールを知らないまま独立することは、ローンと家族を抱えた状態で、最初から負け試合に飛び込むようなものだ。
以下のロードマップを確認してほしい。どの章が、今の自分の弱点になっているかを意識しながら読み進めれば、独立後3年までの「詰みパターン」を事前に消していける。
| セクション | 読者が手にする具体的な武器(実利) | 解決される本質的な課題 |
|---|---|---|
| 構成の前半(独立は稼げるのか〜トラブル事例まで) | 利益が残らない原因の把握、開業資金と資金繰りの目安、典型トラブルを避けるチェックリスト | 「発注量はあるのにお金が残らない」「請求で毎回揉める」という構造的欠陥の特定 |
| 構成の後半(仕組み化〜働き方設計まで) | 元請け依存を減らす仕組み、高額工事を逃さない決済設計、10年続く働き方の選択基準 | 「独立しても不安定」「身体が動かなくなった後が見えない」という将来不安の打破 |
ここから先は、感覚ではなく、現場の事実にもとづいて「あなたが独立しても後悔しない条件」を一つずつ言語化していく。読み進めるほど、どこまでなら独立して良いか、どこからはまだ会社にいた方が良いかが、はっきり見えてくるはずだ。
「電気工事士の独立は稼げる」は本当か?現場で見える“数字の落とし穴”
「独立したら月売上150万、年収1000万もいける」
現場でそんな話を聞いて、胸がザワついている37歳の現場リーダーも多いはずです。
ただ、実務で独立電工の財布の中身を覗くと、見えてくるのは別の景色です。
「忙しさは2倍、手残りは会社員時代と大差なし」というパターンが、驚くほど多い。
独立が「夢」で終わるか「ちゃんと食える現実」になるかは、資格や腕前ではなく、数字の読み方でほぼ決まります。
電工が独立するときに勘違いしがちな「売上=年収」という危険な計算
まず壊しておきたいのが、この計算式です。
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月の売上見込み:150万
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年間売上:150万×12=1800万
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「会社員の倍は稼げるはず」
現場でよく聞くこのイメージには、独立後に必ず発生する「見えない出費」がごっそり抜けています。
代表的な項目をざっと出すと、こうなります。
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車両費(リース・燃料・保険・車検)
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工具・脚立・計測器の購入・修理
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損害保険・労災上乗せ
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外注への支払い(応援・手元)
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材料ロス・手戻り工事の自腹
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事務経費(会計ソフト・通信費)
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社会保険から国保・国年への切り替え差額
数字を扱うのが苦手な電工ほど、ここを「なんとなく」で進めてしまい、売上だけ増えても口座残高が増えない状態にハマります。
イメージを掴みやすいように、「売上150万の月」のざっくり比較を出します。
| 項目 | イメージ | 金額感の目安 |
|---|---|---|
| 月売上 | 戸建て・店舗改修・雑工の合計 | 150万 |
| 材料・外注 | ケーブル・器具・応援1〜2人 | ▲60万 |
| 車・工具・保険 | ハイエース1台+諸経費 | ▲10万 |
| 事務・通信 | 会計・携帯・ネット等 | ▲3万 |
| 税・保険積立 | 消費税・所得税・国保・年金の将来分 | ▲20万 |
| 手残り(ざっくり) | 給料に近い「財布の中身」 | 約57万 |
「150万売ったから、150万が自分の売上」ではなく、実質の“給料”は60万弱レベルというのが現場の肌感に近いところです。
ここに、雨で飛んだ日、クレーム対応の無償手直し、未回収のリスクが加わってきます。
発注量はあるのに手元にお金が残らない電気工事の利益構造
独立電工の相談で多いのが、これです。
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カレンダーは仕事で真っ黒
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見積りは通っている
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なのに、通帳の残高だけ増えない
理由は「利益の設計」をせずに、発注に合わせて走っているだけだからです。
よくあるパターンを分解すると、こんな構造になっています。
| よくある失敗パターン | 中身 | どこでお金が消えるか |
|---|---|---|
| 元請け1社依存 | 大手リフォーム会社・設備会社だけ | 単価を下げられても断れない |
| 一式見積り | 「電気工事一式 〇〇円」 | 追加・仕様変更を請求しづらい |
| 口約束変更 | 「ここ、ついでに頼むよ」で作業追加 | 請求タイミングを逃しやすい |
| サービス残業 | 夜間・休日対応の割増を付けない | 忙しいのに売上単価が下がる |
とくに電気工事は、図面と現場がズレる前提の仕事です。
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壁をめくったら配線経路が違う
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消防の是正指摘が入って追加工事
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施主の要望でコンセントや照明位置が変更
このときに「一式で請けているから」「元請けに悪いから」で飲み込むと、1現場ごとに少しずつ赤字を積み上げることになります。
