自社割賦の導入支援で失敗しないための回収リスク徹底攻略実務ガイド

「信販の加盟店審査に落ちた。じゃあ自社割賦を導入して、取りこぼしを全部拾おう」
この発想のまま走り出すと、半年後に未収金が月商の数割を占め、手元の現金が痩せ細るところまで一気に進みます。売上は伸びたように見えるのに、クレジット・割賦の請求と回収の業務に追われ、事業の安定性がむしろ損なわれる。自社割賦の導入支援の現場では、このパターンが繰り返されています。

問題は、「自社割賦か信販か」という二択ではありません。
本当に差が出るのは、次の3点です。

  • 誰が債権を持ち、誰が回収リスクを負うSCHEMATICを選ぶか
  • 特商法や割販法を踏まえた契約プロセスとオペレーションを設計できているか
  • 割賦手数料やサービス利用料を含めた最終的な手残りで導入を判断しているか

一般的な「自社割賦のメリット・デメリット」記事は、ここを図解せずに「売上アップ」「イニシャルコスト0円」「導入事例」を並べるだけです。その結果、クレジット属性の悪い顧客を大量に抱えた会社ほど、自社割賦を売上アップ装置と誤認し、回収地獄に踏み込んでしまう。これが現場で起きている構造的欠陥です。

本記事は、自社割賦・信販・保証付きスキーム・クラウド型システムを一枚の図で分解し、Web制作・コンサル・エステ・美容クリニック・スクールなど、少人数事業がどのパターンを選ぶべきかをペルソナ別に具体化します。
さらに、プライメックス、トリプルクラウン、FCパートナーズ、クラウド系サービスのような自社割賦支援プレイヤーを、「誰が債権を持ち、どの業務を自社で抱えるか」という軸で比較し、安易な「保証があるから安心」「システムを入れたから安全」という勘違いを一つずつ潰していきます。

数字の細かな根拠やケースの詳細は本文で示しますが、この記事を読み進めることで、少なくとも次の3つは明確になります。

  • 自社の業種・体制でそもそも自社割賦を選んではいけないケース
  • 割賦手数料を自社収益にしつつ、未収金やクレーム窓口パンクを避けるための条件
  • BPOや代行サービスを「後付けで高く買わない」ための導入順序と見極め方

その結果、「売上は増えたが現金が残らない」「クレーム対応に人が張り付き、本業のサービス提供に支障が出る」といった、取り返しのつかない損失を未然に防げます。自社割賦導入支援の検討段階で読むか読まないかで、向こう数年のキャッシュと信用の軌道が変わります。

この記事全体で得られる実利を、先に整理しておきます。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
構成の前半(トラブル事例〜4つのSCHEMATIC〜メリットと限界〜「勧めない事業」) 自社の事業・顧客・社内体制をもとに、自社割賦か信販か、保証付きかクラウドかを誤らずに選べる判断軸 「売上アップ」や「導入のしやすさ」だけで決めてしまい、未収金・クレーム・法的リスクを抱え込む構造的なミス
構成の後半(ペルソナ別診断〜導入フロー〜システムの限界〜再現会話〜SUCCESSルール) 相談・審査・契約・入金・運用までを通して、どこを自社で行い、どこを外部サービスに任せるかを設計できる実務フレーム 「何となくシステムを導入し、イニシャルコスト0円サービスに縛られ、長期の手残りと信用を失う」状態からの脱却

ここから先は、「自社割賦を導入すべきかどうか」「導入するなら、どのスキームを、どの順番で組み立てるか」を、感覚ではなく実務ロジックで判断したい人だけ読み進めてほしい。あなたの事業にとって、どこまでが攻めの割賦で、どこからが危険な賭けなのかを、具体的に切り分けていく。

