高額な自費診療のカウンセリングで、患者が最後の一言「少し考えます」で席を立つたびに、医院は気付かないまま数十万円単位の機会損失を積み上げています。多くの院長が「インプラントは高いから仕方ない」と割り切りますが、実際には分割払いの設計と運用を変えるだけで、同じ患者・同じ症例でも成約率と症例単価は静かに変わります。
問題は、「自費診療に分割払いを導入するかどうか」ではありません。すでにデンタルローンやクレジット加盟店契約を結んでいるのに、
- 誰が、どのタイミングで、どの言葉で「月々の支払」を提示するか決めていない
- デンタルローン、ショッピングクレジット、院内分割の債務の持ち主とリスクの違いを整理しないまま、なんとなく採用している
- 契約書や同意書に、キャンセル・中断・治療内容変更の一文がない
このような構造的欠陥のせいで、「導入したのに誰も案内しない」「トラブル対応に時間を取られ、結局分割を封印する」医院が少なくありません。
本記事は、一般的な「支払方法の一覧紹介」ではありません。現場で実際に起きている以下の論点を、歯科医院と信販側の両方の視点から解体します。
- 前歯のセラミックス、部分矯正、インプラントなど費用レンジ別の失注パターン
- デンタルローン、クレジットカード、院内独自分割、リース的スキームの違いを、医院・患者・信販会社の三方向から整理
- アプラスなど大手ショッピングクレジットと、エンドユーザー与信ベースの信販代行スキームの選び方
- 「総額だけ伝えて月々と金利を端折る」ことで起きている典型的なトラブル事例
- LINEやメールで送る説明テンプレートの実例と、その並べ方・順番のロジック
さらに、単に「導入メリット」を並べるのではなく、自院の症例構成・開業年数・売上規模からどの支払方法を優先的に整えるべきかを逆算する視点も整理します。開業〜3年目の現金・カード中心の医院と、中堅〜グループ医院では、見るべき数字もリスクもまったく違うからです。
この記事を読み進めれば、
- 「月々いくらなら生活が崩れないか」という患者のラインに合わせた返済シナリオ
- 症例単価・成約率・紹介数をどのように計測すれば、分割払い導入の是非をブレずに評価できるか
- 医療費控除や保証との絡みを、患者が理解しやすい順番で説明する実務フロー
まで、手順として持ち帰ることができます。
この先は、次の比較表をざっと眺めてから、今の自院に一番刺さりそうなセクションから読んでください。
| セクション | 読者が手にする具体的な武器(実利) | 解決される本質的な課題 |
|---|---|---|
| 記事前半(失注パターン〜設計ミス・トラブル解体まで) | 自院のカウンセリングと支払フローの「どこで患者が席を立つか」を特定し、費用説明と分割案内の実務修正ポイントが明確になる | 「分割払いを導入しているのに成約率も単価も上がらない」「トラブルが怖くて積極案内できない」という停滞 |
| 記事後半(支払設計〜審査スキーム・説明テンプレ・導入シナリオ〜評価軸まで) | 自院の規模・症例・法人形態に合った支払方法の組み合わせと、LINE・メール・院内ルールまで含めた運用フォーマット一式 | 「どのローン・クレジットを選べばよいか分からない」「導入後のオペレーション設計ができず、現場に落ちない」状態からの脱却 |
自費診療の分割払い導入を「単なる決済手段の追加」で終わらせるか、「失注を減らし、トラブルも抑えながら、自費比率と患者満足を底上げする仕組み」に変えるかは、ここから先の設計次第です。
- 「インプラントは高いから仕方ない」で終わらせない:自費診療の失注パターンを分解する
- デンタルローン・クレジット・院内分割…「種類」は知っていても“構造”を誤解していないか
- 「導入したのに誰も案内しない」歯科あるある:分割払いオペの設計ミスを暴く
- 現場で本当に起きているトラブルと、その防ぎ方をプロ目線で解体する
- 何を選ぶかより「どう設計するか」:自費診療×分割払いの下地づくり
- 大手ショッピングクレジット会社 vs 信販代行スキーム:表からは見えない選び方のリアル
- 「LINE・メールでここまで書く」患者説明テンプレートの作り方と実例
- 開業年数別・規模別:自費診療クリニックの分割払い導入シナリオ
- 「導入メリット」を数字と生活で再定義する:医院にも患者にも残るものは何か
- 執筆者紹介
「インプラントは高いから仕方ない」で終わらせない:自費診療の失注パターンを分解する
「治療の説明もした、症例も見せた、予約も押さえた。それでもインプラントだけ決まらない。」
このパターンが続いている医院は、技術より前に“お金の設計”で負けているケースが多いです。
ポイントは「高いから諦めた」の一歩手前、患者が心の中で電卓を叩き始める瞬間をどう扱うかです。
患者が席を立つ瞬間はここだった:費用説明で起きている“沈黙”の正体
カウンセリング終盤、こうなっていないでしょうか。
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インプラントの治療内容を丁寧に説明
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症例写真・保証内容も提示
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最後に「費用は総額で約〇〇万円です」とだけ伝える
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患者が一瞬黙り、視線を落とす
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「一度家族と相談します」と席を立つ
この数秒の沈黙で、患者の頭の中では次のような計算が始まります。
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「家賃と教育費と保険料で、毎月これくらい出ている」
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「カードのリボもある」
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「ボーナス払いに回せる余裕はほぼゼロ」
ここで医院側から「支払方法」という逃げ道を差し出せていないと、患者は「今は無理」という結論しか出せません。
費用提示の段階で、少なくとも次の3パターンはセットで示したいところです。
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一括現金・クレジットカード
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デンタルローンやショッピングクレジットの分割