経験豊富な独立電工は、見積りの段階で:
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仕様変更・追加工事の条件
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夜間・休日の割増
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消防・設備系の追加指摘が出たときの扱い
を書面で先に決めておき、そこから外れたものだけ別途請求にしています。
これをやらないと、「稼いでいるはずなのに、なぜか常に苦しい」状態から抜け出せません。
消防設備や点検仕事の「固定客化」がライフスタイルを左右する理由
独立を考える30代後半の電工が見落としがちなのが、「点検・保守」という地味な仕事の価値です。
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消防設備点検
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年次点検・月次点検
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非常灯・誘導灯の定期交換
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分電盤・受電設備の巡視
こうした仕事は、最初は赤字覚悟になりやすいのが実態です。
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初回は現場調査・台帳整備で時間がかかる
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是正工事が発生しても、見積り漏れを自腹でやりがち
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単価交渉が弱く、初回金額を安く決めてしまう
その一方で、ここを上手く育てた独立電工は、発注量に振り回されない働き方を手に入れています。
| 仕事の種類 | 特徴 | ライフスタイルへの影響 |
|---|---|---|
| 新築・改修メイン | 単価は高いが波が激しい | 繁忙期は休みゼロ、閑散期は不安定 |
| 点検・保守メイン | 単価は低めだが継続性が高い | 年間の売上と予定が読みやすい |
| 消防設備点検+是正 | 点検は薄利、是正で利益 | 定期訪問で固定客が増える |
消防設備・点検系の仕事が「固定客化しやすい」と言われるのは、
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法令で点検が義務
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オーナーが毎年同じ業者に頼みたがる
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設備の更新・是正が継続的に発生する
という構造があるからです。
独立して、家のローンと子どもの教育費を抱えたまま走り切るなら、
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新築・改修の「波のある仕事」
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点検・保守の「積み上がる仕事」
のバランスを、意図的に組み立てる必要があります。
腕の良さだけでなく、どの仕事を“土台”にするかの設計が、10年後の自分と家族の生活を左右してきます。
開業資金はいくら必要?独立1〜3年目で詰みやすい資金繰りシナリオ
会社の看板が外れた瞬間、「技術」より先にあなたを試してくるのは財布の厚みだ。独立電工の1〜3年目は、腕よりキャッシュフローで生死が決まるゾーンだと思ってほしい。
車両・工具・保険・当面の生活費…電気工事士の開業資金の目安と内訳
37歳・子持ち・持ち家ローンありの電工が、一人親方として立ち上がるケースを前提にすると、最低ラインでも200〜300万円前後の自己資金クラスを見ておきたい。
典型的な初期費用の目安は次の通り。
| 項目 | 内容例 | 目安額(概算) |
|---|---|---|
| 車両 | 1.5〜2tクラス中古、名義変更・整備込み | 80〜150万 |
| 工具・計測器 | 基本工具一式+高所・測定系の買い増し | 30〜70万 |
| 保険・保証 | 任意保険、労災特別加入、PL保険など | 年10〜20万 |
| 事務環境 | パソコン、プリンタ、会計ソフト等 | 10〜20万 |
| 登録・許認可 | 電気工事業の登録、各種手続き | 数万〜10万前後 |
| 当面の生活費 | 家賃(ローン)、食費、教育費など3〜6ヶ月分 | 60〜150万 |
ポイントは、「道具は買えたけど、生活費のクッションがゼロ」状態が一番危ないということ。現場経験豊富な人ほど、工具と車に全振りして、家計のキャッシュが2ヶ月で尽きるパターンが多い。
最低でも、
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仕事用の初期投資
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3ヶ月分の生活費
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材料の立替え用の運転資金
この3つを別枠で組んでおくと、独立直後の精神的な圧迫がかなり軽くなる。
「元請け2ヶ月後払い」と「材料先払い」で起きる資金ショートの現実
独立1年目の相談で一番多いのが、「売上は立っているのに口座がスカスカ」という話だ。原因の8割は支払いサイトの読み違いにある。
典型的な流れはこうだ。
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工事受注
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材料を自社立替えで即支払い
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職人への手間も週払いや月末現金払い
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元請けからの入金は60日後