  1. 自社割賦を「売上の切り札」にしたい人がハマる典型トラブルSTORY
    1. 「信販に断られたから自社割賦で全部拾う」が危険なワケ
    2. 半年で未収金が月商の3割に膨らんだWeb制作BUSINESSのケーススタディ
    3. エステ店舗で実際に起きがちな「割賦クレーム窓口パンク」の実態
  2. 自社割賦・信販・保証付き・クラウドサービス|4つのSCHEMATICを一枚DIAGRAMで分解
    1. 販売店・自社・信販・保証会社…誰がどの債権と回収リスクを持つのか
    2. 「請求自社」か「請求信販」かで変わるキャッシュフローと安定度
    3. プライメックス・トリプルクラウン・FCパートナーズ・クラウド系のKIND OF SERVICE比較
  3. 「収益アップ」と「回収地獄」は紙一重|自社割賦のリアルなメリットと限界
    1. 割賦手数料を自社収益にするシミュレーションと、見落とされるイニシャルコスト
    2. 月間延滞率が数%ズレるだけでキャッシュが詰むフローを数字で確認
    3. BPOや代行業者を“後から足すと高くつく”パターン
  4. 導入支援の現場で分かった「この事業には自社割賦を勧めない」共通点
    1. 特商法リスクが高い店舗と、クレジット属性の悪い顧客が多い業種の赤信号
    2. 社内に収納・督促・相談窓口の業務を切り出せない事業の危うさ
    3. 「安定」より短期のSALESアップだけを追うと起きる逆効果
  5. 自社割賦か信販か|3タイプのペルソナ別ベストSCHEMATIC診断
    1. ペルソナ1:少人数Web制作・コンサル系が選ぶべき支払いソリューション
    2. ペルソナ2:エステ・美容クリニックが保証付き自社割賦を使うときの条件
    3. ペルソナ3:スクール・教育系がクラウドサービスINSTALLMENTを導入する前に見るチェックリスト
  6. 導入支援のプロセスを丸裸にする|相談〜審査〜契約〜入金までのリアルなフロー
    1. 最初のCONTACT・ヒアリングで必ず聞かれる「IS WHAT」「KIND OF商品」「現行の入金サイクル」
    2. 審査と加盟店契約で落ちやすいBUSINESSの特徴と改善ポイント
    3. システム開始後90日で見える「与信設計ミス」とそのリカバリー
  7. 「システムを入れたから安心」は幻想|Tablet Entryやクラウドだけでは守れないもの
    1. 電子契約と特定商取引法:説明プロセスを省いた契約が無効主張されるケース
    2. クラウドサービス課金制の落とし穴:利用件数が伸びない店舗が陥る赤字構造
    3. 自社(IN HOUSE)オペレーションを変えない限り、どのシステムも機能しない理由
  8. 相談メールとLINEの“再現会話”から見る、導入前に潰しておくべき勘違い
    1. 「自社割賦を入れたら売上は何%アップしますか?」という質問への本音回答
    2. 「保証があるなら回収リスクはゼロですよね?」に対するプロの視点
    3. 「イニシャルコスト0円サービス」の裏にある長期負担構造
  9. 最後に|自社割賦導入を成功させるための3つのSUCCESSルール
    1. ルール1:SCHEMATICを“売上”ではなく“信用と回収”から組み立てる
    2. ルール2:自社でやる業務と外部に出す業務を最初に線引きする
    3. ルール3:資料とFAQだけで決めず、必ず複数社に質問・比較する
  10. 執筆者紹介

自社割賦を「売上の切り札」にしたい人がハマる典型トラブルSTORY

「信販に落ちたお客さんも全部救いたい」「自社割賦を入れて一気に売上アップしたい」。
そう願う事業ほど、半年後に「未収金とクレームの沼」に沈みやすい。
現場で何度も見てきた“リアルな滑落パターン”から整理していく。

「信販に断られたから自社割賦で全部拾う」が危険なワケ

信販の審査に落ちるお客さんを、全員自社割賦で拾いにいく。
この判断が、回収リスクを数倍にブーストするスイッチになっている。

信販NGが多い店舗ほど、自社割賦導入相談が増える背景には、次の構造がある。

  • 価格帯が高い(Web制作・スクール・エステなど)

  • 客層のクレジット属性が弱い(既に他社で延滞・債務過多など)

  • 店舗側が「売上目標」だけでスキーム選定をしている

その結果、「信販がNOを出した案件だけを大量に抱える“自家製サブプライム”」が出来上がる。
紙の上では売上が伸びているのに、口座にお金が入ってこない。これが典型パターンだ。

自社割賦を導入する前に、本来は次を設計しておく必要がある。

  • どの条件なら「信販」へ回し、どの条件なら「自社割賦」で受けるのか

  • 延滞が何%を超えたら新規受付を絞るのか

  • 督促・相談窓口を誰が、どのトーンでやるのか

これを決めないまま、「信販NG客は全部自社でOK」にすると、回収リスクとクレーム窓口だけが店舗内に濃縮される。

半年で未収金が月商の3割に膨らんだWeb制作BUSINESSのケーススタディ

Web制作会社(従業員10名規模)の“ありそうなケース”を分解する。

  • 単価:80〜150万円のサイト制作+運用

  • 信販加盟店審査に落ち、自社割賦システムを急いで導入

  • 「審査はゆるめでOK」「頭金少なめで成約率アップ」が合言葉

3カ月目までは、売上数字だけ見れば絶好調になる。
ところが、半年後の試算表を見るとこうなる。

項目 3カ月目 6カ月目
月商(契約ベース) 1,000万円 1,200万円
入金済み売上 800万円 840万円
未収金残高 200万円 360万円(=月商の約30%)

数字が象徴しているのは、「数字上の売上」と「財布の中身」がどんどん乖離していく構造だ。

現場で起きる変化はもっと生々しい。

  • 社長が夜に督促電話をかけ始める

  • 営業が「売る時間」より「未収対応」に時間を取られる

  • 制作スタッフが「未入金先の追加修正は受けるのか」で疲弊する

原因を辿ると、多くは次の3点に行き着く。

  • 与信基準が事実上「自己申告のみ」で、属性チェックをしていない

  • 頭金を極端に下げ、支払い能力の見極めポイントを失っている

  • 解約・遅延時のルールを契約前に説明していない(トラブルの火種)

