Web制作の分割払い導入で売上を伸ばす!失敗を防ぐ最新実務ガイド

ホームページの提案が詰まる原因を「デザイン」や「料金設定」に探しているなら、そこで既に機会損失が始まっている。中小企業向けのWeb制作は今、内容よりも支払方法の設計で勝敗が決まる局面が増えているのに、多くの制作会社は「一括前提」で見積を出し、静かに案件を落としている。

見積提示までは反応が良かったのに、その後ぱったり連絡が途切れる。先方は「高い」とは言わないが、社内決裁が進まない。こうした「見積もり提示後の沈黙」は、制作費用やデザインの問題ではなく、分割払い導入やリース、クレジットの組み立てをしていない構造的欠陥で起きているケースが少なくない。

問題は、「分割払いをやればいい」という単純な話ではないことだ。ホームページのリース契約と分割クレジットの違いを曖昧にしたまま導入すると、所有権や付帯サービスの契約条件次第で、運用終了時にトラブルや回収リスクを自社で抱え込むことになる。多くの記事は「メリット・デメリット」を並べるだけで、制作会社がどこで損をし、どこまでを外部のクレジット会社に任せれば安全かという実務の線引きまでは触れていない。

このガイドは、「Web制作 分割払い導入」を表面的な決済手段の話として扱わない。
制作費用・保守費用・CMS・サーバー・ドメイン・アプリなどをどう分けて契約するか。自社分割と信販クレジット、カード分割、一括、リースをどう組み合わせれば、回収を外部化しながら高単価案件を取りやすくするか。さらに、中小企業の稟議プロセスを踏まえ、「月々いくらなら資金的に現実的か」という相談ベースの提案に営業トークを切り替える具体例まで整理している。

この記事を読み進めれば、制作会社として次の2点がはっきりする。

  • 「そのリース契約、本当に必要か」「その自社分割、どこからが危険か」が判断できる
  • 100万円超のホームページ制作やWebサイトリニューアルを、月額提案に変換して通しやすくする実務ステップが手に入る

まずは、この記事全体で何が得られるかをざっくり掴んでほしい。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
構成の前半(支払方法の違い、リースと分割、一括、審査・契約・書類) ホームページ制作費用の「一括・リース・クレジット分割・自社分割」を、安全に組み合わせるための判断軸と、所有権や付帯サービスを整理した契約テンプレのイメージ 見積提示後に案件が止まる原因が「価格」ではなく「支払設計」にあることを特定し、トラブルや回収リスクを事前に潰せない状態
構成の後半(営業トーク、ケーススタディ、キャッシュフロー、質問リスト) 「月々◯万円」で中小企業の資金感覚に合わせて提案する営業フォーマットと、自社のキャッシュフローを崩さずに高単価案件を増やす分割払い導入の具体像 デザイン説明中心の提案から抜け出せず、契約率と単価が頭打ちになっている状況を、支払方法とマーケティング設計の両面から更新できない状態

ここから先は、単に「分割払いは便利」といった一般論ではなく、制作会社の現場で何が起きているかを起点に、リース・分割・一括・クレジットをどう使い分ければ売上と手元資金を同時に守れるかを、具体的に落としていく。

  1. 「その案件、支払方法で落としてないか?」Web制作・ホームページ提案が止まる本当の理由
    1. 商談の現場でよく起きる“見積もり提示後の沈黙”シナリオ
    2. 「価格OKなのに社内決裁が通らない」中小企業の資金バランスと心理
    3. 制作会社が見落としがちな「一括前提」の危うさと分割の位置づけ
  2. リースか分割か一括か──Web制作の支払“種類”をざっくり混同すると危険なワケ
    1. リース契約と分割クレジットの決定的な違いは「所有権」と「付帯品」
    2. ホームページとPCセットのリースで起きがちな「更新・終了時」のトラブル構造
    3. 一括払い・カード分割・信販分割のバランスをどう取りに行くか
  3. 「分割=危ない」は古い発想? 制作費用を分割で受けても回収で消耗しない設計思考
    1. 自社分割で回収リスクを抱え込む制作会社がハマる落とし穴
    2. 信販・クレジットを噛ませて“回収”を外部化するという考え方
    3. 総額・利息・分割手数料をどこまで顧客と共有すべきか
  4. Web制作×分割払い導入の実務:審査・書類・契約で押さえるべき「3つの確認ポイント」
    1. 制作物と保守・メンテナンスをどう契約書に分けるか(制作費用・保守費用の切り分け)
    2. 審査で見られやすい「法人情報」とエンドユーザー情報のチェックリスト
    3. 書類ひとつで変わる:契約条件・支払開始タイミングの設計例
  5. 営業トークを「デザイン説明」から「資金の捻出相談」へ変えると何が起きるか
    1. 「月々◯万円なら現実的ですか?」という一言が投資マインドを引き出す
    2. 一括・分割・リースを並べて提案したときの中小企業の反応パターン
    3. 相談ベースのコミュニケーションで契約率が変わる理由
  6. ケーススタディで見る:Web制作会社が分割活用でビジネスを底上げしたパターン
    1. 100万円超ホームページ案件が“予算オーバー終了”から復活した事例の解剖
    2. PLUGのような分割対応パッケージと、信販スキームを組む制作会社の違い
    3. 工務店・製造業・美容クリニックなど「医療・美容・工場系ビジネス」での活用像
  7. 「そのリース、本当に必要?」所有権・更新・保険まで確認したいチェック項目
    1. リースの契約期間とホームページの実際の運用年数がズレるときのリスク
    2. ドメイン・サーバー・CMSなど“制作物以外”の所有権・終了条件の確認ポイント
    3. 保守・更新・アプリ・採用ページなど、付帯サービスの契約が複雑化するパターン
  8. 分割払い導入でキャッシュフローとマーケティングがどう変わるか
    1. 制作会社側の資金繰り:一括入金モデルと分割入金モデルの違い
    2. 中小企業側の投資判断:Web・マーケティング費用を「月額固定費」として捉える発想
    3. 分割を前提にした企画・デザイン・マーケティング提案の組み立て方
  9. 失敗しないための「導入前にこれだけは相談しておきたい」質問リスト
    1. クレジット会社・代理店・パートナーに投げるべき具体的な質問
    2. 地域密着の制作会社だからこそ気をつけたい、取引先との関係性と契約の線引き
    3. 連絡窓口・相談会・contactフォームを活用した“事前の火消し”発想
  10. 執筆者紹介