数字でイメージすると分かりやすい。
| 項目 | タイミング | キャッシュの動き |
|---|---|---|
| 材料仕入れ30万 | 着工前〜着工時 | 30万マイナス |
| 手間・外注25万 | 月末 | 25万マイナス |
| ガソリン・高速・雑費5万 | 随時 | 5万マイナス |
| 元請け入金70万 | 完了の約2ヶ月後 | 70万プラス |
帳簿上は「粗利10万」だが、2ヶ月間は60万立替えたまま走ることになる。ここで同時に3現場回すと、立替えは180万クラスまで膨らむ。
手持ち資金が100万しかない状態で、元請けの支払いがさらに1ヶ月遅れたらどうなるか。カードと材料屋の支払いに間に合わず、一気に信用を落とす。これが「発注は増えたのに、現場を増やすほど首が締まる」パターンだ。
対策としては、
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元請けとの契約時に、材料支給にできないか・前受金が取れないかを必ず打診
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材料屋と、月末締め翌月末払い以上のサイトを確保しておく
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売上の規模に関わらず、同時進行現場数を手持ち資金で回せる範囲に制限
この3点を、開業前のチェックリストに入れておくことが重要になる。
資金が尽きる電工と、同じ売上でも耐えられる電工の違い
売上が同じでも、1〜3年目で潰れる人と踏ん張れる人には、お金の使い方のクセに明確な差がある。
| 項目 | 詰みやすい電工 | 耐えられる電工 |
|---|---|---|
| 車両 | 新車リース・フル装備 | 状態の良い中古+必要装備だけ |
| 工具 | 「いつか使うかも」で一気買い | 受注内容に合わせて段階的に増やす |
| 売掛管理 | 「元請けだから大丈夫」とノーチェック | 入金予定表を毎月更新し、サイトを把握 |
| 生活費 | 会社員時代と同じ水準を維持 | 1〜2年は生活レベルを一段落として耐える |
| 仕事の選び方 | 売上額重視で大型案件を取りに行く | 立替え負担の軽い小〜中型案件も混ぜる |
特に、生活費の設計を甘く見ると危険だ。ローンと教育費を抱える30代後半のケースでは、
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妻のパート収入
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ボーナス前提の支出
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会社の社会保険負担
こうした「見えない補助輪」が外れる。独立前に、家計の固定費を2〜3万でもいいから削っておくと、1〜3年目の選択肢が一気に増える。
もう1つの大きな差は、キャッシュを守る意識があるかどうかだ。
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元請け依存を避けて、支払いサイトの違う取引先を3〜4社持つ
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点検や消防設備、軽微なメンテナンスなど、立替えが少なく回転の速い仕事をポートフォリオに混ぜる
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高額案件は、分割払い・信販などを使って「お客は分割、自分は一括入金」の形を作る
このあたりを最初から設計しておくと、「売上はあるのに破綻する」独立パターンから距離を取れる。
開業資金の金額そのものよりも、そのお金をどんな順番とバランスで流すかを決めておくこと。ここを押さえておけば、独立1〜3年目の山場は、技術ではなく数字の読み方で越えていける。
「最初は順調だったのに請求で揉めた」独立電工が語る典型トラブル集
独立電工が声をそろえて後悔するのは、「集客」よりも「請求まわり」。現場は終わったのに、お金が入らないどころか関係まで壊れる。この章は、独立3年以内の電工が一度は踏みやすい“地雷マップ”と思って読んでほしい。
戸建てリフォームで追加工事が積み上がり、最終請求で「こんなに高いの?」と言われたケース
戸建てリフォームは、独立電工にとって単価も見栄えも良く見えるが、請求トラブルの温床でもある。
よくある流れはこうだ。
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最初は「コンセント増設と照明交換、一式30万円」で受注
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解体してみると、配線の老朽化や容量不足が判明
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現場で「ついでにここも」「どうせならダウンライトに」という追加要望
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口頭で「いいですよ、やっておきます」と対応
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工期終盤で追加分をまとめて請求 → 「そんなに聞いてない」「高すぎない?」
このとき、職人側の感覚は「手間も材料も確実に増えている」。しかしお客様の感覚は「ちょっと頼んだだけ」。このズレが炎上の火種になる。
よくある損失パターンを整理するとこうなる。
| 項目 | 現場で起きていること | 最終的な結果 |
|---|---|---|
| 追加コンセント | 材料・手間とも増えているが、口頭対応 | サービス扱いで未請求になりがち |
| 照明位置変更 | 開口・補修・手間増 | 「サービスでやってくれた」と認識される |
| 分電盤容量アップ | 技術的には必須工事 | 説明不足で値引き要求の標的にされる |
対策の肝は「その場で小さく区切って合意を残す」こと。
- 追加が出た時点で、紙かLINEで
「内容・おおよその金額・請求タイミング」を一度共有
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その場でサイン、もしくは「OKです」と書かれた返信をもらう