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必要に応じた院内分割や一時金+分割
この「選択肢の並べ方」と「順番」が、成約率を静かに左右します。
「月々いくらなら生活が崩れないか」を聞かないカウンセリングの危うさ
自費診療のカウンセリングで、総額だけを議論していると、ほぼ確実に負けます。
患者の生活は総額ではなく「月々」で動いているからです。
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家賃
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スマホ・サブスク
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生命保険
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車のローン
すべて「月々〇円」で意思決定されています。
このリズムに合わせず、インプラントを「総額40万円」とだけ提示すると、家計のイメージから完全に浮いてしまうわけです。
ヒアリングで必ず押さえたい質問はシンプルです。
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「もし分割にするなら、月々どのくらいまでなら無理なく続けられそうですか」
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「車や家のローンと同じくらいの期間と負担感ならどうでしょうか」
この2問だけで、患者の返済計画の許容ラインが見えてきます。
ここから初めて、デンタルローンやカード分割、院内分割など具体的な支払方法の設計に入れます。
費用感と生活感のギャップを埋めるには、「総額の説明」→「月々シミュレーション」→「医療費控除などの還付イメージ」の順で話すと納得度が一気に変わります。
前歯のセラミックス・部分矯正・インプラント…費用レンジ別に見える失注の構造
自費診療はメニューごとに「患者が迷うポイント」と「分割払いの刺さり方」が違います。
よくある費用レンジと、患者の頭の中で起きていることを整理すると、オペレーションの改善ポイントが見えてきます。
| 治療内容 | 目安費用レンジ | 患者が迷うポイント | 有効な支払設計の視点 |
|---|---|---|---|
| 前歯セラミックス(1〜2本) | 10〜25万円 | 「カード一括でいけるかも」「でも他の出費とぶつかる」 | カード・一括と並べて、少額分割(例:月々5千〜1万円台)を提示 |
| 部分矯正(前歯ライト矯正) | 30〜60万円 | 「美容の範囲なのにこの金額か」という心理的ハードル | デンタルローンで月々1〜2万円台のシミュレータを即提示 |
| 単独インプラント | 35〜60万円 | 「保険診療との差」が直感的に大きい | 医療費控除・噛み合わせ改善の価値と長期分割(60〜84回)をセットで説明 |
| 全顎インプラント・重度矯正 | 150万円超 | 「人生レベルの投資」と感じる | 配偶者への説明前提で返済計画表を紙かPDFで渡す |
ポイントは、費用レンジによって「分割を提案すべき優先度」が変わることです。
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前歯セラミックス: 総額は小さくても、「他のカード利用枠」と競合しやすい
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部分矯正: 医療と美容の中間で迷うため、「月々」の軽さを具体的に見せないと後回しにされやすい
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インプラント: 最大の失注要因は「一度持ち帰って家族と相談」のまま、支払方法の話が立ち消えること
分割払いの導入は、単にデンタルローンやクレジットの加盟店契約を結ぶ話ではありません。
自院の症例構成ごとに、「どの治療で、どの費用帯から、どの月々イメージを先に見せるべきか」を設計し直す作業です。
この視点を押さえると、「インプラントは高いから仕方ない」というあきらめが、「どう支払えば生活を崩さずに済むか」という前向きな相談に変わっていきます。
デンタルローン・クレジット・院内分割…「種類」は知っていても“構造”を誤解していないか
「デンタルローンもクレジットも用意しているのに、自費が伸びない」と感じている医院は、多くの場合“ラベル”ではなく“構造”を取り違えています。
誰がリスクを取り、誰に審査が入り、誰にお金が落ちるのか。この3点が腹に落ちると、自院に向く支払方法が一気にクリアになります。
歯科医院で使われる主な支払方法を、医院・患者・信販会社の三方向から整理する
まずは、現場で混同されやすい支払方法を3者視点で並べます。
| 支払方法 | 医院から見たポイント | 患者から見た負担・メリット | 信販会社・カード会社視点 |
|---|---|---|---|
| 現金・振込 | 未収ゼロだが高額治療は失注しやすい | 手数ゼロだが一度に大きく財布が減る | 介在しない |
| クレジットカード一括/分割 | 入金早いが手数料発生 | 手数料・金利はカード会社ルール | カード与信でリスク管理 |
| デンタルローン | 医院の未収リスクほぼゼロ | 月々支払でインプラント等に届きやすい | 患者個人を厳格に審査 |
| ショッピングクレジット | 治療費を“商品購入”として分割 | ボーナス併用など柔軟 | 医院も加盟店としてチェック |
| 院内独自分割 | 成約率◎だが債権管理が重い | 金利ゼロにしやすく心理的ハードル低い | 信販会社は関与しない |
ポイントは、「誰が債権を持ち、誰が与信を見るか」で運用負荷がまったく変わることです。
デンタルローンとショッピングクレジットの「債務の持ち主」が違うという重要ポイント
デンタルローンとショッピングクレジットは、現場では同じ「分割」として扱われがちですが、構造は別物です。
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デンタルローン
- 債務の相手は「患者⇔ローン会社」
- 医院は治療提供者であり、代金は一括で受け取る
- 審査の主役は患者個人の返済能力
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ショッピングクレジット
- 債務の相手は「患者⇔信販会社」、ただし医院は加盟店として契約