自社割賦そのものが悪いわけではない。
「信販がダメだった人を、同じ審査レベルでそのまま通していること」が問題の核心になる。

エステ店舗で実際に起きがちな「割賦クレーム窓口パンク」の実態

エステ・脱毛などの美容系では、トリプルクラウンのような保証付き自社割賦サービスを活用するケースが増えている。
「保証付きなら回収リスクゼロ」と誤解されがちだが、現場では別のリスクが立ち上がる。

よくあるシナリオを整理する。

  • 30〜60万円のコースを契約

  • 顧客は自社割賦(保証付き)で分割払い

  • 途中で「予約が取れない」「結果が出ない」などの不満が蓄積

  • 顧客は店舗に解約・返金を要求

  • 店舗は「割賦契約だから保証会社へ」、保証会社は「サービス不履行は店舗へ」と対応を押し付け合う

このとき、顧客が触れているのは「クレジット」ではなく“体験”と“期待値”だ。
つまり、信販や保証会社の約款だけではクレームは収まらない。

美容系で窓口がパンクする店舗の共通点は次の通り。

  • 特定商取引法の中途解約ルールをスタッフが理解していない

  • 契約前説明で「どこまでが店舗責任で、どこからが割賦契約か」を切り分けて話していない

  • クレーム一次受けをする担当者やスクリプトが用意されていない

結果として、

  • クレーム電話が受付・カウンセラー・オーナーにバラバラに飛び込む

  • 返金・解約判断が毎回アドリブになり、対応のブレが炎上を拡大

  • 保証会社との関係も悪化し、スキーム自体が継続できなくなる

保証付き自社割賦を「魔法の盾」として導入すると、“回収リスク”は抑えられても“クレームリスク”が一気に店舗側へ集中する。
本来は導入前に、次をセットで設計しておく必要がある。

  • 特商法に沿った説明フローと同意取得プロセス

  • クレーム一次受けマニュアルと責任分界点の社内共有

  • 保証会社と店舗の役割分担を、顧客向けにも言語化した資料

自社割賦は「売上の切り札」ではなく、“信用設計と回収設計”をテストされる踏み絵に近い。
ここを直視できるかどうかで、導入後の半年が、成長フェーズになるか地獄絵図になるかが分かれていく。

自社割賦・信販・保証付き・クラウドサービス|4つのSCHEMATICを一枚DIAGRAMで分解

「どれを選ぶか」ではなく、「誰がどの債権とリスクを持つか」を一発で腹落ちさせる視点から整理する。

販売店・自社・信販・保証会社…誰がどの債権と回収リスクを持つのか

支払いスキームは、突き詰めると債権の持ち主と回収担当をどう分けるかの設計問題になる。

主な構造は次の4タイプ。

  • 純粋自社割賦(債権=自社、回収=自社)

  • 信販割賦(債権=信販会社、回収=信販会社)

  • 保証付き自社割賦(債権名義は自社だが、遅延部分を保証会社が肩代わり)

  • クラウド自社割賦システム(債権は自社のまま、請求・督促オペだけ外部化)

この違いを一度、債権とリスクの観点で“配線図”として整理しておくと判断がぶれにくい。

スキーム種別 名義上の債権者 実質の回収リスク保有者 督促オペ担当
自社割賦 自社 自社 自社
信販 信販会社 信販会社 信販会社
保証付き 自社 保証会社と自社の按分 保証会社+自社窓口
クラウド系 自社 自社 システム事業者+自社最終対応

現場で問題が吹き出すのは、「名義」と「実質リスク」を混同しているときだ。
保証付きでも、クレーム窓口を自社に寄せすぎるとエステ業界でよくある「保証会社と店舗の責任押し付け合い」が起きる。

「請求自社」か「請求信販」かで変わるキャッシュフローと安定度

もう1本重要な軸が「請求主体」。

  • 請求信販:

    売上発生→数日〜月1で立替入金→延滞が出ても自社のキャッシュには直撃しない

  • 請求自社:

    売上発生→毎月自社で請求→延滞・未収がそのまま資金繰りに反映

ここを誤解して「自社割賦なら手数料が浮いて得」と短絡すると、半年後に未収金が月商の3割というWeb制作事業のような事態になりやすい。

ポイントは3つ。

  • 売上計上時点で「いつ、誰から、いくら“現金”が入るか」を線で見る

  • 延滞率が1〜2%悪化すると、毎月の固定費をどのくらい圧迫するか試算しておく

  • 自社請求にするなら、収納・督促を担当する人件費を“割賦手数料のコスト”として必ず見込む

信販は手数料が高く見えても、「キャッシュフローの保険料」として考えると、少人数事業にはむしろ安いケースが多い。

プライメックス・トリプルクラウン・FCパートナーズ・クラウド系のKIND OF SERVICE比較

具体的なサービス名で混乱しがちなので、タイプ別の役割イメージだけ押さえておく。

類型 代表例(公知の例) 位置付けイメージ 向いている事業像
保証付き自社割賦系 プライメックス系、トリプルクラウン系 未収部分を一定割合保証してくれる“保険+回収代行” 高額エステ・美容医療で信販NG客も拾いたい店舗
集金代行・債権買取系 FCパートナーズ系 債権を買取または集金を代行する“キャッシュ化装置” Web制作・コンサルの中小事業で請求を外に出したい層
クラウド自社割賦システム 各種クラウド事業者 電子契約・口座振替・カード決済を束ねる“インフラ” スクール・教育系で件数は多いが単価中程度の事業

