「受取利息の仕訳、毎回迷う…」そんな方へ。銀行利息は源泉税が差し引かれて通帳に入るため、入金額だけで仕訳するとズレが生じがちです。例えば総額100,000円、源泉税20,315円なら、入金79,685円(普通預金)、源泉20,315円(法人税等/事業主貸)、受取利息100,000円(貸方)が基本です。収益は貸方、入金は借方をまず押さえましょう。
法人と個人事業主では源泉の勘定科目が異なり、法人は「法人税等」、個人は「事業主貸」を使うのが一般的です。また、総額処理と純額処理の選択で税務の扱いも変わります。通帳明細に「税引後利息」「利子所得」が並ぶケースも多く、数値の読み違いがミスの原因です。
本記事では、総額処理・純額処理の数値例、未収利息や貸付金利息の実務、消費税の非課税設定までを、会計事務所での実務経験に基づきシンプルな手順で解説します。今日から迷わない仕訳ルールと自動化のコツを手に入れてください。
受取利息の仕訳が一瞬でわかるコツと基本を大公開
受取利息の仕訳をはじめて理解するための基本ルール
受取利息は銀行預金や貸付金から生じる利息収入で、会計上は営業外収益に区分します。仕訳の基本はシンプルで、受取利息は貸方に計上し、入金などの資産の増加を借方に記録します。認識タイミングは原則として発生主義が前提ですが、預金利息は金融機関からの入金通知日(計算書到着日)で処理するのが実務的です。法人では源泉徴収15.315%が行われ、総額主義(税引前を受取利息、源泉分は法人税等)が基本です。個人事業主は利子所得として分離課税で、事業用帳簿では事業主借・事業主貸で処理します。受取利息の税区分は消費税の対象外(非課税取引ではなく不課税)で、課税仕入控除とは無関係です。
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受取利息は貸方、入金は借方が原則です
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法人は総額主義、個人事業主は事業主勘定を使用します
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消費税はかからない(不課税)ため税区分の誤りに注意
受取利息の仕訳で迷わない借方と貸方の見分け方
受取利息の入金時は、普通預金が借方、受取利息が貸方という並びが基本です。法人の場合は源泉徴収を考慮し、税引前の利息全額を貸方の受取利息、差し引かれた源泉所得税相当を借方の法人税等で認識し、実際に入金された金額が借方の普通預金に入ります。個人事業主は事業所得ではなく利子所得のため、事業用帳簿では貸方に事業主借、源泉分は借方に事業主貸で資本取引として処理するのが実務上の整合的な方法です。なお、受取利息は消費税の税区分は対象外で、課税区分の設定は不要です。数字の整合を取るコツは、通帳の入金額と源泉額を合計して税引前利息=受取利息になるかを毎回確認することです。
- 入金額を普通預金(借方)に記録します
- 税引前の利息を受取利息(貸方)にします
- 源泉分は法人税等(借方)または事業主貸(借方)で処理します
- 金額の合計が一致しているかを通帳明細で確認します
受取利息の仕訳で使う主要な勘定科目を一挙整理
受取利息に関わる勘定科目の全体像を押さえると、計算ミスと税区分の誤りを一気に減らせます。法人は総額主義が基本で、受取利息(貸方)・普通預金(借方)・法人税等(借方)の三点セットが定番です。個人事業主は事業会計に利子所得を取り込まない前提で、事業主借(貸方)・事業主貸(借方)を使います。預金利息も貸付金の利息も、収益認識は同じロジックです。租税公課という科目名を源泉に使いたくなりますが、法人では源泉分は法人税等で処理するのが適切です。消費税は不課税のため税区分は「対象外」で統一し、申告計算に影響させない運用が安全です。
| 区分 | 借方で使う科目 | 貸方で使う科目 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 法人(預金利息) | 普通預金・法人税等 | 受取利息 | 総額主義で源泉を法人税等に計上 |
| 法人(貸付金利息) | 現金・普通預金 | 受取利息 | 期中入金や決算整理で計上 |
| 個人事業主 | 事業主貸・普通預金 | 事業主借 | 利子所得を資本取引で処理 |
| 税区分 | 対象外 | 対象外 | 消費税は不課税(対象外) |
補足として、期末未収利息は未収収益(借方)と受取利息(貸方)で決算整理します。源泉は支払時に認識します。
法人のための受取利息の仕訳と源泉処理を完全マスター
法人で間違えない総額処理による受取利息の仕訳ステップ
受取利息の会計処理は、まず総額主義が基本です。源泉徴収前の利息総額を収益として認識し、源泉徴収税額は法人税等に振り分け、入金額は普通預金で受けます。例えば利息200、源泉税30、入金170なら、受取利息200を貸方、普通預金170と法人税等30を借方に振り分けます。こうすることで損益計算書に受取利息の総額が明確になり、税務の整合も取りやすくなります。ポイントは、銀行からの入金額だけで判断せず、利息通知書や取引明細で税引前金額と源泉額を特定することです。消費税の税区分は非課税で処理します。期末に未収がある場合も総額で把握し、債権の回収時に源泉仕訳を行うと整然と管理できます。