「その案件、支払方法で落としてないか?」Web制作・ホームページ提案が止まる本当の理由

「デザインも構成も気に入ってくれていたのに、見積書を送った瞬間から音信不通」。
Web制作会社が抱える“未成約あるある”のかなりの割合は、実は支払方法の設計ミスが原因になっているケースが多い。

高単価ホームページの商談は、技術勝負ではなく資金の捻出イメージ勝負に変わっている。分割払い導入は、この「見えない勝負どころ」に手を入れる作業だと捉えた方が早い。

商談の現場でよく起きる“見積もり提示後の沈黙”シナリオ

営業の現場で頻発する流れはパターン化できる。

  • 初回のWeb・HP相談

  • 要件ヒアリングで盛り上がる

  • デザイン案やCMS構成も高評価

  • 100万前後の見積を提示

  • 「検討します」で終了

ここで多くの制作会社は「予算が合わなかった」と解釈しがちだが、実際には支払パターンを見せないまま“総額だけ”を投げているため、相手の頭の中では次のようなモノローグが走っている。

  • 「一括で払うと当面の運転資金が心配」

  • 「分割にできるなら前向きに出したい。でも条件が分からない」

  • 「社長に“100万のHPが必要”と説明する材料が足りない」

ここで「月々◯万円の分割ならどこまで現実的か」を一緒に試算していれば、止まらなかった案件はかなり多い。

「価格OKなのに社内決裁が通らない」中小企業の資金バランスと心理

中小企業の決裁は、金額よりも月次キャッシュフローのイメージで動く。
数字にすると、このズレは分かりやすい。

パターン 社内で共有されるイメージ 稟議の通りやすさ
100万円一括 「今期の利益がドンと減る」 かなりシビア
月額3万円×36回(信販分割) 「広告費の一部を入れ替える感覚」 通りやすい
月額5万円・1年完済 「短期的な投資負荷」 部門長レベルで迷う

制作会社が「制作費用は100万円です」とだけ伝えるのに対し、発注側社内では「月々いくらなら出せるか」で会話が進んでいる。この会話の言語がズレたまま見積書だけ飛び込むから、社内決裁が進まない。

さらに、リース会社やクレジット会社は得意業種・苦手業種がはっきりしている。医療・美容・工場系は通りやすいスキームもあれば、逆に落ちやすいジャンルもある。
同じ法人格でも「A社の信販は通らないが、B社なら秒で通る」ということが、現場では普通に起きている。

制作会社が見落としがちな「一括前提」の危うさと分割の位置づけ

多くの制作会社は、無意識に次の順番で考えている。

  1. 基本は一括払い
  2. どうしても無理なら値引きか分割相談
  3. リース・クレジットは“裏メニュー”

ところが実務上は、この優先順位を逆転させた方が成約率も単価も安定しやすい。

制作会社側の前提 発注企業側のリアル
一括で払えるかどうかが勝負 月々いくらまでなら安全かが勝負
分割は“危ない”から消極的 資金繰り上、安全なのはむしろ分割
リース/信販の仕組みはよく分からない 以前から他設備で利用経験があるケースが多い

ここで重要なのは、制作会社が自社分割で回収リスクを抱え込む必要はないという視点だ。
信販クレジットを挟めば、回収はクレジット会社が担い、制作会社は「一括で入金される」のに、発注企業は「月々払い」で進められる設計にできる。

つまり「分割払い導入」とは、安易な値下げではなく、

  • 高単価なホームページ制作を

  • 中小企業の資金バランスに合わせて

  • 回収リスクゼロに近い形で提供するための“営業インフラ”

を整える行為だと言える。

支払方法の選択肢を増やすことは、デザイン案を増やすのと同じくらい、提案の核心に食い込む。
ここを押さえておくと、この先の「リースか分割か一括か」の判断軸や、審査・書類の設計も一気に理解しやすくなる。

リースか分割か一括か──Web制作の支払“種類”をざっくり混同すると危険なワケ

「制作内容は気に入っているのに、支払方法の説明で一気に不信感」が、商談が溶ける典型パターン。
ホームページ制作の場では、リース・分割クレジット・一括払い・カード分割をまとめて「分割っぽい何か」と扱うと、高確率でトラブルの種になります。