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見積書も「一式」ではなく、基本工事+追加項目ごとの単価を分けておく
これだけで、「そんな話聞いてない」の8割は防げる。
消防設備の是正工事で、見積もり漏れが発覚して赤字になったケース
消防設備・是正工事は、固定客化しやすい“おいしい仕事”と語られる一方、最初の数件は赤字を出しやすい分野でもある。
典型的なのは、点検報告書をもとに是正見積もりを出したが、着工後に次のような漏れが発覚するパターン。
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既設配線のルートが図面と違い、配線引き直しが必要
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天井裏の狭小部で作業時間が2倍以上かかる
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既設の受信機が古すぎて、想定していた機器が適合しない
結果として、こうなりやすい。
| 原因 | よくある実態 | 最終的なダメージ |
|---|---|---|
| 現地調査不足 | 点検報告書と写真だけで見積もり | 人件費が想定の1.5〜2倍に膨らむ |
| 機器選定の甘さ | 仕入れ単価だけで選定 | 予想外の追加部材購入で利益が消える |
| 元請け任せ | 「一式◯円で」と単価交渉せず受注 | 是正の手間増分を請求できない |
ベテランがやっているのは、最初の数件こそ「利益より経験優先」で、リスクを見積もり段階で言語化しておくこと。
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「天井裏の状況によっては、○円〜○円の範囲で変動します」
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「既設機器との適合が取れない場合、機器構成変更で別途○円かかる可能性があります」
この“逃げ道”を最初から書いておくことで、想定外が出たときにも交渉の土台が残る。逆にここをサボると、「やってみないと分からないリスク」を全部自腹でかぶることになる。
プロなら必ず押さえる「仕様変更・追加工事・点検」の確認ポイント
独立しても事故らない電工は、「営業トーク」より「確認項目」が多い。特に仕様変更・追加工事・点検が絡む現場では、次の3点セットを徹底している。
- 依頼内容の“線引き”を先に決める
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どこまでが基本工事か
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どこから先が追加扱いになるか
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「よく出る追加項目」の単価表を最初に見せておく
- 変更が出た瞬間に“記録”を残す
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その場で手描きのメモに日付と内容
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お客様と一緒に写真を撮り、「ここをこう変えます」と共有
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LINEやメールで「本日の追加内容まとめ」を送る
- 点検仕事は“次の売上”まで設計する
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点検報告書に「是正工事の優先度」を3段階で記載
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その場で「すぐ対応が必要」「半年以内でよい」を仕分け
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分割払い・信販を絡めて、「一括では無理だから後回し」が起きないようにする
仕様変更や追加工事で揉める独立電工の多くは、「作業」はプロレベルでも、「説明と記録」が素人のまま止まっている。逆にここを仕組み化できれば、元請け依存から抜け出しても、個人客相手に安定して工事単価を取っていける。
営業が苦手でも仕事を獲得する電工がやっている“超地味な仕組み化”
「腕には自信あるのに、電話帳みたいに営業できない」
独立した30代後半の電工で、ここがネックになっている人は多いです。
ただ、現場を見ていると「売れている人」は、派手な営業より地味な仕組みで差を付けています。
ポイントはこの3つだけです。
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発注先を分散して「元請け1社依存」をやめる
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工事後フォローと点検提案で、個人の固定客を増やす
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見積もりを「基本+オプション」に分解して、単価負けを防ぐ
どれもガツガツしたトークは不要です。仕組みさえ作れば、黙っていてもじわじわ効いてきます。
元請け依存から抜け出すための「発注先ポートフォリオ」の組み方
独立電工が詰む典型は、元請け1社依存+2カ月サイト+言い値です。
発注量はあるのに、仕様変更や追加工事を口約束で飲まされ、手残りが薄くなっていきます。
経験的に、1人親方〜2人規模なら、発注先は次のバランスが現実的です。
| 発注先タイプ | 売上比率の目安 | 特徴 | リスク |
|---|---|---|---|
| 元請けA社(メイン) | 40〜50% | 年間通して仕事が出る | 単価交渉しづらい |
| 元請けB社(サブ) | 20〜30% | 単価や条件の比較軸になる | 仕事量が読みにくい |
| 工務店・リフォーム会社 | 10〜20% | 追加工事で利益が出やすい | クレーム対応の負荷 |
| 個人客・紹介 | 10〜20% | 粗利が高く固定客化しやすい | 受注の波が激しい |
ポイントは、どの発注先にも「完全には頼らない」構造にすることです。