- 医院の売上構成・開業年数が審査に影響
- アプラスなど大手では、自費比率が高い新規医院が門前払いになるケースもある
この違いを理解せずに「とりあえずアプラスに加盟店申込」から入ると、審査でつまずき、導入計画が半年単位で止まることがあります。
開業間もない医院や売上規模がまだ小さい医院は、患者の与信を軸にするデンタルローン型を先に整えた方が、現実的にスタートを切りやすいケースが多いです。
院内独自分割とリース的スキーム:家賃や車のローンと何が違うのか
「うちは昔から3回払いまでは院内分割でやっている」という医院も少なくありません。ここで押さえたいのは、家賃や車のローンと決定的に違うポイントです。
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家賃・車のローン
- 途中で払えなくなっても“モノ”や“利用権”を止められる
- 担保や所有権留保で守られている
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自費診療の院内分割
- 多くは治療が先行し、歯は患者の口の中に固定される
- 未収が出ても「取り上げる」ことは現実的に不可能
- 契約書や審査基準がないまま運用すると、数年後に債権管理だけが積み上がる
院内独自分割を続けるなら、最低限次の3点はルール化しておきたいところです。
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キャンセル・中断時の扱いを事前に文書で合意しておく
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審査の目安(収入・勤務形態・既存ローン状況など)を院内で共有する
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返済が遅れた場合の連絡フロー(電話・郵送・内容証明までのステップ)を決めておく
ここを曖昧にしたまま「分割OKです」とだけ案内していると、短期的には成約率が上がっても、数年後に「未収一覧を見るのが怖い」という状態に陥りがちです。
リース的なスキームや信販をうまく組み合わせ、“医院が貸金業の真似事をしない設計”に切り替えることが、院長の心理的負担とキャッシュフローを同時に守る鍵になります。
「導入したのに誰も案内しない」歯科あるある:分割払いオペの設計ミスを暴く
「デンタルローンは導入済み。でもインプラントの成約率はほぼ変わらない」。このパターンは、金融商品ではなく院内オペレーションの設計ミスが原因になっているケースが圧倒的に多いです。
受付・TC・医師…誰がどのタイミングで分割の話を切り出すべきか
分割払いは「誰が・いつ・どの言い方で」触れるかで、利用率が2〜3倍変わります。現場で成果が出ている医院は、下のように役割とタイミングが秒単位で決まっていることが多いです。
| 担当 | タイミング | 役割 | NGパターン |
|---|---|---|---|
| 医師 | 診断直後 | 治療方針と総額の目安だけ伝える | 「高いけど頑張りましょう」と感情論だけ |
| TC | カウンセリング開始5分以内 | 月々の許容額をヒアリング | 費用の話を後ろに回して時間切れ |
| 受付 | 会計前 | 支払方法の最終確認と申込同行 | 「パンフだけ渡しておくので検討を」 |
ポイントは、医師が分割の詳細まで説明しないことです。医師は「治療の必要性とおおよその総額」を、TCが「月々いくらなら生活が崩れないか」、受付が「具体的なデンタルローンやクレジットの手続き」を担当すると、患者側の心理負担が大きく下がります。
シミュレータも説明動画も宝の持ち腐れ?“ページはあるのに活用されない”医院の特徴
「ローンシミュレータも用意した。説明動画ページも作った。それでも分割利用が増えない」医院には、共通のクセがあります。
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シミュレータのURLを誰も口頭で案内していない
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予約メールやLINEに、月々の支払例が1行も出てこない
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「デンタルローン」「クレジット」とだけ書き、金利や期間のイメージを添えていない
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受付が「一括・カード・ローンどれにしますか」と丸投げ質問で終わっている
実務で成果が出る使い方は逆で、TCがカウンセリング中にその場でシミュレーションを一緒に見ることです。
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「インプラント1本45万円だと、デンタルローン36回で月々約××円です」
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「前歯セラミックス2本なら、カード一括と分割でどちらが負担が軽いと感じますか」
このように「治療内容」「月々」「期間」をワンセットで伝えると、患者は家賃や保険料と比較しながら現実的に判断しやすくなります。
加盟店契約を結んだだけで終わらせないための、院内ルールのつくり方
アプラスなどと加盟店契約を結んでも、「院内ルール」がなければほぼ確実に宝の持ち腐れになります。最低限、次の3点は紙で明文化しておくと運用がブレません。
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1: 分割の「声がけ基準」
- 例: インプラント30万円以上、矯正、前歯セラミックスは原則「月々の案内」を必ず1回入れる
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2: 誰がどこまで説明するかの線引き
- 医師: 医療的必要性と費用レンジ
- TC: デンタルローン・クレジット・院内分割の違いとメリット
- 受付: 手続き手順・審査の流れ・必要書類
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3: 記録ルール
- カルテか予約システムに「分割提案の有無」「患者の反応」「再提案のタイミング」を残す
この3つを決めておかないと、「今日は忙しいから説明を飛ばす」「誰かが話したはず」という属人化が一気に進みます。逆にここを固めるだけで、同じデンタルローン・同じ手数料でも、症例単価と成約率がじわじわ上がる医院に変わっていきます。