まず押さえたいのは、支払方法は単なる「払いやすさ」ではなく、所有権・契約期間・更新条件・回収リスクを決める“ビジネスの骨格”だということです。

リース契約と分割クレジットの決定的な違いは「所有権」と「付帯品」

Web制作会社の現場で最も混同されやすいのが、リース契約と信販系の分割クレジットです。言い間違い1つで、相手の理解が真逆になります。

項目 リース契約 分割クレジット(信販分割)
所有権 リース会社 原則エンドユーザー(完済後)
対象 物(PC、複合機等)中心 役務(制作費用)も対象にしやすい
途中解約 残リース料一括請求が多い 条件付きで可能なケースもある
付帯品 保守・サポートを抱き合わせしがち 保守は別契約にしやすい
更新時 自動延長・再リースの罠が多い ローン完済で基本終了

リースは「物の長期レンタルに近い金融商品」、分割クレジットは「代金立て替え」
ホームページ制作費用をリースに巻き込むと、サーバー・ドメイン・CMS・保守が「付帯品」として一体化し、所有権が誰にあるかが一気に不透明になります。

現場では、ここを曖昧なまま「月々○万円で全部込み」と説明し、後でドメイン移管やサイト改修が一切できない状況が露呈するパターンが頻発します。

ホームページとPCセットのリースで起きがちな「更新・終了時」のトラブル構造

「HP+PC+複合機をまとめて月額○万円」というパッケージは、中小企業には魅力的に見えます。ただし、更新・終了のタイミングがズレた瞬間に地雷化します。

よくあるトラブル構造を分解すると、次の通りです。

  • リース契約期間は6〜7年

  • 実際のホームページの“賞味期限”は3〜4年

  • 4年目にリニューアルしたいが、HPを単独で切り出せない

  • リース残債があるため、現行サイトを「使い切るしかない」

  • 保守・更新もリース会社指定で、制作会社の乗り換えが困難

結果として、「古いサイトに縛られる」「制作会社が関われない」「誰も責任を取りきれない」状態ができあがります。

ここを避けるために、制作会社側は次のような分離設計を提案した方が安全です。

  • PCや周辺機器はリース契約

  • ホームページ制作費用は信販分割または一括

  • 保守・更新・CMS運用は月額サービス契約

このように分けると、サイトだけを柔軟にリニューアルしつつ、機器は機器で更新という現実的な運用が可能になります。

一括払い・カード分割・信販分割のバランスをどう取りに行くか

支払方法は「どれが正解か」ではなく、案件と顧客の資金バランスで組み合わせるものです。制作会社目線での設計イメージを整理します。

支払方法 向いているケース 制作会社側のポイント
一括払い(振込) 50万円以下、資金に余裕のある企業 資金繰りは最も楽。だが「一括前提」だけだと商談で負けやすい
カード分割 個人事業・小規模サロン 売掛リスクゼロだが、カード上限で金額に天井が出やすい
信販分割(クレジット) 80〜300万円クラスのHP制作 回収を外部化しつつ、月額イメージを提案しやすい

肝心なのは、見積提出の段階で「総額」ではなく「月々の資金捻出イメージ」を一緒に提示することです。

  • 総額120万円のコーポレートサイト

    • 一括: 120万円
    • 信販分割(5年): 月々2.5万円前後
    • 保守・運用支援: 月額1.5万円(別契約)

このように組み立てると、経営者は「120万円の出費」ではなく「毎月4万円のWeb投資」として社内に説明できます。
ここまで腹落ちする支払設計が提示できる制作会社だけが、「デザインが良い制作会社」から「資金計画まで相談できるパートナー」へ格上げされていきます。

「分割=危ない」は古い発想? 制作費用を分割で受けても回収で消耗しない設計思考

「分割にした瞬間、貸し倒れリスクを背負う気がして怖い」
中小規模の制作会社の社長が、口をそろえて漏らすポイントがここです。
ただ、現場を細かく分解していくと、危ないのは「分割」そのものではなく、回収設計を曖昧にした“なんちゃって自社分割”であることがほとんどです。

自社分割で回収リスクを抱え込む制作会社がハマる落とし穴

自社分割は、見た目はシンプルでも、実務は一気に金融寄りになります。制作会社がつまずきやすいポイントは、ほぼパターン化されています。

代表的な落とし穴を整理すると次の通りです。

  • 契約書が「制作一式請負契約」のまま

  • 分納なのに、支払遅延時の対応ルールが未整備

  • サーバー停止やCMSロックを「最後の切り札」にしているが、顧客との関係性が壊れる恐怖で実行できない

  • 売上は計上したのに、実際は長期の売掛金が積み上がるだけで資金繰りが楽にならない

ここを曖昧にしたまま走り出すと、「月々の入金管理に追われて制作どころではない」という本末転倒に陥りがちです。

自社分割をどう位置づけるかを整理するために、一括・自社分割・外部クレジットを比較してみます。

支払設計 資金の入り方 回収リスクの所在 管理負荷
一括払い 納品時に一度きり ほぼ発生しない 低い
自社分割 毎月小口入金 制作会社が全面負担 高い
信販・クレジット系 制作会社は一括入金 クレジット会社側 中〜低