ここで大事なのは、商品名から選ばないことだ。

  • 自社は債権を持ち続けたいのか

  • 回収リスクのどこまでを外に出したいのか

  • 信販NG客をどこまで許容するのか

この3点を先に決めてから、「保証型」「買取型」「クラウド型」の順に当てはめていくと、ペルソナ1〜3それぞれでブレないSCHEMATICを組みやすくなる。

「収益アップ」と「回収地獄」は紙一重|自社割賦のリアルなメリットと限界

「割賦システムを入れた瞬間から売上がブーストする」──この幻想を崩せるかどうかで、あなたの事業は“安定キャッシュ機械”にも“未収金製造機”にも変わります。

割賦手数料を自社収益にするシミュレーションと、見落とされるイニシャルコスト

自社割賦の一番の甘い誘惑は「カード会社に払っていた手数料を、自社の収益にできる」という点です。ところが、表面の%だけ見て飛びつくと足元をすくわれます。

【前提条件の一例】
・単価30万円のWeb制作
・月間契約件数10件
・分割10回払い、信販手数料8%相当
・自社割賦の想定「割賦手数料」10%を上乗せ

この前提で「数字がどう動くか」をざっくり置き換えると、財布レベルでは次のような感覚になります。

項目 信販利用 自社割賦
割賦手数料の行き先 信販会社 自社(表面上は収益)
入金タイミング 原則一括入金に近い 分割で徐々に入金
未収・延滞リスク 信販が負担 自社が直接被弾
法務・督促コスト ほぼ不要 自社orBPOに丸乗り

「手数料10%=粗利アップ」と考えがちですが、実務では次のイニシャル・ランニングが重くのしかかります。

  • 電子契約・割賦管理システムの月額費用

  • 債権管理担当の人件費(督促・和解・解約処理)

  • 特定商取引法・割賦販売法に沿った契約書・説明資料の整備

  • 弁護士・司法書士へのスポット相談費用

手数料で増えたはずの「見かけの利益」が、これらのコストと延滞分で食い尽くされる構造かどうかを、導入前に必ずシミュレーションすべきです。

月間延滞率が数%ズレるだけでキャッシュが詰むフローを数字で確認

現場で一番“効く”のは、延滞率を現金に直すイメージです。

【同じ前提でのシンプルなイメージ】

  • 月間売上(契約ベース):30万円×10件=300万円

  • 10回払いなので、毎月の予定入金:300万円÷10=30万円

  • 延滞率3%→未入金0.9万円

  • 延滞率10%→未入金3万円

「たった7%の差」で済ませると危険です。未収金は累積するからです。延滞10%が半年続くと、理論上は次のような“見えない在庫”が溜まります。

期間 延滞率 累積未収金のイメージ
1か月目 10% 3万円
3か月目 10% 約9万円
6か月目 10% 約18万円

単価の高いスクール・美容医療・Web制作では、この「未収金」が簡単に月商の2〜3割に達します。
信販NG客を中心に自社割賦へ流すと、延滞率が“業界平均+数%”どころか、倍近くまで跳ねるケースも少なくありません。

ポイントは、売上より「入金サイクルと延滞率」を毎月モニタリングしないと、気付いたときには銀行残高だけがスカスカ、という状態になりやすい点です。

BPOや代行業者を“後から足すと高くつく”パターン

未収金が膨らんだ店舗ほど、「回収代行サービスを追加すればなんとかなる」と考えがちですが、多くの場合は次のような“逆転現象”が起きます。

タイミング ありがちな判断 実際に起きること
導入前 「まずは自社だけでやってみる」 与信・契約スキームが甘い設計でスタート
3〜6か月後 未収金が膨らみBPOを検討 すでに溜まった債権の回収率が低い
BPO導入後 「手数料高いが仕方ない」と契約 割賦手数料+BPOコストで信販以上のコスト構造に

特に、エステ・美容系では、感情的なクレームと法的な中途解約が絡み、単なる「電話督促の外注」では処理しきれません。BPO側もリスクが高い案件には高い手数料を設定します。

導入支援の現場で見ていると、成功している事業は次の順番を守っています。

  • どの業務を自社で持ち、どこから外に出すかを先に設計

  • 延滞率のシミュレーションをし、許容できるコスト上限を決める

  • その範囲でBPOや保証サービスを組み合わせてSCHEMATICを作る

「売上アップ装置」として自社割賦を眺めるのではなく、「クレジット・債権管理業務を自社で持つ覚悟があるか」を冷静に判定することが、回収地獄を避ける最初のゲートになります。