具体的な動き方の一例です。
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メイン元請けの現場で、丁寧な施工写真と報告を送り、信頼を積む
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同じエリアの工務店に「空き日程表」と「対応可能な工事リスト」を配る
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太陽光、エコキュート、EVコンセントなど、得意分野を1つ決めて打ち出す
「どの発注先でも、その人に頼む理由が1つある」状態を作ると、値下げ要請が通りにくくなり、単価防衛につながります。
個人の固定客を増やす工事後フォローと点検提案のスタイル
実務で差が出るのは、工事が終わった翌日以降の動きです。
独立直後は「点検仕事は単価が低くて割に合わない」と切り捨てがちですが、固定客化の起点になります。
電気・消防設備系でよく見る固定客化の流れは、この3ステップです。
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最初の工事で「施工内容を写真付きでLINE送付」
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1週間後に「使い勝手どうですか?」のフォローメッセージ
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半年〜1年後に「点検+簡単清掃」の提案
フォロー文面は、営業トークより安心感を重視します。
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「何かあったら、写真送ってもらえれば見ますよ」
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「ブレーカーが落ちた時の優先順位だけメモしておきました」
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「1年経つとここが緩みやすいので、その前に点検どうですか?」
消防設備や分電盤まわりは、最初は赤字覚悟の点検になるケースもありますが、2回目以降の工事・交換で利益が戻るパターンが多いです。
毎年の点検予定をざっくりカレンダー化しておくと、繁忙期・閑散期の読みも立てやすくなります。
一式見積もりをやめて「基本+オプション」に分解するだけで起きる変化
トラブルになりやすいのが、「一式見積もり+口頭の仕様変更」です。
実際、戸建てリフォームで途中からコンセント増設や照明変更が積み上がったのに、最終請求時に「こんなに高いの?」と揉めるパターンは何度も繰り返されています。
そこで効くのが、見積もりの分解です。
| 項目 | 例 | ポイント |
|---|---|---|
| 基本工事 | 既存回路流用・コンセント3カ所まで | 最低限の仕様を明文化 |
| オプションA | コンセント追加1カ所 | 単価を明示しておく |
| オプションB | ダウンライト変更1カ所 | 仕様変更時にここだけ増減 |
| オプションC | EVコンセント新設 | 高単価工事を目立たせる |
この形にしておくと、現場での会話も変わります。
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「ここから先はオプションになるので、増減はこの行だけ増やしますね」
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「消防設備の是正工事は、調査後にオプション部分で追加見積もりします」
営業が苦手でも、「見積書の形」が守ってくれるようになります。
単価を下げる交渉をされても、オプションを外して基本工事だけにする形で調整できるため、利益率を崩さずに済みます。
仕組みを作るのは少し手間ですが、一度テンプレート化してしまえば、37歳・現場リーダー・数字が苦手でも回せるレベルの作業です。
腕と経験を、きちんとお金に変えるための「最低限の土台」と考えてください。
価格で負けないための「見積もり・条件交渉」の現場リアル講座
「腕には自信があるのに、いつも値段で負ける」
独立を考える37歳の現場リーダーが、ほぼ必ずぶつかる壁がここだ。配線ルートは一瞬で描けるのに、見積書になると急に手が止まる。このギャップを潰さないと、どれだけ発注量を増やしても、財布の中身は変わらない。
同じ工事でも利益が2倍違う、見積もりの書き方と条件設定
同じエコキュート交換でも、「日当感覚見積もり」と「プロ仕様見積もり」では、残るお金が倍違うことが珍しくない。
ポイントは3つだけ押さえる。
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工事を「一式」に丸めず、工程ごとに分解する
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人工(にんく)だけでなく「段取りコスト」と「リスク」を数値化する
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条件欄で、自分を守るルールを書き切る
よくある書き方の差を整理すると、次のようになる。
| 項目 | 負ける見積もり | 稼げる見積もり |
|---|---|---|
| 工事項目 | エコキュート交換一式 | 本体・配管・電気工事・試運転に分割 |
| 手間の考え方 | 1人工でいけるだろう | 搬入・撤去・雨天予備日も含め人工設定 |
| 追加対応 | 口頭で「まあやっときます」 | 見積書に「別途」「オプション」で明記 |
| 条件 | 工期・支払い条件の記載なし | 支払サイト・有効期限・除外範囲を記載 |
「一式」で書くと、お客さんは値段しか比較できない。
分解して書くと、「これだけのことをやってくれるなら妥当だ」と納得しやすくなり、単価を下げずに通りやすくなる。
条件欄に必ず入れておきたいのはこのあたり。
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既存配線の不良・隠ぺい部の腐食は「点検後別途」
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消防設備・漏電対策で是正が必要な場合は「別途お見積り」