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総額主義が原則で税引前を収益計上
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法人税等で源泉額を明示し可視化
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消費税は非課税として税区分を統一
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明細で総額・源泉・入金の三点確認が必須
法人が知るべき源泉がある受取利息の仕訳の具体パターン
銀行預金の利息には通常15.315%の源泉があります。入金額は税引後となるため、仕訳では総額と源泉税額を分解して記帳します。次の関係を押さえると誤りません。総額=入金額÷(1−0.15315)、源泉額=総額×0.15315、端数は銀行明細に合わせます。たとえば入金170なら総額200、源泉30が標準です。会計上は営業外収益の受取利息に総額を計上し、源泉は法人税等で処理します。普通預金が増加する一方で、受取利息は必ず貸方に置くことを徹底してください。源泉の二重計上や租税公課への誤分類はよくあるミスです。法人税等で処理するのが基本であり、租税公課ではありません。決算整理や申告時の整合のため、月次からパターンを統一しておくと安心です。
| 取引 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行利息の入金 | 普通預金 | 170 | 受取利息 | 200 |
| 源泉徴収の振分 | 法人税等 | 30 | ー | ー |
補足として、海外支店など税率差がある場合は金融機関書類の税額を優先し、端数処理は明細に一致させます。
法人が純額処理を選んだ場合の受取利息の仕訳で絶対おさえるポイント
純額処理は入金額のみを受取利息とする簡便法です。入金170をそのまま受取利息、普通預金170という形で、源泉額を帳簿に出さない運用になります。見た目はシンプルですが、税務では原則総額主義が妥当とされるため、継続適用や注記レベルでの一貫性が重要です。源泉税の把握が難しくなるため、申告調整や還付確認がしづらい点がデメリットです。また管理会計上、利息収益の実力値が見えにくくなります。純額処理をやむを得ず選ぶ場合は、金融機関の利息通知を保存し、別表調整や税額確認の内部資料を整備してください。消費税の税区分は総額処理と同様に非課税で統一します。実務では総額処理への早期切替を検討し、期中での混在は避けると安全です。
- 入金額のみを受取利息で認識
- 源泉額の帳簿反映がなく税務管理が難化
- 適用は継続性と資料保存が前提
- 消費税は非課税区分で処理
法人の貸付金で受取利息の仕訳が必要になった時のやさしい解説
貸付金から生じる利息は、銀行預金の利息と同様に営業外収益の受取利息で処理しますが、未収利息の発生がポイントです。期末に利息が発生しているのに入金前であれば、受取利息を貸方、未収利息を借方に計上します。入金時に未収利息を消し込み、源泉がある場合は法人税等を併記します。銀行利息と異なり、社内や取引先との契約に基づくため、計算方法(元本×利率×経過日数)と締切日の確定が重要です。税区分は同じく消費税非課税です。遅延損害金や割引料など、性質の異なる利子類は勘定科目の使い分けを明確にし、受取利息 仕訳のルールを統一しましょう。利息の計算誤差や端数は契約書優先で処理し、金利変更時は契約改訂日からの按分を忘れないでください。
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期末は未収利息で発生主義を担保
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入金時に未収利息と源泉を同時に処理
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契約と明細で利率・日数・端数を厳格確認
個人事業主なら迷わない受取利息の仕訳と事業主勘定の把握術
個人事業主の預金利息で使う受取利息の仕訳と事業主貸の対応パターン
銀行の普通預金で発生する預金利息は、個人事業主では事業所得とは分離される利子所得として扱われます。口座に入るのは源泉徴収後の金額なので、帳簿では税引後入金と事業主勘定で整えます。ポイントは、入金は事業用資産の増加、利息は事業外の収入、源泉は事業主への控除として切り分けることです。具体的には、税引後の入金を「普通預金」、税引前の利息総額は事業用ではないため「事業主借」、差し引かれた源泉所得税等は「事業主貸」で処理します。受取利息の取引は消費税の対象外なので、税区分は非課税を選びます。よくある迷いは租税公課や法人税等の使用ですが、個人事業主では事業主貸を用いるのが原則です。これにより会計と税務の整合がとれ、確定申告時の利子所得の確認もスムーズになります。