「分割=危ない」という感覚は、多くの場合、この自社分割のゾーンだけを見ている状態といえます。

信販・クレジットを噛ませて“回収”を外部化するという考え方

制作費用を分割で提案しつつ、自社のキャッシュフローと回収リスクを守る筋の良い方法が、信販・クレジット会社をかませるスキームです。

ポイントはここです。

  • 制作会社側は、契約成立時またはサイト公開時に制作費用を一括で受け取る

  • 顧客側は、クレジット会社へ月々支払うだけの構造にする

  • 審査・与信・延滞督促といった「金融の仕事」は、クレジット会社側に完全に任せる

この形にすると、制作会社は「制作と保守」に集中でき、回収は外部化できます。とくに、

  • 単価100万円前後のホームページ

  • CMSや予約システム込みの中小企業サイト

  • 医療・美容・製造業など、設備投資とセットでWebを検討している案件

では、「月々の支払イメージ」を出した瞬間に社内稟議が通るケースも多く、営業上の決定打になりやすい構造です。

総額・利息・分割手数料をどこまで顧客と共有すべきか

ここで一番迷いが出るのが、「利息や分割手数料をどこまで話すか」です。
制作現場で実感値として成果が出やすいのは、次のようなスタンスです。

  • 総額を隠さない

    「制作費用◯◯万円を、クレジット利用で月々◯万円の×回払いになります」と、総額と月額の両方を同時に見せる。

  • “負担感”の比較軸を用意する

    「一括で◯◯万円の投資」「分割なら月々△万円(分割手数料込み)で3年運用」と、キャッシュアウトの速度を比較させる。

  • 分割手数料を“コスト”ではなく“時間を買う費用”として翻訳する

    例えば、「新規顧客1件あたりの粗利」と比較しながら、
    「分割手数料は、毎月新規1件取れれば十分回収できるレベルか」を一緒に試算してみせる。

このとき、制作会社側が避けたいのは、

  • 「月々◯万円だけ」を強調し、総額のイメージをぼかす

  • 分割手数料の話を嫌がり、顧客の質問にあいまいに答える

という、リース営業に近い売り方です。
中小企業の決裁者は、「何に、いつまで、いくら払うのか」さえクリアなら、月額化そのものには前向きなケースが多く、きちんと出した方が信頼残高が貯まります。

分割払い導入で大事なのは、「危ないかどうか」ではなく、
誰がリスクを持ち、誰がどのタイミングでお金とサービスを受け取るかを設計図レベルで描くことです。
ここまで落とし込めれば、「分割=危ない」は過去の話になり、むしろ高単価案件を取りに行くための強力な武器として機能し始めます。

Web制作×分割払い導入の実務:審査・書類・契約で押さえるべき「3つの確認ポイント」

「デザインもCMSも評価されているのに、最後の契約フェーズで急に案件が消える」。このパターンの多くは、技術ではなく審査・書類・契約設計の雑さが原因になる。ここを押さえれば、高単価のホームページ案件を「月額◯万円」で自然に通せるようになる。

押さえる軸は次の3つだけに絞る。

  • ① 制作費用と保守費用の契約をどう分けるか

  • ② 審査で見られる法人・エンドユーザー情報を事前にそろえる

  • ③ 支払開始タイミングを“いつから・何に対して”発生させるか

この3点を決めてから見積と提案を作ると、商談の「最後のひと押し」が一気にラクになる。


制作物と保守・メンテナンスをどう契約書に分けるか(制作費用・保守費用の切り分け)

分割払いを導入する制作会社がまずつまずくのが、「どこまでを分割対象にするか」の線引きだ。ここを曖昧にすると、後から「保守入ってないと思っていた」「更新してないのに払っている気がする」といった火種になる。

よく使われるのは次の切り分けだ。

  • 制作費用(初期構築):デザイン、コーディング、CMS構築、撮影など

  • 継続費用:保守・運用サポート、更新代行、改善提案、サーバー・CMS利用料など

支払方法と相性の良い組み合わせを整理すると、イメージしやすい。

費用の種類 契約の持ち方 分割との相性 現場の感覚的メリット
制作費用(初期) 一括 or 信販分割 高い 「投資の原価」を明確にできる
保守・運用 月額サブスク契約 高い 「固定費」として社内稟議が通りやすい
サーバー・ドメイン 年間 or 月額 他サービスとセットで説明しやすい

「制作費用は信販クレジットで36回分割」「保守は自社と月額保守契約」のように契約書自体を2本立てにしておくと、支払設計も柔軟にコントロールしやすい。


審査で見られやすい「法人情報」とエンドユーザー情報のチェックリスト

分割導入でありがちな失敗が、「審査に出してみないと分からないですよ」と軽く出して落ちるパターンだ。実際は、事前に聞いておけば通過確率を読める情報がいくつもある。

審査会社が見やすいポイントを、ヒアリングシートに落としておくとスムーズだ。

法人側チェックリスト

  • 法人名・所在地・電話番号

  • 設立年月・資本金・従業員数

  • 業種(医療・美容・工場・建設・ITなど)

  • 直近の決算状況(黒字/赤字かの大まかな状況)

  • 代表者名と生年月日

エンドユーザー(利用者)情報

  • 実際にホームページで集客したいサービス内容

  • 店舗数・営業拠点数

  • 既存サイトの有無(URL)

  • 月々どのくらいの広告・マーケ予算を使っているか

ここで重要なのは、「医療・美容」「工場・製造」「IT・システム開発」など、審査会社ごとに得手不得手の業種がはっきりしていることだ。美容クリニックに強い会社もあれば、建設業の稟議に強い会社もある。

ヒアリングで業種をつかんだら、制作会社側で「この業種ならA社の信販」「工場系ならB社のクレジット」と当て先を変えるだけで通過率が大きく変わる。ここを知らないと、「同じ法人なのになぜか毎回審査落ち」という不可解な事態になる。


書類ひとつで変わる:契約条件・支払開始タイミングの設計例

同じ100万円のHP制作でも、「いつから支払が始まるか」で社内決裁の通りやすさがまるで違う。

よくある3パターンを整理する。

パターン 支払開始のタイミング 向いている案件 注意ポイント
A 契約締結月から開始 早く入金を得たい制作会社 納品が遅れると顧客の心理的負担が大きい
B サイト公開月から開始 集客サイト・ECなど 公開時期を契約書に明記しておく
C 公開後◯カ月無料、翌月から開始 高単価・中長期案件 「無料期間後は自動課金」の文言を明確に