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支払いサイト(個人なら完工時、元請けなら◯日締め◯日払い)
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有効期限(例:見積日より30日)
書類で線を引いておけば、「想定外」が全部あなたの持ち出しになる事態をかなり防げる。
「安くしないと次がない」と言われたときに、プロが本当に確認していること
元請けや工務店からの「あと1万円下げて」「ここ我慢してくれたら次もあるから」という一言。
ここで感情で値引きすると、独立1〜3年目の利益が一気に削られる。
現場で長くやっている人は、まず数字を逆算している。
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この値引きで、自分の1日の手残りはいくらになるか
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交通費・駐車場・高速・処分費まで入れても黒字か
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同じ日程に、もっと条件の良い仕事を入れられないか
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単発の値引きなのか、「この現場だけの例外」と書面で残せるか
特に重要なのが「日当換算」だ。
例えば、2万円の値引き要請が来た現場で、自分ともう1人の2人工が必要だとする。移動含めて実質1.5日かかるなら、1日あたりの手残りがいくらまで落ちるかをざっくり計算する。
その上で、プロはこう返すパターンが多い。
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数量や仕様の見直し提案(ダウンセル)
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支払い条件の改善(前金・サイト短縮)との交換
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次回以降の単価表をあらかじめ書面で決める提案
「安くしないと次がない」という言葉は、裏返せば「このままだとあなたに発注しづらい」に過ぎない。
単価だけをいじるのではなく、数量・仕様・支払い条件のどこを触れば双方が助かるかを一緒に組み直せるかどうかで、長い付き合いになるかが決まる。
他社の「激安電気工事」の裏側にあるリスクと、巻き込まれないための注意点
独立してから気づくのが、「この金額でどうやって利益出してるの?」という激安業者の存在だ。
価格だけを追うと、次のようなリスクを抱え込む。
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無資格作業員メインでの施工
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絶縁・耐圧試験を省略、報告書だけ出す
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消防設備や漏電リスクを無視した「つなぐだけ工事」
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材料を極端に削った結果、数年後のトラブル多発
問題は、その尻ぬぐいが後から呼ばれた真面目な電工に回ってくることだ。
是正工事は、調査・説明・書類対応まで含めると、通常の新設より時間も責任も重い。それなのに、最初の激安単価を基準に「前の業者はもっと安かった」と言われるパターンも多い。
巻き込まれないためのポイントは3つ。
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明らかに相場から外れた単価の仕事は、理由を確認できなければ受けない
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是正工事は、調査見積もりと本工事見積もりを分ける
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報告書・写真・チェックリストを残し、「自分の守備範囲」を明文化する
独立を長く続けている電工ほど、「安さ競争から一歩引き、責任範囲をはっきりさせる」スタイルに切り替えている。
値段で選ばれる電工から、「任せると安心だから選ばれる電工」へ。
その分岐点が、まさに見積もりと条件交渉の現場だ。
高額工事を取りこぼさないための「分割払い・信販」の使い方
「配線は完璧、見積もりも通った。でも『やっぱりやめます』と一言で80万が消える」
高額工事をやっている独立電工の多くが、最後の最後でこれを味わっています。原因は腕でも価格でもなく、支払い方法の選択肢不足です。
エコキュート・蓄電池・大型リフォーム…個人客が一括をためらう金額ライン
個人客がブレーキを踏むラインは、現場感覚ではほぼ決まっています。
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30万前後まで:カード一括でまだ踏み切りやすい
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50万を超える:夫婦で一度相談モードに入る
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80万〜150万:一括と言われると、ほぼ「検討します」で終わるゾーン
特にエコキュート・蓄電池・分電盤含む大型リフォームは70万〜200万レンジになりやすく、「欲しいけど今はキツい」が本音になりやすい金額帯です。
ここで「分割もできますよ」の一言を出せるかどうかで、
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見積もり提出→即決
-
見積もり提出→検討のままフェードアウト
この分かれ目が生まれます。
分割決済を提案した現場と、しなかった現場で“受注率と利益”はどう変わるか
現場でよくある対比を、あえて数字に落とすとこうなります。
- 条件:120万円の蓄電池工事、子育て世帯、既に住宅ローンあり
分割提案なし
→ 見積もり4件中、成約1件程度
→ 値引き交渉が入り、最終110万円着地+追加サービスで実質粗利ダウン