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税引後入金は普通預金を増加
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税引前利息は事業主借で計上
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源泉分は事業主貸で処理
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受取利息の税区分は非課税
補足として、口座が事業専用かどうかに関わらず、利息自体は事業外収入の扱いを前提に仕訳を組み立てるとブレません。
事業で貸付金を行った時の受取利息の仕訳がわかる流れ
事業として取引先や従業員へ資金を貸し付けた場合の受取利息は、事業に密接な取引であり会計処理が変わります。まずは事業用と私用を区分し、事業の資金循環から生じる利息は帳簿上の収益として把握します。勘定科目は、元本は「貸付金」、利息は受取利息、入金は「普通預金」です。期中の入金時は総額と源泉の有無で分け、税引後入金であれば源泉相当を「事業主貸」ではなく、事業由来なら租税公課や法人税等は使わず源泉所得税の性質を踏まえた処理可否を確認し、実務では総額表示と入金額との差額を適切に管理します。期末に未収がある場合は「未収利息」を使い発生主義で計上し、翌期の入金と相殺します。これにより収益の期間対応が整い、決算整理仕訳も明快です。消費税は利息が非課税取引のため税区分は非課税を選びます。
| 取引局面 | 勘定科目 | 税区分 | 重要ポイント |
|---|---|---|---|
| 貸付実行 | 貸付金 | 対象外 | 元本の資産計上 |
| 利息発生(期末) | 未収利息/受取利息 | 非課税 | 発生主義で計上 |
| 利息入金(期中) | 普通預金/受取利息 | 非課税 | 源泉の差引有無を確認 |
| 元本回収 | 普通預金/貸付金 | 対象外 | 元本のみ増減 |
上表の流れに沿えば、貸付から回収、未収処理までの一連が漏れなく整理できます。
個人事業主が実践したい源泉処理と純額処理の受取利息の仕訳ポイント
源泉が差し引かれて入金される場合、実務では総額処理と純額処理の二択を理解しておくと迷いません。総額処理は税引前の利息を把握したいときに有効で、税務情報の整合が取りやすい方法です。一方、純額処理は入金ベースで記帳する簡便法で、現金主義に近い運用がしやすい反面、利息の正味金額しか残らず明細追跡が難しくなります。個人事業主の受取利息では、源泉分を事業主貸として扱い、税金計上科目に振り替えない点が重要です。消費税は常に非課税で、税区分ミスによる申告差異を避けられます。どちらを選ぶにしても、金融機関の利息計算書や取引明細と金額の突合を行い、決算時に未収利息がある場合は発生主義で補正します。
- 総額処理で税引前利息を把握し、源泉は事業主貸で整理
- 純額処理は記帳が簡便、ただし明細管理の徹底が必要
- 受取利息の税区分は常に非課税として統一
- 年間の利息合計と源泉額を明細で突合して確定申告に備える
このステップで、受取利息の計算方法から仕訳、申告準備まで一気通貫で管理できます。
受取利息の仕訳と税金の正しい知識が身につく選び方ガイド
受取利息の仕訳ではずせない消費税の非課税区分と設定法
受取利息は利子の対価であり、金融取引に該当するため消費税は非課税です。会計ソフトの税区分は「対象外」ではなく、原則として非課税(利子等)を選びます。ポイントは、売上や雑収入に混ぜずに受取利息の勘定科目で管理し、税区分を固定化することです。銀行からの預金利息、社内貸付金の利息、普通預金の微小利息まで一貫処理にします。インボイス制度の対象外であるため適格請求書の保存は不要ですが、入出金明細と利息計算書の保管は税務対応に有効です。消費税申告では課税売上割合に影響しないため、区分集計で誤って課税区分に混在させないことが重要です。会計初期設定で補助科目「預金利息」「貸付金利息」を分けると税区分の自動適用が安定します。消費税簡易課税でも処理は同様で、受取利息は事業収入の判定対象外として扱うと整合が取れます。
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非課税区分を固定して二重計上や課税混在を防ぐ
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受取利息勘定を専用化し売上や雑収入と分離
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明細・通知書の保存で税務調査時の説明を容易化
補助科目と税区分の紐づけを一度整えると、月次の自動仕訳が安定し工数が減ります。
受取利息の仕訳における源泉は法人税等と租税公課のどちらを使う?