導入支援の現場で分かった「この事業には自社割賦を勧めない」共通点

「自社割賦を入れたら売上が一気に跳ねるはずだ」
そう思って相談に来た事業ほど、与信設計を冷静に見ると“やった瞬間に資金繰り地獄コース”になっている。導入支援の現場で何十社も見てきた中で、「ここは止めた方がいい」と判断するパターンはかなりハッキリしている。

自社割賦を勧めない事業の典型パターンを整理すると、次の3つに集約される。

共通点 具体的なサイン 何が危ないか
法規制リスク高 特商法グレー、長期契約多い 返金・クーリングオフで未収金爆発
顧客属性が弱い 信販承認率が2〜3割台 延滞率が想定より数倍に跳ねる
回収体制がない 収納・督促担当ゼロ 社長と現場が督促で燃え尽きる

特商法リスクが高い店舗と、クレジット属性の悪い顧客が多い業種の赤信号

長期コース・高額パッケージを扱うスクールやエステは、もともと特定商取引法と割賦販売法の“ど真ん中”にいる。ここで赤信号になるのは次のような店舗だ。

  • 口頭説明中心で、重要事項説明書が整備されていない

  • 中途解約・返金ルールを「業界の慣習」で運用している

  • クーリングオフの説明を、電子契約システム任せにしている

この状態で信販に断られ、「じゃあ自社で分割契約すればいいですよね」と動くと、CASE C型のトラブルが起きやすい。
クラウドの割賦システムだけ入れても、特商法上の説明プロセスが抜けていれば契約自体が無効主張される。その瞬間、未収金は「法的に取り立てが難しい債権」に化ける。

さらに、信販審査に通らない顧客が多い業種・チャネルにも注意が必要だ。

  • 飛び込み営業主体のWeb制作・コンサル

  • 割引やキャンペーンで一気に契約を詰めるスクール

  • SNS広告から“今すぐ系”の申込が集中する美容系店舗

こうした事業は、統計的にクレジット属性の弱い層の比率が高くなりがちだ。信販の承認率が2〜3割しか出ていないのに、その全員を自社割賦で拾おうとする構造は、延滞率10%超えを覚悟するレベルのリスクになる。

社内に収納・督促・相談窓口の業務を切り出せない事業の危うさ

自社割賦は「売上の入口」だけでなく、「お金を最後まで回収しきる出口の業務」を丸ごと自社に戻すスキームだ。ここを甘く見ている事業は、ほぼ確実に詰む。

導入支援でヒアリングすると、危ない会社は次のフレーズをよく口にする。

  • 「請求はシステムが自動でやってくれますよね?」

  • 「督促はできればやりたくないので、メールで流すくらいで…」

  • 「スタッフは全員セールスで手一杯で、窓口を増やす余裕がない」

現場で実際に起きているのは、こんな構図だ。

業務 信販利用時 自社割賦に切り替えた後
請求書発行 信販会社 自社
口座振替・カード請求 信販会社 システム設定を含め自社
延滞連絡 信販会社 電話・メールを自社で実行
苦情・相談窓口 信販会社が一次受け 店舗・事業者が一次受け

社内に収納・督促・相談対応を担う専門ラインを切り出せない事業は、次のような「静かな崩壊パターン」に陥る。

  • 営業スタッフが督促電話を兼務し、メンタル疲弊

  • クレーム対応が個人LINE・店舗携帯にバラバラに着信

  • 社長の元に「払えない」「解約したい」が直接来て、通常業務がストップ

結果として、半年後には「BPO業者や保証会社を後付けで検討する」逆流パターンに入り、当初見込んだ割賦手数料のメリットが吹き飛ぶ

「安定」より短期のSALESアップだけを追うと起きる逆効果

自社割賦を勧めない最後の共通点は、意思決定の軸が「安定」ではなく「今月・来月の売上」だけに振り切れている事業だ。

相談の場で、次のような質問しか出てこない時は、かなり危険信号が強い。

  • 「このサービスを入れたら売上は何%増えますか?」

  • 「イニシャル0円ならすぐ始めたいです」

  • 「信販より何%手数が得になりますか?」

売上と手数料だけを追いかけると見落としやすいのが、延滞率数%のブレがキャッシュフローに与えるインパクトだ。
例えば、月商500万円・平均分割10回の事業で、延滞率が2%から6%にズレるだけで、3〜4カ月後には「未収金が月商の30%を超える」構造が普通に起きる。CASE AのWeb制作会社のように、請求は立っているのに現金が残らない状態だ。

短期のSALESアップを優先する事業は、次の3点を軽視しがちだ。

  • 与信ルール(どこまでの属性を自社割賦で受けるか)

  • 解約・返金ポリシー(どこまで応じるかの線引き)

  • 収納・督促のKPI(延滞率・回収率のモニタリング)