分割提案あり
→ 「月2万円台なら…」と成約率が体感で1.5〜2倍に上がるケースが多い
→ 値引きではなく「保証延長」「メンテ付き」といったオプション提案に話を持っていける
ポイントは、分割を出すと価格の絶対値から、毎月の負担感の話に議論が移ることです。
「120万は高い」から「月2万4千円ならアリかも」に変わった瞬間、電工側が守れる利益幅が一気に増えます。
自社ローン・銀行ローン・信販の違いと、独立電工が選びやすい条件
高額工事の支払い方法を増やす代表的な選択肢を、独立1〜3年目の現場目線で整理します。
| 支払い手段 | 審査スピード | 電工の資金回収 | 手間/リスク | 向いている工事 |
|---|---|---|---|---|
| 自社ローン(ツケ払い) | 早い(即決) | 回収まで長い・貸倒れリスク高い | 債権管理が重い | 小口の常連客向け |
| 銀行ローン(リフォームローン等) | 遅め(数日〜数週間) | 銀行から一括入金 | 書類多い・通らない客も多い | 300万超の大型案件 |
| 信販会社の分割払い | 早い(その場〜翌日) | 工事完了後に一括入金 | 手数料はあるが貸倒れリスク小さい | 50万〜200万の設備工事 |
独立したばかりの電工がまず押さえておきたいのは、信販会社との提携です。
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与信審査は信販側が実施
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工事代金は信販から電工に一括入金
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回収リスクを背負わなくていい代わりに、手数料を支払う
という構造になるため、資金繰りが不安定な1〜3年目でも「高額工事を怖がらなくてよくなる」メリットがあります。
自社ローンでツケを増やしていくと、売上はあるのに通帳はスカスカという典型パターンにハマります。
家族とローンを抱えて独立するなら、「売る前に、どう回収するか」の仕組みを、工具や車より先に用意しておいた方が安全です。
「独立してから慌てる人」が必ず聞いてくるLINE・メール相談の中身とは
独立電工から届く相談は、きれいな成功話ではなく「口座残高がおかしい」「請求書を嫌がられた」みたいな、胃がキリキリする話がほとんどだ。
しかも、その8割は独立前に少しだけ準備しておけば防げる内容ばかりだ。
ここでは、実際によく飛んでくる相談をベースに、「どこでつまずきやすいか」と「プロなら事前にどう打つか」を整理していく。
よくある質問1:発注量は増えたのに、なぜか口座残高が増えません
独立1〜3年目で一番多いのがこれ。
「月商はサラリーマン時代の2倍なのに、手元の財布はスッカラカン」というパターンだ。
原因はだいたい、このどれかに当てはまる。
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元請け1〜2社に売掛が偏り、入金サイトが長い
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一式見積もりで「サービス工事」を積み上げている
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材料を現金・カード先払いにしている
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点検・消防設備の定期収入を育てていない
ざっくり整理すると、同じ「売上300万円」でも、手元に残る現金はここまで変わる。
| 項目 | パターンA:詰む電工 | パターンB:耐えられる電工 |
|---|---|---|
| 売上内訳 | 元請け2社にほぼ全振り | 元請け3社+直請け+点検 |
| 入金サイト | 60日サイト中心 | 30〜45日で分散 |
| 材料仕入 | 現金・カード一括 | 掛け払い+仕入先分散 |
| 粗利感覚 | 一式で何となく | 1現場ごとに粗利率管理 |
| 点検・保守 | ほぼゼロ | 毎月固定入金が積み上がる |
発注量が増えたのに残高が減るときは、「稼げていない」のではなくキャッシュフローの設計が崩れているだけのことも多い。
売上高よりも、「30日以内に現金化できる仕事はいくらか」「毎月必ず入る定期点検はいくらか」を先に数えるクセをつけると、口座残高のブレが一気に小さくなる。
よくある質問2:追加工事分の請求書を出したらトラブルになりました
2つ目の定番は、請求段階での炎上だ。
典型的な流れはこうだ。
- 戸建てリフォームで、途中から施主の希望が増える
- 「ここもついでに」「やっぱりスイッチを増やして」で作業がどんどん追加
- 職人の感覚で「このくらいはサービス」で飲み込む
- 工期終盤で「さすがにこれは請求しないと赤字」と気づき、まとめて請求
- 施主「そんなに頼んだ覚えはない」「最初の見積もりと違いすぎる」
ほとんどのトラブルは、「追加工事そのもの」ではなく、追加が発生した瞬間に、紙と文字で残していないことが原因になる。
消防設備の是正工事でも、点検後の追加是正を口頭だけで受けてしまい「ここも含まれていると思っていた」と揉めるパターンが繰り返されている。
追加が出た時点でやるべきことはシンプルだ。
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変更内容を短い文章にまとめる
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ざっくりでも金額を入れる
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「ここまではサービス、ここからは有料」を線引きする
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できれば写真を1〜2枚セットで送る
この「3分の手間」を惜しむと、数十万円単位の未回収リスクに変わる。
実際のやり取り例:条件を飲む前にプロが送る確認メッセージの文面再現
現場で仕様変更や追加が出たとき、プロはその場でLINEやメールにこう残している。
テンプレとして自分用にアレンジしておくと、トラブルの9割は事前に防げる。
【仕様変更が出たときの確認文例】
「○○様
本日の工事中にご相談いただいた
・リビングダウンライト2台追加