源泉徴収の扱いは主体で変わります。法人は総額主義が原則で、利息は税引前を受取利息、差引かれた所得税等は法人税等で計上します。個人事業主の預金利息は事業ではなく利子所得であり、帳簿には事業外として扱うのが実務的です。事業口座に入金された場合は、入金額を普通預金、対応として事業主借で総額、源泉相当は事業主貸で整理して事業損益に影響させない方法が整然です。租税公課の誤用に注意し、受取利息の源泉を租税公課で処理しないことがポイントです。なお、受取利息は消費税非課税、税区分は前段と同様に非課税を保持します。簿記の学習や会計基準上は、法人は営業外収益、個人は事業所得外での取り扱いが整合的です。次の表で使い分けを整理します。
| 対象 | 利息本体の科目 | 源泉税の科目 | 実務ポイント |
|---|---|---|---|
| 法人 | 受取利息(貸方) | 法人税等(貸方) | 総額主義で税引前を計上し、普通預金は借方 |
| 個人事業主 | 事業主借(貸方)または事業外処理 | 事業主貸(貸方) | 事業損益に入れず、口座動きを整える |
| 共通 | 消費税は非課税 | 租税公課は不使用 | 源泉を租税公課にしないのが原則 |
番号手順で迷いを解消します。
- 銀行通知で利息総額と源泉額を確認します(年利や日割りでの受取利息計算方法も一致確認)。
- 法人は受取利息を税引前で計上し、源泉を法人税等、入金は普通預金に記録します。
- 個人事業主は事業外として事業主借/事業主貸で整理し、損益へ反映させません。
- 税区分は非課税を選定し、消費税集計から除外されるかをレポートで検証します。
- 期末は利息計上の未収や貸付金の利息発生分を決算整理仕訳で網羅します。
これで完璧!具体例で学ぶ受取利息の仕訳と計算の進め方
普通預金から1円でもわかる受取利息の仕訳と記録術
普通預金の利息は1円でも記帳が必要です。通帳には「利息」「税金」などと表示され、税金欄に数字があれば源泉徴収が行われています。法人は税区分が非課税で、仕訳は総額主義が基本です。例えば税引前利息と源泉の両方を認識し、預金の入金額と一致させます。個人事業主は利子所得で事業外のため、事業主借・事業主貸を用いるのが実務的です。少額入金や端数処理では、通帳明細の単位切上げ・切捨て差異が出ないよう、銀行の明細単価に合わせて計上します。消費税は非課税で税区分の誤登録に注意しましょう。
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通帳の「税金」表示で源泉の有無を即確認
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法人は総額主義で受取利息と法人税等を分けて計上
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個人事業主は事業主借・事業主貸で事業外処理
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受取利息は消費税非課税(税区分は非課税)
銀行預金で迷わない受取利息の仕訳と通帳の突合実践法
通帳と仕訳の突合は、入金額と差引税額の突合から始めます。源泉ありの場合、通帳の入金額を借方の普通預金、貸方に受取利息、差額を法人では法人税等(個人事業主は事業主貸)で整合させます。総額がわからないときは入金額を1−源泉税率で割り戻して税引前利息を算出し、端数処理は銀行計算に合わせます。月末や決算日付での記録は、通帳日付と同日付で仕訳し、証憑として通帳コピーや明細CSVを保存します。後日の税務調査や会計監査を見据え、仕訳根拠を一緒に保管することが重要です。
| 突合項目 | 確認ポイント | 仕訳上の勘定科目 |
|---|---|---|
| 入金額 | 通帳の利息入金と一致 | 普通預金(借方) |
| 税差引 | 通帳の税金欄の金額 | 法人税等/事業主貸 |
| 総額 | 入金額+税額 | 受取利息(貸方) |
貸付金の受取利息の仕訳をスムーズにする計算テクニック