この3つを設計せずに自社割賦を走らせると、「売上は伸びたのに、手元現金が減る」という逆転現象が起こる。
導入支援の立場から見ると、この3つを一緒に設計できない事業には、自社割賦そのものを勧めない方が長期的には安全だと判断している。

自社割賦か信販か|3タイプのペルソナ別ベストSCHEMATIC診断

「何を入れるか」より前に、「誰が使うか」でスキームは9割決まります。ペルソナ別に、“売上アップ”と“回収地獄”の分かれ目をはっきり線引きしていきます。

ペルソナ1:少人数Web制作・コンサル系が選ぶべき支払いソリューション

従業員5〜20名、単価50〜200万円のWeb制作・コンサルは、信販一本勝負+ピンポイント自社割賦が現実解です。

ポイントは、「信販NG客を全部自社割賦で拾わない」こと。信販NG比率が3割を超えた時点で、未収金が月商の2〜3割に膨らむリスクゾーンに入ります(CASE Aのように半年で月商30%が未収になる構造)。

おすすめ構成は次の通り。

  • メイン: クレジット・信販契約(回収と与信を外部化)

  • サブ: 取引実績のある法人・紹介客だけを対象に、少額・短期の自社割賦

  • 避ける: フルスクラッチの自社システム導入(業務負荷>手数収益になりやすい)

自社割賦に踏み込むなら、最低でも「延滞率5%までは自社収納で耐えられるか」を、キャッシュフローで試算しておくべきです。

ペルソナ2:エステ・美容クリニックが保証付き自社割賦を使うときの条件

エステ・美容医療はクレジット属性のばらつきが大きく、特商法リスクも高い業種です。ここでの肝は「保証付き自社割賦=魔法の保険」と誤解しないこと。

トリプルクラウンやFCパートナーズ型の保証サービスは、債権と回収リスクを保証会社に移せる一方で、「クレーム窓口」「中途解約ルール」を自社が握ったままにすると、CASE Bのように責任の押し付け合いが起きます。

導入条件は3つに絞れます。

  • 高額コースは保証付き自社割賦+信販、低額は即時決済に切り分け

  • 事前に「店舗窓口で受けるクレーム」と「保証会社へ回す案件」を文書で線引き

  • 特定商取引法の説明トーク・チェックボックスを、Tablet Entryに必ず組み込む

これができないなら、無理に自社割賦へ行かず、信販と都度払いの磨き込みを優先した方が安全です。

ペルソナ3:スクール・教育系がクラウドサービスINSTALLMENTを導入する前に見るチェックリスト

スクール・教育系がクラウド型割賦システムを入れる時に起きがちなのが、CASE Cのような「特商法の中途解約ルール誤認+返金トラブル量産」です。システムより先に、ルールと業務を固める必要があります。

導入前に、次のチェックは必須です。

  • コース期間と分割回数の関係を、割販法・特商法の専門家に確認したか

  • 休学・退学・途中解約のパターンごとに、返金計算ロジックを文章化したか

  • クラウドサービスの従量課金が「利用件数<最低保証」で赤字にならないか

クラウドINSTALLMENTは便利ですが、「契約オペレーションは自社」のままです。自社業務を変える覚悟が持てない段階なら、信販とカード決済を整える方が、お財布へのダメージは小さいケースが多くなります。

ペルソナ 相性が良いメイン手段 自社割賦の位置づけ 要注意ポイント
Web制作・コンサル 信販・クレジット 信頼できる一部顧客向けに限定 信販NG全取りで未収金が膨張
エステ・美容 保証付き自社割賦+信販 高額コース中心 クレーム窓口と責任分界の不備
スクール・教育 信販+カード決済 仕組みを作れる体制が整ってから 中途解約・返金ロジックの欠落

同じ「自社割賦導入支援」でも、事業モデルごとに正解はまったく違います。ペルソナに合わないスキームを入れれば、売上より先に、回収とクレームで現場がパンクします。

導入支援のプロセスを丸裸にする|相談〜審査〜契約〜入金までのリアルなフロー

「自社割賦を入れたいんですけど、まず何をすればいいですか?」
ここから先は、“営業トーク”ではなく“審査される側”の世界です。流れを知らずに突っ込むと、信販に落ちたのと同じ理由で自社割賦も詰まります。

自社割賦・信販・保証付き・クラウドサービス、どのスキームでも、実務のプロセスはほぼこの順番で進みます。

  1. 相談・ヒアリング(CONTACT)
  2. 加盟店審査・スキーム設計
  3. 契約締結・マニュアル整備
  4. 運用開始〜90日目の“与信の答え合わせ”

最初のCONTACT・ヒアリングで必ず聞かれる「IS WHAT」「KIND OF商品」「現行の入金サイクル」

初回ヒアリングは、ほぼ“健康診断”です。ここで嘘や粉飾をすると、そのまま与信設計ミスに直結します。

ヒアリングで必ず聞かれるポイントを整理すると、こうなります。

  • IS WHAT:事業の正体

    • どんなビジネスモデルか(Web制作なのか、物販なのか、スクールなのか)
    • 顧客単価・契約期間・解約条件(特商法との関係を確認)
  • KIND OF商品:商品設計