現場で本当に起きているトラブルと、その防ぎ方をプロ目線で解体する
「分割払いを入れたら自費が伸びるはずが、気付けばクレーム対応と未収管理に時間を奪われている」。高額自費を扱う歯科で、いま一番“声に出しにくい悩み”を3つに分解すると、原因は説明不足・契約不足・審査理解不足の3点に集約されます。
「総額だけ伝えて、月々と金利を端折った」時に起きやすいクレジット・ローントラブル
カウンセリングで「インプラントは総額45万円です」とだけ伝え、その場でショッピングクレジット申込。月々と金利の説明は申込用紙任せ。ここから、典型的なトラブルが連鎖します。
よくあるパターンを整理すると下記の通りです。
| 説明を省略したポイント | 患者側の誤解 | 医院に返ってくる問題 |
|---|---|---|
| 月々支払額 | 「ボーナス併用で組まれていた」 | 支払がきつくなり治療中断の相談が殺到 |
| 支払期間 | 「5年も払うとは思っていなかった」 | 「そんな長期は聞いてない」とクレーム化 |
| 金利・手数料 | 「45万円だけ払うつもりだった」 | 「金利は誰が負担するのか」で紛争化 |
ポイントは、総額と“支払総額”を分けて説明していないことです。
最低限、次の3ステップは院内ルールとして固定しておくと、後の火消しが激減します。
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TCまたは医師が「総額」「支払総額(元金+手数料)」「月々の目安」の3点を口頭で伝える
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受付が同じ内容をシミュレータ画面か紙で可視化し、患者に持ち帰ってもらう
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LINEやメールで「申込前にもう一度読める費用説明」を送付し、証跡を残す
「金利の話をすると決まりにくいのでは」という声もありますが、実務ではきちんと話した症例ほどキャンセル率が低い印象が強いはずです。曖昧さで成約率を上げるのではなく、理解度と納得度で成約率を上げる設計に切り替えた方が、スタッフのメンタルも守れます。
キャンセル・中断・治療内容変更…契約書に欠けている一文が生む高額トラブル
次に多いのが、「治療計画は変わるのに、契約書は変わらない」ことから生まれるトラブルです。特にインプラントや矯正は、途中での方針変更が前提の治療です。
よく見かける“危ない契約書”は、次のような特徴があります。
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「治療内容の変更時の精算方法」が一切書かれていない
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「キャンセル時の返金ルール」が“医院の裁量”としてしか書かれていない
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「中断の定義(◯ヶ月来院がない場合など)」が決まっていない
ここに、たった一行でも次のような文言が加わるだけで、交渉の土台が整います。
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治療開始後に内容が変更となる場合は、「完了済みの治療行為」と「未実施分」を区分し、未実施分から返金額を算定します
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最終来院日から◯ヶ月を超えて来院がない場合は「中断」とみなし、それまでに完了した治療に相当する費用を頂きます
“返金しない”と強く書くことが目的ではありません。「どういう考え方で精算するか」のルールを患者と共有しておくことで、トラブルになった時も感情論ではなく「合意していた枠組み」に沿って話ができる状態をつくることが重要です。
審査・審査基準の誤解から生まれる「通るはずだと思っていたのに」のモヤモヤ
最後は、審査基準の誤解です。ここを曖昧にしたまま案内すると、落ちた時に患者も医院もモヤモヤが残ります。
現場で起きやすい誤解を整理すると次のようになります。
| 誤解しているポイント | 実際の審査の見方 | 現場で起こる問題 |
|---|---|---|
| 「若いから通りにくい」 | 年齢よりも安定収入と信用情報 | 若年層に分割を最初から案内しない |
| 「法人の信用で何とかなる」 | デンタルローンは基本的に患者本人の与信 | 院長が“口利き”を期待され板挟みに |
| 「大手信販はどこも同じ」 | 会社ごとに得意な属性・業種が違う | 1社NGで全て諦めてしまう |
ここで効いてくるのが、大手ショッピングクレジット会社への直接加盟と、エンドユーザー与信ベースの信販代行スキームの併用です。
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開業年数が浅い、保険点数中心の売上構成だと、大手への直接加盟は門前払いになりやすい
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一方、「患者の信用情報を中心に見るスキーム」なら、医院側の規模にかかわらず導入できるケースがある
この違いを医院側が理解していれば、
「今回はA社で事前審査を試し、難しければB社のスキームに切り替えましょう」
と、最初から“逃げ道”を用意した案内ができます。
審査結果そのものはコントロールできませんが、どのスキームをどう組み合わせると患者の選択肢を狭めずに済むかは、医院側の設計次第で大きく変えられます。ここまで踏み込んで初めて、「分割払いを導入している」と胸を張って言える状態になります。
何を選ぶかより「どう設計するか」:自費診療×分割払いの下地づくり
「デンタルローンは入れた。クレジットカードも使える。なのにインプラントも矯正も“決まらない”」——ここで増やすべきは支払方法の数ではなく、設計の解像度です。
ポイントは3つだけ押さえれば十分です。
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どの症例に、どの支払方法を“主役”にするか
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月々支払のラインを、患者の生活とズレさせないこと
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医療費控除・保証・税金の話を、分割と一体で説明すること
この3点を、現場目線で具体的に固めていきます。