貸付金の利息は契約書の利率と起算日で決めます。単利は元本×年利×経過日数/365で求め、複利は期間ごとの元本へ利息を加算して次期利息を計算します。期末に利息が発生しているが未収なら、未収利息を借方に、受取利息を貸方に計上します。翌期に入金されたら未収利息を消し込みます。経過利息の按分では、起算日から期末までの日数を正確に数えること、うるう年の365/366の扱いを契約または社内ルールで統一することがポイントです。法人は営業外収益として処理し、税区分は非課税を維持します。個人事業主は事業所得とならない利子所得の可能性に留意します。
- 単利の計算を先に確定させる
- 期末の未収利息を計上して収益の期間対応を担保
- 入金時に未収利息の消込と実入金の差異確認
- 複利条件は契約通りに再投資前提で再計算
- うるう年や端数の日割計算ルールを統一
貸付金の受取利息の仕訳で起こりがちなミスと防止法
よくあるミスは、消費税区分を課税にしてしまう誤り、法人で源泉を租税公課に入れてしまう誤分類、未収利息の計上漏れ、日数計算の誤差です。防止策は明快で、受取利息は消費税非課税を固定し、源泉は法人なら法人税等で計上、個人事業主は事業主貸で処理します。利息が事業の対価でないため、売上や雑収入への誤分類も避けます。決算整理仕訳で未収利息を必ず走らせ、翌期に必ず消し込みます。また、銀行明細や契約書と突合できるチェックリストを用意し、締日前に監査的な自己点検を実施すると計上漏れが激減します。利息計算書の保管と再現可能性を重視しましょう。
決算整理で迷わなくなる受取利息の仕訳と未収利息の扱い完全ナビ
未収になった受取利息の仕訳と翌期入金時のスムーズ処理
期末に利息が発生済みで未入金なら、発生主義で未収収益を計上します。法人の会計では利息は収益、税務上は源泉徴収が前提のため、原則は総額主義で税引前の利息を認識し、源泉は法人税等(個人事業主は事業主貸)で処理します。翌期に入金されたら未収を相殺し、差額で預金増加と源泉の消込を行います。受取利息仕訳は次の流れが実務でブレません。
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期末(未収計上)
- 法人:借方未収収益/貸方受取利息(税引前)
- 個人事業主:借方未収収益/貸方事業主借(利子所得)
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翌期(入金時)
- 借方普通預金、借方法人税等(または事業主貸)/貸方未収収益
補足として、少額でも未収計上の継続適用が信頼性を高めます。月次と決算で整合させると帳簿が安定します。
純額処理から総額処理へ変更した場合の受取利息の仕訳イメージ
期中は税引後をそのまま収益にしていた純額処理から、期末に総額処理へ切り替える場合は、すでに計上した受取利息の純額を税引前に引き上げ、源泉相当額を法人税等(個人事業主は事業主貸)で追加計上します。変更は継続適用と重要性を踏まえ、期末一括で整えるのが実務的です。受取利息仕訳の整備は比較可能性の確保に直結します。
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代表的な調整ポイント
- 過去に計上した税引後利息を取り消し、税引前へ振替
- 源泉税額を新規に計上し、預金残高と一致させる
- 補足資料に処理方針の変更事実と根拠を記録
| 事項 | 純額処理の状態 | 総額処理へ修正 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 収益計上 | 税引後のみ | 税引前へ増額 | 税区分は非課税を維持 |
| 源泉税 | 未計上 | 法人税等(事業主貸)を追加 | 税率は15.315%や20.315%を確認 |
| 影響期間 | 期中の累計 | 期末一括で整合 | 継続適用の宣言を残す |
補足として、税率は口座種別や期間で異なるため、明細での照合が不可欠です。
未収利息の金額算定で困らない計算根拠と証憑の整理術
未収利息の算定は、契約条件に基づく元本×利率×経過日数/基準日数が基本です。利息計算書、契約書、通帳明細、期末残高証明を突き合わせ、経過利息を妥当化します。証憑は発生根拠→計算ワーク→仕訳の順で一気通貫にそろえると、税務調査でも説明が通ります。以下の手順でブレをなくしましょう。