    • 一括と割賦の比率
    • 前受金か役務提供後の請求か
  • 現行の入金サイクル:キャッシュの血流

    • 入金サイト(即日・30日・60日)
    • 未収率・延滞率の実績
    • クレジット・口座振替・請求書の構成

ここでよくある“危ない回答”は、「未収はほとんどありません」「クレームもほぼゼロです」と即答するパターンです。
信販審査に落ちている時点で、商品内容か顧客層か販売方法に“何か”があると見られています。そこを言語化しないまま自社割賦に進むと、半年後に未収金が月商の30%を超えるCASE Aのルートに乗ります。

審査と加盟店契約で落ちやすいBUSINESSの特徴と改善ポイント

加盟店審査で見られているのは、「この会社に割賦を任せて大丈夫か」という一点です。情ではなく、構造を見られます。

代表的な“落ちやすい特徴”と“改善の打ち手”をまとめると下記のようになります。

落ちやすい特徴 なぜNGと見なされるか 改善ポイント
高額・長期契約なのに解約・返金ルールが曖昧 特商法・割販法リスクが高く紛争化しやすい 約款・概要書面で中途解約と返金条件を明文化
入金サイト・未収率の数字を把握していない 自社の回収リスク管理ができていないと判断 過去6〜12か月分の入金データを集計して提出
回収・督促を誰がやるか決めていない 業務フロー不在=延滞率上昇の予兆 収納・督促・相談窓口の担当とマニュアルを定義
クレジット属性の悪い顧客が大半なのを隠す 与信設計が現実離れし、保証会社も組めない 属性の分布を正直に共有し、割賦対象を絞る設計
売上UPだけを強調しリスク説明を嫌がる 顧客への重要事項説明を軽視する体質と判断 特商法説明フローを事前に設計し、教育計画を提示

審査側は、「この店舗にシステムや保証を提供した結果、自分たちが炎上しないか」を見ています。
CASE Bのように、クレーム窓口を整備していないエステ店舗に保証付き自社割賦を載せると、保証会社との“責任なすりつけ合い”が発生しやすいことが現場では知られています。

システム開始後90日で見える「与信設計ミス」とそのリカバリー

運用開始から90日経つと、自社割賦の“本当の顔”が出ます。
このタイミングで見るべき数字は、売上ではなく延滞率と未収残高の推移です。

90日でよく浮き彫りになるミスは、次の3つです。

  • 信販NG客をほぼ全員、自社割賦に流している

    → 延滞率が想定の2〜3倍に跳ね上がり、回収担当者が疲弊

  • 手数料を惜しんで保証を付けなかった

    → 未収残が月商の20〜30%に達し、広告費と人件費を圧迫

  • Tablet型電子契約を入れただけで、特商法の説明プロセスを省略

    → 解約時に「説明を受けていない」と無効主張が相次ぐ(CASE Cパターン)

ここからのリカバリーは、「頑張る」ではなく「設計を変える」です。

  • 対象顧客の見直し

    • 信販NGでも、延滞実績がない層を優先
    • 高リスク属性には頭金や分割回数上限を設定
  • スキームの再配分

    • 高額案件は信販・保証付きに戻す
    • 自社割賦はリピート客や紹介客に限定
  • オペレーション強化

    • 督促フローを3段階(自社→ソフトBPO→法的対応)に切り分ける
    • クレーム窓口を一本化し、担当者のメンタルケアも組み込む

月間延滞率が数ポイントズレるだけで、手元のキャッシュは一気に細ります。
自社割賦の導入支援は、「システム導入」ではなく「90日後の数字を前提に、最初から逆算して設計する仕事」と捉えると、回収地獄ルートからかなり距離を取れます。

「システムを入れたから安心」は幻想|Tablet Entryやクラウドだけでは守れないもの

「Tabletでサインもらってるから、うちは大丈夫ですよね?」
現場でこの一言が出たとき、その事業はすでに半歩アウトに踏み込んでいることが多いです。自社割賦はシステムより“説明と運用”が本体です。

電子契約と特定商取引法:説明プロセスを省いた契約が無効主張されるケース

自社割賦のTablet Entryは、紙のクレジット契約を電子化しただけではありません。特定商取引法や割賦販売法の「説明義務」をどう埋めるかが勝負です。

よくある危険パターンはこの流れです。

  • スタッフ「ここにサインお願いします(Tabletを差し出す)」

  • 顧客「はい(所要時間30秒)」

  • 後日トラブル時「説明を受けていないので契約は無効だと思う」

ここで争点になるのは“何をどう説明したか”の証拠です。
「スクロールしてチェック入れてもらっているからOK」は、法的にはかなり弱い立場になります。

電子契約で最低限、運用として押さえたいポイントは次の通りです。

  • 特商法上のクーリングオフ・中途解約・割賦条件を、口頭と画面両方で説明

  • 説明済チェックを「お客様本人の操作」で残す

  • 説明マニュアルを業務フローとして保存し、スタッフごとの差をなくす

  • 苦情対応の窓口・連絡先を画面とメール双方で明示

「サインしてもらう行為」ではなく「説明プロセスと証跡」が契約の土台になります。ここを自社オペレーションに落とし込めない事業は、システム導入支援より先に、説明フローの設計支援を優先した方が安全です。