営業現場では「公開月から開始(B)」か「公開後1〜2カ月無料(C)」が、中小企業の稟議で受け入れられやすい。理由はシンプルで、「売上が立ち始めてから払う」イメージが社内で共有しやすいからだ。

契約書・申込書では最低限、次の3点を文章で固定しておく。

  • 支払開始日(公開日定義も含めて)

  • 分割回数と月々の支払額(税・手数料含むかどうか)

  • 無料期間やキャンペーンがある場合の終了条件

この3つが書面でクリアになっていると、見積提示後の「社内で持ち帰ります」が、単なるフェードアウトではなく、具体的な稟議プロセスに変わる。ここまで設計して「Web制作 分割払い導入」を組み込めば、商談の最後の1センチを支払方法で取りに行けるようになる。

営業トークを「デザイン説明」から「資金の捻出相談」へ変えると何が起きるか

「かっこいいホームページを作ります」では動かなかった経営者が、「月々の資金繰りの話」に変えた瞬間、急に前のめりになる。営業トークをデザイン説明から“資金相談”に切り替えると、商談のゲーム自体が変わる。

ポイントは、Web制作を「クリエイティブの買い物」ではなく、資金計画付きの投資案件として見せることだ。

「月々◯万円なら現実的ですか?」という一言が投資マインドを引き出す

見積提示の場で、次の2パターンを比べてほしい。

  • パターンA「制作費用は税込120万円です」

  • パターンB「総額120万円で、月々3万5千円前後(36回・クレジット)まで落とせます。月々3万5千円なら、今の売上構成で現実的ですか?」

同じ120万円でも、後者は社内稟議で共有しやすい“月額のイメージ”を先に出している。中小企業では、決裁者以外がこう考えることが多い。

  • 「初期費用120万円」は、帳簿上より感情的に重く見える

  • 「月々3〜4万円」は、既存の固定費(広告・求人・保守)と並べて比較しやすい

  • 「何カ月で元を取るか?」という投資回収の会話が始めやすい

この一言で、「無理です」で終わる商談が、「何カ月で回収できれば踏み切れますか?」という投資マインドの対話に変わる。

一括・分割・リースを並べて提案したときの中小企業の反応パターン

支払方法を1択にすると、「その条件が合うか/合わないか」で勝負が終わる。一括・分割・リースを“並べて”提示すると、判断軸が変わる。

下のような簡易表を商談で見せる制作会社もある。

支払方法 月々の資金インパクト 所有権 向いているケース
一括払い 大(初期負担大) 会社側 キャッシュに余裕、減価償却を取りに行きたい
信販分割 中(毎月固定) 原則会社側 初期費用を抑えて早くWeb投資したい
HPリース 中〜小 原則リース会社 PCセットなど機器込み・更新前提の運用

この表を使うと、反応が大きく3つに分かれる。

  • 「キャッシュはあるので一括で行きたい」

    →価格交渉は起きるが、決裁スピードが速い

  • 「一括は無理だが、月◯万円までならいける」

    分割枠の中で内容調整の交渉に移行する

  • 「リースを検討していたが、所有権を考えると分割が良さそう」

    →他社のHPリース案件と比較検討の土俵をずらせる

重要なのは、「どれにしますか?」ではなく、「御社の資金バランスだと、どの型が安全か一緒に整理させてください」と、相談モードに振ることだ。

相談ベースのコミュニケーションで契約率が変わる理由

制作会社が「売り手モード」に入りやすいのは、デザインとCMS機能を語っている時だが、経営者が本当に聞きたいのはここだ。

  • 毎月の資金繰りにどんな影響が出るか

  • もし売上が読めなくなっても支払を続けられるラインはいくらか

  • 契約期間中にサイトをリニューアル・縮小する場合のリスクと出口

この不安にフタをしたまま、「SEOに強い」「デザインが良い」を語っても、社内稟議の壁は越えられない。

一方で、商談序盤から次のような流れで話すと、契約率が変わる。

  1. 現在のWeb・広告・HP保守の月額コストの棚卸し
  2. そこに新しいサイト制作費用を月額に換算して並べる
  3. 「この範囲なら資金的に無理なく出せる」という上限ラインを決める
  4. その枠内で、一括・分割・リースの組み合わせを調整する

ここまでやると、提案内容は「デザイン案」ではなく、資金計画付きのWeb投資プランになる。結果として、

  • 「価格で比べられる制作会社」から

  • 「資金の捻出方法まで一緒に考えるパートナー」

にポジションが変わり、見積提示後の沈黙が激減する。分割払い導入は、支払手段の追加にとどまらず、営業トーク全体を資金相談型にリデザインする起爆剤として機能する。

ケーススタディで見る:Web制作会社が分割活用でビジネスを底上げしたパターン

「デザインより“支払方法”を整えた瞬間、売上ラインが一段上がる」。現場でよく起きているのに、ほとんど言語化されていないパターンを3つに絞って解剖します。

100万円超ホームページ案件が“予算オーバー終了”から復活した事例の解剖

制作会社の感覚では「100万円のHP」は中堅クラスの案件ですが、多くの中小企業にとっては「今年の投資の目玉レベル」です。よくある流れがこれです。

  • ヒアリングもデザイン提案も順調

  • 見積は制作費用120万円+保守月額1万円

  • 先方「内容はいいんですが、社内で少し検討させてください」

  • そのまま音信不通

この“沈黙”の裏側には、経営者の頭の中で次のような計算が走っています。

  • 「今月・来月の資金繰りで一括120万はキツい」

  • 「でも月々10万前後なら広告費としてはアリ」

  • 「社内稟議で“初期一括120万”は通しづらい」

ここで「一括前提の見積」から「月々の資金イメージ」へ見せ方を変えると、話が一気に戻るケースが多くあります。

例:

  • 制作費120万円 → 分割クレジット36回 → 月々約35,000〜40,000円台

  • 保守・運用は別契約で月額1万円

このときのポイントは、「総額は変わらない(または少し上がる)けれど、月々いくらなら現実的か」を一緒に設計することです。価格交渉ではなく「資金の捻出相談」に切り替わるため、「予算オーバーなので今回は…」で終わっていた案件が、前向きな投資案件として復活しやすくなります。

PLUGのような分割対応パッケージと、信販スキームを組む制作会社の違い

分割払いを導入する制作会社には、大きく2種類のスタイルがあります。

  • 分割対応パッケージ(例:PLUGのような商品)を使う

  • 自社で信販会社と直接スキームを組む

現場での違いを整理すると、次のようなイメージになります。

項目 分割対応パッケージ型 自社で信販スキーム構築
導入スピード 早い 遅め(審査・契約が必要)
営業資料 ひな形・ツールが揃っている 自前で作り込む必要
カスタマイズ性 パッケージの範囲内 制作費用・保守・CMSを柔軟に設計可能
回収リスク 基本ゼロ設計にしやすい 設計次第で背負い込む余地あり
手数料交渉 固定になりやすい 売上規模によって条件交渉しやすい

従業員1〜10名の制作会社であれば、最初はパッケージ型で「営業トーク」と「書類の流れ」を身体で覚えるのが現実的です。商談現場では、次の2点を押さえておくと機能しやすくなります。

  • 制作物(ホームページ・LP)と保守・運用費用の線引きを、パッケージの範囲に合わせて整理する

  • 契約書上の「所有権」「ドメイン・サーバーの扱い」「支払開始タイミング」を必ず確認しておく

そのうえで、案件規模が大きくなってきたら、信販会社と直接スキームを組み、医療・美容・製造業など自社が強い業種に合わせた審査フローを作り込むと、通過率と単価アップの両方を狙いやすくなります。

工務店・製造業・美容クリニックなど「医療・美容・工場系ビジネス」での活用像

分割払い導入の効果は、業種によって見え方が変わります。共通しているのは「月々の資金バランスで判断される」という点です。

  • 工務店・リフォーム会社(工場設備も含む)

    • 高額な設備・施工費のローンがすでに一般的
    • 「集客用のホームページも、設備投資と同じ感覚で月額費用として処理したい」というニーズが強い
    • 提案のコツは、成約1件あたりの粗利と月々のサイト費用を並べて見せること
  • 製造業・工場系ビジネス

    • 設備リースは使っているが、Web投資は後回しになりがち
    • 「工場稼働が読みにくいから、一括は避けたい」という声が出やすい
    • CMSや採用サイトを含めた「採用・受注の仕組みづくり」を、月額固定費で平準化すると社内稟議が通りやすい
  • 美容クリニック・サロン・医療系

    • 自社も患者向けに分割・クレジットを提供しているケースが多い
    • 「集客側でも同じ発想で月々◯万円ならOK」というリアルな判断軸を持っている
    • リスティング広告や予約システムとセットで「月々の集客コスト」として見せると、投資判断が早い

これらの業種に共通するのは、技術説明より「月々いくらで、どれくらいの効果を狙うのか」の会話が先に立つことです。逆に、ここを一括前提で話してしまうと、「今期はやめておきます」で終わる確率が一気に上がります。

分割払い導入は、単に支払方法を増やす話ではありません。ホームページ制作・CMS構築・保守サービスを、「中小企業の資金バランスに合わせて再パッケージする行為」です。そこまで踏み込めた制作会社から、単価と成約率の両方がじわじわと底上げされていきます。

「そのリース、本当に必要?」所有権・更新・保険まで確認したいチェック項目

「HPもPCも“全部お任せで月額◯万円です”」と言われた瞬間、その案件は楽なようで一番危ないゾーンに入ります。
制作会社側がここを曖昧にすると、数年後に「更新も解約もできないホームページ」に縛られ、紹介・口コミで積み上げた信頼を一気に削ることになります。

まず押さえたいのは、“何にお金を払っているのか”を、制作物単位で分解して見ることです。

リースの契約期間とホームページの実際の運用年数がズレるときのリスク

リースは「物」に対して組む契約、ホームページは「ビジネスの変化」で寿命が決まる資産。このギャップがズレの正体です。

典型パターンは次の通りです。

  • リース期間: 7年

  • 実際のサイトの賞味期限: 3〜4年

  • CMSやデザインの陳腐化は4年目から加速

このズレが起きるとどうなるか。

  • 4年目にリニューアルしたくても、まだ3年分のリース残債がある

  • 古いサイトを残しつつ、新サイトを別で制作 → 毎月の固定費が二重化

  • 「更新したいなら追加費用」と言われ、実質ローンの上に追加投資

リース期間と運用イメージを合わせるために、商談時点で次の問いを投げておくと安全です。

  • 「このホームページ、何年くらいで見直す前提で考えていますか?」

  • 「採用・EC・予約など、3年以内に機能追加の可能性はありますか?」

この2つが「3〜4年」なのに、7年リースを勧められているなら黄色信号です。

ドメイン・サーバー・CMSなど“制作物以外”の所有権・終了条件の確認ポイント

トラブルの多くは、肝心な“中身”の所有権を誰も確認していないことから始まります。
ホームページ制作費用の話ばかりで、ドメインやサーバー、CMSがどこ名義か放置されがちです。