- 契約書で元本・利率・起算日・基準日数を確定する
- 通帳や残高証明で期末残高と経過日数を確定する
- ワークで税引前利息を算出し、源泉税額と入金見込を分解する
- 会計に未収収益(税引前)と法人税等(または事業主貸)を起票する
- 翌期入金時に未収収益の相殺と預金増加で完了
補足として、受取利息の税区分は消費税非課税です。計算ワークに税区分の明記まで残すと、会計ソフトの自動仕訳でも誤りを防げます。
受取利息の仕訳でよくある失敗をゼロにするチェックリスト
勘定科目や税区分の選び方でミスを防ぐ受取利息の仕訳術
税金や税区分の取り扱いを誤ると、受取利息の仕訳は一気に崩れます。まず押さえるべきは、法人と個人事業主で勘定科目が異なる点です。法人は源泉徴収分を法人税等で処理し、個人事業主は事業と切り分けて事業主貸で扱います。さらに税区分は消費税の対象外(非課税や対象外の選択は会計ソフトの仕様に従う)で固定化して誤入力を防ぎましょう。受取利息は営業外収益で、計算上は税引前金額を受取利息、源泉分を法人税等または事業主貸に分ける総額主義が基本です。純額主義を選ぶ場合は社内ルール化し、期中と決算でブレないようにしてください。会計ソフトの自動仕訳は便利ですが、税区分の初期設定と固定化が精度のカギです。
- 法人税等と租税公課と事業主貸の使い分けや非課税区分の固定化を提示する
| 区分 | 典型的な勘定科目 | 使いどころ | 税区分の考え方 |
|---|---|---|---|
| 法人(税引前利息) | 受取利息 | 利息収益の認識 | 消費税対象外で固定 |
| 法人(源泉分) | 法人税等 | 利子所得の源泉徴収 | 消費税対象外で固定 |
| 個人事業主(入金) | 普通預金 | 税引後の入金 | 消費税対象外で固定 |
| 個人事業主(総額・源泉) | 事業主借・事業主貸 | 事業外収入と源泉の控除 | 消費税対象外で固定 |
| 租税公課 | 租税公課 | 受取利息の源泉には原則不使用 | 他税目で用いる前に要確認 |
源泉は法人税等、個人は事業主貸が基本で、受取利息に消費税はかかりません。会計方針をひとつに定め、仕訳テンプレートと税区分を固定すると入力ミスを防げます。
受取利息の仕訳に関する質問への答えとケーススタディ集
受取利息の仕訳で勘定科目をどう選べばスッキリ解決できるか
受取利息の勘定科目は、誰の取引かと利息の種類で分けると迷いません。法人は営業外収益の受取利息を使い、源泉は法人税等で処理します。個人事業主は事業外の利子所得のため、事業会計では事業主借で受入れ、源泉は事業主貸で処理するのが一般的です。銀行の預金利息と、取引先や従業員への貸付金利息も区別しましょう。どちらも収益ですが、元取引の管理は別勘定が安心です。消費税は非課税で税区分は対象外です。なお、法人は総額主義(税引前を受取利息、源泉を法人税等)を基本とし、実務では入金のみを認識する純額主義を用いる場合もありますが、決算や税務では総額把握が整合的です。
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法人は受取利息と法人税等で処理
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個人事業主は事業主借・事業主貸で処理
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預金利息も貸付金利息も収益だが管理は分ける
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消費税は非課税で税区分は対象外
補足として、会計ソフトの税区分は「対象外/非課税金融」で統一すると後工程が楽になります。
受取利息は貸方か借方か迷った時にすぐわかる判断法