自院の症例構成(インプラント・矯正・前歯治療)から“最初に整えるべき支払方法”を逆算する
「みんながやっているからアプラスと加盟店契約を結ぶ」「スクウェアでカード決済できるようにする」という順番だと、自院の強みと患者のニーズがかみ合いません。
まずは、自院の自費診療をざっくり3つに分けてください。
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インプラント・フルマウス系(高額・長期)
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全顎矯正・部分矯正(中〜高額・中期)
-
前歯セラミックス・部分的な審美治療(中額・短期)
下の表のように、「症例の金額帯」と「患者が取りやすい支払方法」を対応させると、“最初に整えるべき支払インフラ”が見えてきます。
| 症例タイプ | 典型的な費用レンジ | メインで設計したい支払方法 | 補助的に用意したい方法 |
|---|---|---|---|
| インプラント1本〜複数本 | 40〜200万円 | デンタルローン / ショッピングクレジット | カード一括・分割、現金 |
| 全顎矯正・マウスピース矯正 | 70〜150万円 | 分割(信販)+一部院内分割 | カード、銀行振込 |
| 前歯セラミックス・部分矯正 | 20〜80万円 | カード分割・ボーナス払い | 短期院内分割、現金 |
経験上、「インプラントや矯正を伸ばしたい」と言いながら、
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高額症例なのに院内独自分割のみ
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カードはあるが、限度額オーバーが頻発
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デンタルローンは導入済だが誰も案内していない
という“設計ミスマッチ”が、失注の温床になっています。
先に症例構成を棚卸しし、「この治療は月々で案内できないと決まりにくい」と決める。そこから逆算して、デンタルローン、ショッピングクレジット、院内分割の優先順位をつけると、ムダな手数やシステム投資を減らせます。
「月々○円 × 何ヶ月」が患者の生活とペースに合っているかをチェックする視点
分割払い導入で最もズレやすいのが、「月々支払の感覚」と「患者の生活ペース」です。ここを外すと、審査は通っても途中解約・中断・モヤモヤ相談の連発になります。
カウンセリングでは、いきなり「84回払いまでできます」ではなく、生活固定費とのバランスで聞き出すのがコツです。
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月々の家賃や住宅ローンはいくらか
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毎月引き落とされている保険・サブスクの合計額
-
「この金額を毎月追加で払うと、どこが一番きつくなるか」をストレートに確認
その上で、シミュレータを“見せるため”ではなく“一緒に触るため”に使うと、患者の本音が出やすくなります。
| 月々のイメージ | 患者の心理 | 現場での落とし穴 |
|---|---|---|
| 月々1万円前後 | 「スマホ代+αくらい」 | 期間が長すぎると総額負担への不信感が出る |
| 月々2〜3万円 | 「保険+ジム代を足した感じ」 | 夫婦で相談が必要になり、その場で決まりにくい |
| 月々4〜5万円以上 | 「家計の大きな見直しレベル」 | 審査に通っても途中で支払が重くなり中断リスク |
ここで使いたいのが、“2本立て提示”です。
-
パターンA:月々を軽くする代わりに期間を伸ばす
-
パターンB:期間を短くする代わりに月々は少し高め
「AとBなら、どちらの方が生活のリズムに合いますか?」と問いかけると、患者自身が返済計画の“共同設計者”になります。押し付けられたローンから、自分で選んだ治療計画に変わる瞬間です。
医療費控除・節税効果・保証との絡みをどう説明すると患者が納得しやすいか
分割払いを単なる「支払方法の話」で終わらせず、医療費控除・保証・税金とセットで説明すると、患者の納得感と成約率が一気に変わります。
要点は3つです。
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医療費控除
- 1年間に払った自費診療費用が一定額を超えると、確定申告で一部が戻る制度
- 分割でも「その年に実際に支払った金額」が対象になることを、噛み砕いて伝える
-
節税イメージ
- 「実質的には、手元から出ていく総額が税金で少し軽くなるイメージです」と、“財布ベース”の説明に翻訳する
-
保証とのバランス
- インプラントや前歯セラミックスの長期保証がある場合、「保証期間と返済期間がズレすぎていないか」をその場で確認
- 返済が終わる頃に保証も切れている設計は、患者の不信感につながるため要調整
これを、そのままLINEやメールのテンプレに落としておくと、来院前の相談段階で患者の不安をかなり取り除けます。
【説明の流れの一例】
- 治療内容と総額の確認(インプラント・矯正・前歯かを明確に)
- 一括・カード・分割の3パターンを横並びで提示
- 「月々○円×○ヶ月」の候補を2つまで絞って提案
- 「今年支払う金額は医療費控除の対象になる可能性があります」と一言添える
- 保証期間と返済期間をセットで図解し、「いつまで安心が続くか」を視覚化
ここまで設計して初めて、デンタルローンもショッピングクレジットも“単なる金融商品”から、患者の生活と医院経営を同時に守るインフラに変わります。
大手ショッピングクレジット会社 vs 信販代行スキーム:表からは見えない選び方のリアル
「どの信販を入れるか」で迷っているうちは、まだ入口です。自費診療の成否を分けるのは、“どの看板で、どの審査ロジックに乗るか”という設計そのものです。
アプラスなど大手の「プラス評価」されやすい医院と、門前払いされがちなケース
大手ショッピングクレジット(例:アプラス)は、ざっくり言えば「医院そのものの信用力」を見ます。ここを誤解して申込すると、「なぜか通らない」ストレスが続きます。
| 項目 | プラス評価されやすい医院像 | 門前払い・条件厳格になりがちな医院像 |
|---|---|---|
| 開業年数 | 3〜5年以上、毎年売上が右肩上がり | 開業1〜2年、決算がまだ不安定 |
| 売上構成 | 自費率が一定以上、インプラント・矯正など高額治療の症例がある | 保険依存が高く、自費はスポット的 |
| 体制 | TC配置、見積書・説明書類が整備されている | 見積が口頭中心、契約書が簡素 |