所有権と終了条件は、最低限この粒度で整理しておきたいところです。

項目 よくある落とし穴 事前に確認すべきポイント
ドメイン 契約終了後にドメイン移管NG 誰の名義か、解約後に移管可能か
サーバー リース終了と同時にサーバー停止 データバックアップのタイミングと方法
CMS/更新システム ライセンスがリース会社名義で、解約と同時にログイン不可 ライセンス保有者は誰か、買い切りか利用権か
デザイン/原稿 データ納品不可・再利用禁止 納品形式・二次利用範囲・追加費用の有無

特にドメインは、実質的に企業の看板です。
ここをリース会社名義にしてしまうと、契約終了時の交渉カードをすべて相手に渡すことになります。

制作会社としては、契約書や見積書に以下のような文言レベルで切り分けておくと安全です。

  • 「ドメイン取得・管理は◯◯名義とする」

  • 「契約終了時、ドメイン移管に必要な情報は無償で提供する」

  • 「CMSライセンスはエンドユーザーが継続利用可能な範囲で契約する」

保守・更新・アプリ・採用ページなど、付帯サービスの契約が複雑化するパターン

リース契約が危険になるのは、「何でもかんでも一緒くた」にした瞬間です。
ホームページ本体、保守、サーバー、アプリ、採用ページ、LP制作…全部を1本のリースにまとめると、次のような“身動き不能状態”が起きます。

  • 採用ページだけリニューアルしたいのに、全部セットの見直しが必要

  • 保守を別会社に変えたいのに、保守もリースの一部なので途中解約が高額

  • Webアプリだけ別ベンダーに移管したいが、ソースコードの権利がリース契約内にロック

制作会社側がやるべきは、「まとめる」のではなく“レーンを分ける”設計です。

  • ホームページ制作費用: 一括 or 信販分割

  • 保守・更新・サーバー: 月額サービス契約

  • アプリ・システム開発: 別契約(仕様書ベース)

  • 採用サイト・LP: 単発制作+必要なら別の分割スキーム

このようにレーンを分けておけば、将来の見直しや他社との協業が圧倒的に楽になります。
「全部まとめて月額◯万円」は一見キャッチーですが、後から自由度を奪う“サブスク風ローン”になっていないか、冷静に分解して見る視点が、Web制作会社側のプロとしての腕の見せどころです。

分割払い導入でキャッシュフローとマーケティングがどう変わるか

「いいサイトは作れるのに、銀行口座だけが痩せていく」──分割導入を考える制作会社の多くが、ここでつまずきます。分割は単なる支払方法ではなく、自社とクライアント双方のキャッシュフローとマーケ戦略を組み替えるレバーになります。

制作会社側の資金繰り:一括入金モデルと分割入金モデルの違い

一括か分割かで、売上の“形”がまったく変わります。現場でよくある2パターンを整理すると、判断基準がクリアになります。

項目 一括入金モデル(従来) 分割入金モデル(信販併用)
入金タイミング 検収後に制作費用を一度に回収 制作会社はクレジット会社から早期一括入金
回収リスク 未入金・倒産リスクを自社が負う 回収はクレジット会社側に移転
キャッシュフロー 月によって売上の波が大きい 毎月の売上が平準化しやすい
売上の見え方 「案件ごとの山」 「ストック型の積み上げ」

自社分割で分割請求書を発行すると、売上は立つのに資金が入ってこない「黒字倒産予備軍」状態になりがちです。信販・クレジットを噛ませて自社には一括で入金させる設計にしておくと、「売上の山」と「口座残高」がきれいに揃います。

制作現場で押さえたいポイントは次の3つです。

  • 制作費用は可能な限り「検収後すぐ一括入金」を確保(信販経由)

  • 分割されるのはクライアント側の支払だけ、という構図を崩さない

  • 保守・CMS利用料は月額課金に分けて、継続収益として積み上げる

こうしておくと、制作+保守のハイブリッドモデルになり、短期の資金繰りと長期の売上安定を両立しやすくなります。

中小企業側の投資判断:Web・マーケティング費用を「月額固定費」として捉える発想

中小企業の決裁は、「総額100万円だから無理」ではなく「月々いくらなら社内で説明できるか」で止まることが非常に多いです。ここを崩せるかどうかが、商談の勝敗を分けます。

クライアントの頭の中 制作会社が見せがちな数字
毎月どれだけ資金を捻出できるか 総額の制作費用と見積書の一行目
採用・集客でいつ回収できそうか デザイン・CMS・機能の仕様説明
月次の固定費として耐えられるか 一括払い前提の請求スケジュール

ここで効くのが、「HPリニューアル=投資用のサブスク費用」という整理です。

  • 「今の広告費+〇万円なら、ホームページ強化の月額投資として現実的ですか?」

  • 「採用1人分のコストを、Web制作+運用に振り分けるとしたらいくらまで出せますか?」

この会話が出せると、クライアントは総額100万円の“塊”ではなく、月額3〜5万円の“固定費”として判断できるようになります。実務では、月商や人件費の1〜3%の範囲に月額を収めると、稟議が通りやすい傾向があります。