受取利息は収益なので貸方計上が原則です。迷ったら「お金が増えたか」を起点に考え、増えた資産を借方(普通預金など)、収益を貸方(受取利息など)に置きます。法人の預金利息は税引前が受取利息、差し引かれた源泉を借方の法人税等に入れる総額主義が基本です。個人事業主は事業所得に含めないため、入金を借方普通預金、貸方は事業主借、源泉は借方事業主貸で調整します。貸付金からの利息も同じ考え方で、相手科目が現金・普通預金・未収入金に変わるだけです。消費税は課税されないため税区分は対象外を選びます。科目と側の判断を固定すると仕訳が速くなり、決算整理仕訳でも一貫性が保てます。
| ケース | 借方 | 貸方 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 法人の預金利息(総額主義) | 普通預金、法人税等 | 受取利息 | 源泉は法人税等で処理 |
| 法人の預金利息(純額主義) | 普通預金 | 受取利息 | 実務簡便、税務は総額把握 |
| 個人事業主の預金利息 | 普通預金、事業主貸 | 事業主借 | 利子所得として事業外処理 |
| 貸付金の利息受取 | 現金/普通預金/未収入金 | 受取利息 | 消費税は非課税対象外 |
番号で判断手順を短く定着させましょう。
- 資産が増えたかを確認し借方を決める
- 収益は原則として貸方の受取利息に置く
- 源泉が差し引かれていれば法人税等や事業主貸で調整する
- 税区分は非課税金融(対象外)を選ぶ
自動化でもっとラクになる受取利息の仕訳と会計ソフト活用テク
普通預金の受取利息の仕訳を自動で登録する設定ノウハウ
銀行明細の自動取込を使えば、受取利息の仕訳は驚くほど効率化できます。まずは口座連携を有効化し、明細ルールでキーワード条件を厳密に設計します。たとえば明細の摘要に「利息」「受取利息」「利子」が含まれる場合にヒットさせ、勘定科目は受取利息、税区分は対象外(非課税)をデフォルトにします。法人は源泉処理の有無が分かれるため、摘要内の「税」「源泉」「国税」などに反応する補助ルールを用意すると誤判定を減らせます。個人事業主は事業所得と分離されるため、受取利息は事業主借/事業主貸連動の自動化が有効です。加えて、普通預金入金かつ少額(例:1〜数百円)の条件を掛け合わせると雑入との取り違いを回避できます。仕訳承認フローでは自動登録を基本に、金額閾値以上のみ要確認へ振り分けると、9割超の明細が自動確定し、月次の手作業が大幅に圧縮できます。
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明細のキーワード一致と金額閾値で誤分類を抑える
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勘定科目は受取利息、税区分は対象外を原則で固定
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法人は源泉判定ルール、個人事業主は事業主借/事業主貸を連動
短いテスト期間を設け、学習型ルールの精度を高めるのがコツです。
源泉付き受取利息の仕訳も自動で分割できる設定方法
源泉徴収がある入金は、入金額と源泉税額に自動分割するルールが効果的です。手順はシンプルです。入金明細で「利息」「源泉」「税引後」などを検出したら、総額推定と二行仕訳を同時に生成します。法人は受取利息(税引前)と法人税等を自動計上、個人事業主は入金に対して事業主借を充当し、源泉分を事業主貸で振り分けます。税区分はどちらも対象外(消費税非課税)が原則です。以下は設計例です。
| 条件 | 1行目(入金) | 2行目(源泉) | 税区分 |
|---|---|---|---|
| 法人:摘要に利息+税文字列 | 借方:普通預金/貸方:受取利息 | 借方:法人税等/貸方:普通預金 | 対象外 |
| 個人事業主:摘要に利息+税文字列 | 借方:普通預金/貸方:事業主借 | 借方:事業主貸/貸方:普通預金 | 対象外 |
分割方式は次の流れが安定します。
- 明細から入金額を取得し、摘要の「税額」表記があればそれを採用、なければ規定税率で逆算する
- 二行仕訳を生成し、勘定科目と税区分を自動適用する
- 金額差異が出た場合のみアラートで手動確認に回す
このルールで受取利息仕訳の源泉処理を標準化でき、税区分ミスや科目ブレを防げます。