・コンセント1箇所増設
の件ですが、当初お見積もりには含まれておりません。
追加工事として
・ダウンライト配線・取付 2台分 ○○円
・コンセント増設 1箇所 ○○円
合計○○円(税込)となります。
こちらの内容と金額で問題なければ、
『この内容で追加OKです』と返信をお願いいたします。
ご返信をもって正式なご依頼として工事を進めます。」
【「安くしないと次はない」と言われたときの返し方の一例】
「お声がけありがとうございます。
今回ご提示いただいた条件ですと、
・安全基準を守った施工
・工事後の保証対応
を維持することが難しくなってしまいます。
工事内容を一部減らす、または仕様を見直す形であれば、
ご予算に合わせて組み直すことも可能です。
どこまでを優先されたいか、教えていただけますか?」
ポイントは、感情で反論せず、
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どこからが追加か
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いくらか
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どこまでなら自分が責任を持てるか
を文字にして相手と共有してしまうこと。
独立後のLINE・メールは、ただの連絡ツールではなく自分の身を守る「現場日誌」として使うイメージに切り替えると、一気にトラブルが減り、手残りも安定していく。
10年後も現場に立てるか?電工ライフの「働き方・責任・意識」の整え方
「今はまだ身体が動く」。独立を決める電工のほとんどがそう考えるが、独立して詰む人は“今日の現場”しか見ていない。ここからは、37歳・子持ち・住宅ローン持ちが「10年後も笑っていられるか」を決める、現場のリアルな選択肢を整理する。
ケガ・故障・家族事情…独立電工が中長期で備えるべきリスクと責任
独立電工が本当に怖がるべきは「仕事がない日」ではなく、「仕事があるのに行けない日」。ぎっくり腰1か月休業で、売上も日当もゼロになる。
中長期で見るべきリスクは、ざっくりこの4つだけに絞れる。
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ケガ・故障(腰・肩・膝・目、特に高所作業)
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家族事情(子どもの進学、親の介護、配偶者の病気)
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売掛金の焦げ付き(未回収・支払遅延)
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仕事量の偏り(元請け1社依存・季節変動)
これをカバーするために、現場叩き上げの電工がよく使うのは次の組み合わせだ。
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所得補償保険+労災上乗せ(ケガで月の手残りを飛ばさないため)
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点検・保守契約での月額売上(毎月の“家賃収入”を作る意識)
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入金サイトを分散させる(2か月後払いだけに依存しない)
「現場で身体を動かす」から「仕組みで利益を生む」への意識転換
独立しても「自分が動いた分だけの日当仕事」から抜け出せなければ、体力が落ちた瞬間に収入も落ちる。10年目も楽に稼いでいる人は、30代のうちに次の3つを“仕組み化”している。
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点検・保守の定期契約化
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追加工事の単価表・オプションメニュー化
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紹介・リピートが自動で出るフォロー動線
「今日の工事」ではなく、「来年の自分を助けてくれる仕組み」を1現場ごとに1つ作るイメージだ。例えば、エアコン入替のついでに分電盤とコンセントの点検を無料で実施し、「異常があれば有料是正+年1回点検提案」をテンプレ化しておくと、それだけで何年も続く“固定客ライン”になる。
今いる会社に残る/転職する/独立する…電気工事士3つのスタイル比較
「独立か、残留か」で悩むときは、年収より“10年後の体と財布”で比べると判断を誤りにくい。
| 働き方 | メリット | 主なリスク | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 今の会社に残る | 社会保険・有給・安定した給与 | 収入頭打ち・裁量が小さい | 安定重視・家族優先 |
| 別会社へ転職 | 現場分野を変えて単価アップも狙える | 人間関係と社風のミスマッチ | 得意分野を伸ばしたい |
| 独立 | 上限のない手残り・時間の裁量 | 休んだ瞬間ゼロ収入・全責任負担 | 自分で決めて動くのが好き |
独立一択ではなく、「今は会社+副業電工」「点検だけ個人開業」といったグラデーションもある。いきなりフル独立ではなく、3〜5年かけて
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点検・小工事の固定客を毎年10件ずつ増やす
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元請けを3社以上に分散させる
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所得補償保険と緊急資金3〜6か月分を用意する
ここまで整えたら、ようやく「ローン持ちでも現実的に独立してよし」と言えるラインに近づく。10年後に現場を恨まないための独立は、勢いではなく“守りの仕組み”を積んだ人から順番に成功している。
執筆者紹介
主要領域:電気工事士の独立と資金繰り。実績:本記事で、発注構造・決済条件・トラブル事例を体系化。特徴は、公開されているインタビューや事例パターンを一次情報として整理し、「手元に残る現金」を基準に、お金と契約の判断材料だけを抽出して提示すること。