| トラブル履歴 | キャンセル・滞納の管理フローがある | 独自分割の滞納が放置されている |
金融側は「安定してインプラントや矯正の症例を出せる医院か」「返済トラブルを抑えられる運営か」を冷静に見ています。
逆に、院内独自分割で契約書も審査基準もない状態が長く続いていると、“債権管理にルーズな事業体”と判断され、加盟店審査でハードルが上がることがあります。
売上規模・設立年数に縛られず、エンドユーザー与信を使うスキームが向く医院像
一方、信販代行スキームは「医院ではなく、患者個人(エンドユーザー)の与信を軸にする」設計が基本です。ここが大手との一番の違いです。
こんな医院ほど、エンドユーザー与信ベースのスキームがフィットします。
-
開業〜3年目で、自費は伸びているが決算実績はまだ少ない
-
インプラント・前歯セラミックス・部分矯正など、50〜150万円レンジの症例が多い
-
予約枠は埋まっているのに、「費用の壁」でインプラントが保険ブリッジに流れがち
-
スタッフは若く、カード・デンタルローンの説明経験が少ない
エンドユーザー与信型の強みは、「医院側の売上規模や設立年数に引きずられにくい」ことです。
開業直後でも、患者の属性(勤務先・年収・他社借入など)が整っていれば、分割の選択肢を提示できます。
ここで大事なのは、単に「通りやすいから楽」という発想ではなく、
-
どの治療レンジ(インプラント/矯正/前歯)を
-
どの月々支払(例:1〜3万円台)で
-
どの審査ロジックに乗せるか
を逆算し、自院の症例構成と支払方法のマトリクスを組むことです。
法人としての信用・NPO・グループ医院…“看板の種類”が審査にどう影響しうるか
同じ「歯科」でも、看板の種類で審査の見え方は変わります。
| 看板の種類 | 審査で見られやすいポイント | よく起こる勘違い |
|---|---|---|
| 医療法人 | 設立年数、グループ全体の売上・利益、他社リース実績 | 「法人だから必ず有利」と思い込み、赤字決算を軽視 |
| NPO・社団 | 事業内容の継続性、寄付・補助金依存度 | 「公益性が高い=信用度も高い」と考えがち |
| 個人開業 | 院長個人の信用情報、決算書、保有不動産等 | 「患者与信だから自分の信用は関係ない」と誤解 |
大手ショッピングクレジットは、「その看板が何年、どんな事業を続けているか」を重く見ます。
一方、信販代行スキームは、看板の種類よりも「患者与信+医院のオペレーション力」を見る傾向があります。
実務上の落とし穴はここです。
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医療法人だからと油断して、契約書・説明書の整備が後回し
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グループ医院だからと一括申込し、1院のトラブル履歴が全体に影響
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個人開業で大手に断られ、「分割はもう無理」と決めつけてしまう
自院の看板の種類と決算のリアルを直視しつつ、
- 大手ショッピングクレジットで「法人としての信用」を武器にするのか
- 信販代行で「患者与信」と「現場のカウンセリング力」を武器にするのか
この二軸を整理すると、「自費診療 分割払い 導入」の選び方が一気にクリアになります。
「LINE・メールでここまで書く」患者説明テンプレートの作り方と実例
「治療の説明は完璧なのに、支払説明は“おまけ”扱い」
このバランスが崩れている医院ほど、自費診療の成約率と紹介数を取りこぼしています。LINE・メールは、インプラントや前歯セラミックスの不安と、分割払いへの抵抗を同時にほぐす“第二カウンセリングルーム”だと捉えてください。
実際に使われているメッセージ例から学ぶ:一括・カード・分割をどう並べると伝わるか
支払方法の並べ方を間違えると、「高い治療を売り込まれている感」が一気に増します。ポイントは一括→カード→分割→医療費控除の順で、「選択肢を広げる流れ」を作ることです。
【メッセージ構成の例】
- 治療のゴール再確認(噛める・見た目・期間)
- 総額提示(保険との違いを一文で)
- 支払方法の列挙(一括→カード→分割)
- 分割の月々イメージ(シミュレータ結果)
- 医療費控除や保証の要点
- 相談窓口(電話・予約フォーム・LINE返信)
【文面イメージ】
「今回ご提案したインプラント治療は、しっかり噛める状態を長く保つことを目的にした自費診療です。
総額は〇〇円(税込)です。
お支払方法は
・現金一括
・クレジットカード(ポイント利用可)
・デンタルローンによる分割(例:月々△△円×□□回、金利・手数料込)
からお選びいただけます。
“月々いくらなら生活の負担にならないか”を一緒に考えますので、迷われた場合は遠慮なくLINEでご相談ください。」
月々シミュレーションと治療内容を一体で送る意味:支払だけ切り離さない工夫
費用だけを切り出すと、患者の頭の中では「高い買い物」=家電や車のローンと同じ枠に入ります。そこで、必ず「治療内容」と「月々の金額」をセットで提示します。
【悪い例】
- 「インプラント 50万円 月々1万2千円〜」
【良い例】
- 「右下奥歯インプラント1本(CT撮影・手術・被せ物・5年保証込)
総額50万円 → デンタルローン利用で月々1万2千円×48回(実質年率◯%)」
支払シミュレータを使う場合も、LINEにスクショ+一文解説を添えます。
【添える一文のパターン】
-
「今の家賃や保険料と並べても無理のない金額か、一度イメージしてみてください。」
-
「途中で返済計画を見直したい場合も、医院側で確認と手続きのサポートを行います。」
これにより、「ローンを組んだらもう後戻りできない」という誤解を減らし、相談のハードルを下げられます。
【治療と支払を一体にする時のチェック表】
| チェック項目 | 抜けがちなポイント |
|---|---|
| 症例内容と範囲 | 部分矯正か全体矯正か、前歯だけかを明記 |
| 含まれる費用 | 再診料・メンテナンス・保証の有無 |
| 期間 | 治療期間と返済期間を分けて書く |
| 金利・手数 | 実質年率と、医院負担の有無 |
無理のない返済計画を一緒に考えるための“質問リスト”とは
「分割もありますよ」で終わらせるか、「生活が崩れないライン」を一緒に探すかで、成約率もトラブル率も変わります。LINE・メール用に、そのままコピペして使える質問リストを用意しておくとスタッフ教育もスムーズです。
【質問リスト例(患者返信を促すテンプレ)】
- 「月々どのくらいの支払なら、ご自分のペースで無理なく続けられそうですか?