分割を前提にした企画・デザイン・マーケティング提案の組み立て方

分割導入で本当に差がつくのは、「提案ストーリーを月額ベースで組めるかどうか」です。制作会社側がやりがちな失敗は、企画とお金の話がバラバラになっていることです。

分割を前提にするなら、提案書の構成そのものを変えます。

  • 最初に「目的とKPI」

例:問い合わせ件数〇件、採用エントリー〇件

  • 次に「年間のマーケ予算」

例:年間120万円=月額10万円の投資枠

  • そこから「制作+運用の月額パッケージ」に落とし込む

例:

  • 制作費用:80万円 → 48回信販分割(クライアント側月々約1.7万円)
  • 保守・更新・簡易運用:月額5万円
  • 合計:クライアントの月額負担 約6.7万円

この「月額○万円パッケージ」が軸になると、デザインやCMS選定もブレにくくなります。高機能CMSや余計なオプションを盛り込みすぎると月額が跳ね上がり、稟議の“心理ライン”を一瞬で超えて失注するため、先に月額の枠を決めてから仕様を足し引きするのが現場感覚としては安全です。

分割払い導入は、単に支払回数を増やす話ではありません。キャッシュフローとマーケ予算の“物差し”を月額にそろえ、商談・契約・制作の全工程を一本の線にするための仕組みと捉えると、制作会社のビジネス設計そのものが一段上のレベルに上がっていきます。

失敗しないための「導入前にこれだけは相談しておきたい」質問リスト

「分割対応できます」で終わらせると、だいたいあとから燃えます。導入前に“聞き切る”制作会社だけが、回収リスクゼロに近づきます。

クレジット会社・代理店・パートナーに投げるべき具体的な質問

支払スキームの肝は、どこまでを外部に任せて、どこからが自社責任かです。商談前に、最低限この質問はぶつけておきたいところです。

支払スキーム確認の質問リスト

  • 審査対象

    • 法人名義か、個人事業主も対象か
    • 医療・美容・製造業など、通りやすい業種/通りにくい業種はどこか
  • 契約範囲

    • 制作費用と保守費用、どこまでクレジット契約に含められるか
    • CMS利用料やドメイン・サーバーは「物」扱いか「サービス」扱いか
  • 回収リスク

    • 顧客が未払いになった場合、債権は誰が持つのか
    • 中途解約時の精算ルールと、制作会社側の返金義務の有無
  • 手数料・利息

    • 分割手数料の負担者(顧客or制作会社or折半)
    • 一括と分割で、制作会社側の入金タイミングが変わるか
  • 実務フロー

    • 審査に必要な書類と、審査日数の目安
    • 支払開始日は「公開時」か「検収日」か「契約日」か

確認結果のまとめ方(例)

項目 クレジット会社A クレジット会社B
得意業種 美容・医療 製造・工場
回収リスク 100%外部 一部買取り
手数料 4% 3%
支払開始 検収日 公開日

このレベルで比較しておくと、「案件ごとにどの会社を使うか」の判断が一気にラクになります。

地域密着の制作会社だからこそ気をつけたい、取引先との関係性と契約の線引き

地元の工務店やクリニックと長年付き合っている制作会社ほど、情で分割を引き受けて回収で消耗するケースが目立ちます。関係性は大事ですが、線引きはもっと大事です。

線引きで押さえるポイント

  • 自社分割をやらない・やるなら上限を決める

  • 「支払方法の相談」は受けるが、「保証人」にはならない

  • 与信判断は必ずクレジット会社に委ねる

  • 契約書に

    • 所有権
    • ドメイン・サーバーの名義
    • 保守範囲
      を明記し、口約束を排除する

ありがちな“情シナリオ”の分解

シーン その場の判断 数カ月後の現実
予算オーバー 「じゃあ3分割でいいですよ」 入金遅延→催促役に疲弊
リースの細部未確認 「リース会社が大丈夫と言ってます」 更新時にサイトが人質化
保守込みのざっくり月額 「全部コミで月々3万円です」 作業範囲を巡る綱引きが発生

「うちの地域ではここまでやるのが普通」という空気こそ、文書で整理しておかないと後から自分の首を絞めます。

連絡窓口・相談会・contactフォームを活用した“事前の火消し”発想

分割払い導入で炎上を防ぐ一番のコツは、火種が小さいうちに拾える仕組みを作っておくことです。Webサイトのcontactフォームも、営業トークも、全部“消火器”に変えられます。

事前の火消しに効く仕掛け

  • サイトの料金ページに

    • 「一括・分割・リースの違い」
    • 「月々の資金イメージ早見表」
      を掲載して、予算感のギャップを事前に埋める
  • contactフォームに「希望の支払方法」「検討中の予算帯」を入れておき、

    最初から月額起点の提案ができるようにする

  • 地域の経営者向けに

    • 「ホームページ制作費用の分割・リース勉強会」
      を開催し、案件になる前の段階で誤解を解いておく

問い合わせ段階から「支払方法も一緒に相談していいんだ」と伝えられれば、見積提示後の沈黙は確実に減ります。支払スキームの設計は、契約書の話であると同時に、マーケティング導線の話でもあります。

執筆者紹介

主要領域はWeb制作×支払設計。中小企業向けホームページ制作を題材に、リース・分割・一括・保守契約を横断して「所有権」「回収リスク」「稟議プロセス」を整理する実務視点の解説を行う。本記事では、公開情報と一次情報の分析をもとに、制作会社が損をしやすい契約構造と、安全に高単価案件を通すための支払設計を体系化することを目的としている。