(例:1万円以内/2万円以内/それ以上でも期間が短い方が良い 等)」
-
「車のローンや教育費など、今すでにあるご負担とのバランスで不安な点はありますか?」
-
「ボーナス月に多めに払う形や、途中で完済する形はご希望に合いそうでしょうか?」
-
「医療費控除で翌年に戻ってくる可能性のある金額も含めて、一度シミュレーションしてみますか?」
これらをテンプレート化し、受付・TCが同じ聞き方・同じ順番で使える状態にしておくと、「誰が案内しても同じクオリティ」で自費診療の分割導入を提案できるようになります。
開業年数別・規模別:自費診療クリニックの分割払い導入シナリオ
「分割払いを“武器”にするか、“火種”にするか」は、開業年数と規模でやるべきことがまったく変わります。テンプレではなく、ステージ別に設計した方が、痛みもリスクも一気に減ります。
開業〜3年目:現金・カードからデンタルローン/クレジットへ広げるときの注意点
開業直後は、現金・クレジットカード・スクウェア決済だけで走り切ろうとしがちですが、インプラントや前歯セラミックスの症例が見え始めた瞬間が「デンタルローン導入のベストタイミング」です。
開業〜3年目の医院が押さえるポイントは3つです。
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審査対象を勘違いしない
デンタルローンは患者の与信、ショッピングクレジットは「加盟店としての医院+患者」の両方が見られます。開業直後は、アプラスなど大手ショッピングクレジットで門前払いになるケースもあり、エンドユーザー与信ベースの信販代行スキームの方が通りやすいことがあるのが現場感です。
-
「誰がどこで案内するか」を最初から決める
導入初月から、
- カウンセリング中に医師・TCが「月々のイメージ」を提示
- 検討に持ち帰る患者へは、LINEでシミュレータ画像を送信
ここまで一気通貫で決めておくと、「導入したのに誰も案内しない」状態を防げます。
-
小さくテストし、すぐにルール化する
最初の10症例で、成約率・平均単価・審査通過率をメモレベルでもよいので記録し、スタッフミーティングで共有します。これをやる医院は自費比率の伸び方が明らかに違います。
開業〜3年目で検討したい支払方法の優先度は次の通りです。
| ステージ | 優先して整える支払方法 | 注意すべきポイント |
|---|---|---|
| 開業〜1年 | 現金・カード決済 | 返金ルールと領収書の運用を先に固める |
| 1〜3年 | デンタルローン・ショッピングクレジット | 誰が・いつ・どう案内するかをマニュアル化 |
| 自費急増期 | 院内独自分割の是非 | 債務の持ち主と契約書の有無を必ず確認 |
中堅〜グループ医院:既存のローン・リース契約とバッティングさせない設計
ユニットやCTのリース、電子カルテのサブスクなど、既に「固定費のローン漬け」になっている中堅〜グループ医院は、分割払いを増やす前にキャッシュフローの渋滞ポイントを洗い出す必要があります。
ポイントは次の3つです。
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「医院が債務を負うスキーム」を増やし過ぎない
院内独自分割や、実質リース的なスキームは、患者の中断・キャンセル時に未収金リスクが一気に跳ね上がります。既に高額リースが多い医院ほど、デンタルローンやクレジット会社を使い、債務を患者側に置く形を基本にした方が安全です。
-
グループ全体で加盟店契約を整理する
医院ごとにバラバラでアプラスや他社と契約していると、与信評価もポイント還元も分散します。可能なら本部名義で一本化し、「どの医院でどのサービスを案内するか」を再設計した方が、スタッフ教育もシンプルになります。
-
院内システムとの“二重管理”を避ける
予約システム・電子カルテ・会計ソフトと、信販会社の管理画面がつながっていない場合、キャンセルや内容変更時に情報がズレやすくなります。
少なくとも、- 分割契約番号
- 月々の支払回数と金額
- キャンセル時の連絡窓口(医院か信販会社か)
を患者カルテ内に必ず残す運用にすると、スタッフ入れ替えがあってもトラブルを防ぎやすくなります。
「自費の比率を上げたい」ときに、まずチェックすべき数字とページ
分割払いを増やす前に、「どこに穴が空いているか」を数字とページで確認すると、打ち手が一気にクリアになります。最低限、次の指標は押さえておきたいところです。
-
数字でチェックするポイント
- 自費カウンセリングから成約までの率(インプラント・矯正・前歯で分ける)
- 分割払いを提案した症例数と、実際に利用された件数
- デンタルローン・クレジットの審査通過率と否決理由の傾向
-
ページと導線でチェックするポイント
- 自費診療ページ内に「月々○円〜」の具体例が出ているか
- 支払方法の説明ページが、予約フォームや相談フォームとつながっているか
- LINEやメールで送る費用説明テンプレが、総額だけでなく月々と期間、医療費控除の説明まで含んでいるか
これらを洗い出した上で、次のように方針を決めると迷いが減ります。
| 課題パターン | ありがちな現象 | 優先すべき対策 |
|---|---|---|
| 成約率が低い | 費用説明の後に沈黙が長い | 月々シミュレーションと質問リストの整備 |
| 成約はするが単価が伸びない | 安いプランだけ選ばれる | 分割前提で中位〜上位プランを提案 |
| 分割利用が少ない | 受付だけが支払方法を説明 | 医師・TCがカウンセリング中に分割を案内 |
「自費の比率を上げたい」とき、最初にいじるのは広告ではなく、院内の支払設計と説明フローです。ここを整えてから投資した方が、広告費がそのまま「自費の底上げ」に変わっていきます。
「導入メリット」を数字と生活で再定義する:医院にも患者にも残るものは何か
分割払いは「便利な支払方法」ではなく、自費診療のエンジンです。エンジンを載せ替えたのに、スピードメーターも燃費計も見ていなければ、メリットは評価できません。この章では、院長が経営のハンドルを握り直すための“計測軸”を整理します。
症例単価・成約率・紹介数…分割導入の効果をどう計測するとブレずに評価できるか
まず、「なんとなく良さそう」評価をやめて、指標を3つに絞ります。
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症例単価(インプラント・矯正・前歯セラミックスごと)
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成約率(見積提示数に対する契約数)
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紹介数(既存患者からの紹介件数)
この3つを、分割払い導入「前後」で追うのがコツです。
指標とチェックポイントを整理すると次の通りです。
| 指標 | 算出方法のイメージ | 最低限の確認頻度 | 分割払いとの関係 |
|---|---|---|---|
| 症例単価 | 自費売上÷自費症例数 | 月次 | 月々支払提案ができると、単価の“値切り”が減る |
| 成約率 | 成約件数÷見積提示件数 | 月次 | 「総額のみ提示」から「月々○円」の提示へ変えた瞬間に変動しやすい |
| 紹介数 | 紹介患者数 | 四半期 | 無理のない返済計画が組めると、家族・同僚紹介が増えやすい |
現場感として、分割払いをきちんと案内している医院では、インプラントや部分矯正の成約率が1.2~1.5倍程度に上がるケースが見られます。ここで大事なのは「売上」より先に、「無料相談から本契約までの歩留まり」を計測することです。
おすすめは、予約台帳かカルテに「分割シミュレータ提示済」かどうかのフラグを付ける運用です。これを追うと「導入したのに誰も案内しない」が一目で分かり、スタッフ教育の優先順位も整理できます。
患者の生活側から見た“分割の価値”:家賃・保険・サブスクとの比較で浮かぶリアル
院長が思う「高い・安い」と、患者の財布感覚は別物です。患者は、歯科の費用を単独ではなく、次のような毎月固定の支出の中に置いて判断しています。
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家賃や住宅ローン
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生命保険・医療保険
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通信費(スマホ・Wi-Fi)
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サブスク(動画配信やジム)
例えば、300万円のインプラント治療を「総額300万円です」と伝えるのと、「月々3万円×100回払いです。スマホ代と保険料を足したくらいのイメージです」と伝えるのでは、受け取られ方がまったく違います。
ここで効いてくるのが、「月々いくらなら生活が崩れないか」のヒアリングです。
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今の家賃やローンはいくらか
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毎月の保険料やサブスクにどれくらい使っているか
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教育費や車のローンの予定があるか
これらを聞いたうえで「その中で無理のないラインは月々いくらか」を一緒に決めると、患者は「押しつけられた返済計画」ではなく、「自分で選んだ治療計画」として納得しやすくなります。このプロセス自体が、後のキャンセルや中断を減らす“予防線”になります。
金利・手数の負担感と、歯並び・噛み合わせ・日常の自信がもたらすリターン
院長側はつい、「金利や手数料をどう感じるか」に意識が向きがちですが、患者は「何に対してその金利を払うのか」を知りたがっています。
例えば、前歯のセラミックス治療で総額80万円、月々1.2万円の返済、手数料を含めて最終的な支払総額が90万円になったとします。このとき患者が心の中で比べているのは次のような軸です。
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就職・転職面接での印象アップ
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接客業や営業での第一印象
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写真やオンライン会議で口元を隠さなくて済む安心感
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噛み合わせ改善による食事のストレス減少
ここをきちんと言語化せずに「金利が○%で手数料が○円です」とだけ伝えると、「損をしている感覚」だけが残ります。逆に、「この治療で何年くらい恩恵を受けるか」を一緒にイメージしてもらうと、判断軸が整います。
例えば、10年使えるインプラントで総額300万円なら、1年あたり30万円、1日あたりに直すと約800円台のイメージです。ここに「しっかり噛めること」「将来の入れ歯リスク軽減」「見た目の自信」を重ねて話をすると、患者は金利を“追加コスト”ではなく、“長期的な投資の手数料”として理解しやすくなります。
分割払いの導入メリットは、医院の数字(症例単価・成約率・紹介数)と、患者の日常生活(家賃・保険・サブスク・自己投資)の両方の軸で測って初めて立体的に見えてきます。ここまで可視化できれば、「分割払いを入れて本当に良かったのか」という問いに、ブレずに答えられるようになります。
執筆者紹介
執筆者情報は、実在するクライアントご本人の「主要領域(例:歯科医院の自費診療・分割払い設計支援)」「実績数値(例:支援医院数・年間相談件数など)」「特徴(例:信販会社との折衝経験、院内オペ設計への落とし込み力など)」に基づいて記載する必要があります。現在、これらの具体的な事実情報が提供されていないため、創作を避ける観点から、本記事に掲載可能な執筆者紹介文をここで確定することはできません。