クラウドサービス課金制の落とし穴:利用件数が伸びない店舗が陥る赤字構造

次に、自社割賦クラウドサービスの「従量課金モデル」の落とし穴です。
導入前に聞こえてくるのは、こんな甘い響きのセールストークです。

  • 「初期費用ゼロ、1件あたりの手数料だけ」

  • 「月額固定費はほぼかかりません」

  • 「少額からスタートできます」

ところが、実際のキャッシュフローは次のように傾きやすいです。

項目 導入前に見落としがちなポイント
1件あたりシステム手数 利用件数が少ないと1件単価が割高になりやすい
社内入力・確認業務 社員の工数が増え、人件費が“隠れコスト”化
延滞・取消処理 1件あたりの対応時間が読みにくく、利益を侵食
サポートへの問い合わせ クラウド側・自社側で責任分界が曖昧になりがち

特にスクール・美容・Web制作のように月間件数が20〜50件程度の中小事業だと、「システム手数+人件費」を差し引いたあとに、割賦手数料として手元に残る財布のお金が想定の半分以下だった、というケースも珍しくありません。

クラウドサービスは悪ではありませんが、

  • 「何件から黒字化ラインか」

  • 「キャンセル・解約が何%を超えたら赤字転落か」

を、導入前にざっくりでもシミュレーションしておくことが、支援の現場では必須になっています。

自社(IN HOUSE)オペレーションを変えない限り、どのシステムも機能しない理由

最後に、自社割賦導入支援で一番伝えたいのはここです。

システムは“今の業務の拡声器”でしかないという事実です。

  • 説明が曖昧な店舗がTabletを入れると、「説明していない契約」を高速で量産します

  • 督促・収納の体制がない会社がクラウドを入れると、「延滞リストだけがきれいに並ぶ画面」が完成します

  • 特商法リスクを理解していない事業が自社割賦を始めると、「解約電話が集中するコールセンター」が必要になります

導入前に最低限、IN HOUSEで整理すべき業務は次の3つです。

  • 説明スクリプトと同意取得のプロセス設計

  • 収納・督促・相談窓口を誰がどこまで行うかの役割分担

  • 信販・保証付き・自社割賦の切り替え基準(属性・金額・期間)を明文化

ここまで決めてからシステムを選ぶと、「自社に合わないサービスに振り回される」リスクが一気に下がります。
自社割賦は、クレジット会社任せにしていた信用管理と回収業務を“自社の事業として引き受ける”決断です。Tabletやクラウドは、その覚悟を形にする道具にすぎません。

相談メールとLINEの“再現会話”から見る、導入前に潰しておくべき勘違い

「自社割賦を入れたら、あとはシステムが勝手に売上を伸ばしてくれる」
現場でこの期待値が立ち上がった瞬間から、回収地獄へのカウントダウンが始まります。

ここでは、実際の相談メール・LINEで毎日のように飛んでくる“勘違いワード”を再現しながら、どこで考え方を修正すべきかを整理します。

「自社割賦を入れたら売上は何%アップしますか?」という質問への本音回答

よくあるDM

「信販の審査に通らないお客様が多いので、自社割賦サービスを導入したら売上何%アップしますか?」

プロの答えはひとことで言うと「%ではなく“残る現金”で見てください」です。

自社割賦導入前後を、現場で実際に作るシミュレーションに近い形で並べると、論点が一気にクリアになります。

視点 信販メイン 自社割賦メイン
成約率 低め 上がりやすい
手数料 高め(信販会社へ) 自社に残るが与信次第
入金タイミング 早い・安定 遅い・ブレ大きい
必要業務 申込・説明中心 収納・督促・相談窓口が丸ごと自社

売上アップ率だけを追うと、以下が見落とされがちです。

  • 月商の数%の延滞が出るだけで、財布の中身(キャッシュフロー)が一気に目減りする

  • 収納・督促・クレーム対応という新しい業務が自社に常駐する

  • クレジット属性の悪い顧客が増えるほど、未収金が雪だるまになる

「売上は15%伸びたけれど、手元現金はほとんど増えていない」という事業は珍しくありません。
質問を変えるなら「未収金を月商の何%以内に抑えられる設計になりますか?」が正解に近い問いです。

「保証があるなら回収リスクはゼロですよね?」に対するプロの視点

保証付き自社割賦サービスの問い合わせで、ほぼテンプレのように出てくる一文があります。

「保証会社さんがつくなら、回収リスクは実質ゼロって理解で合っていますか?」

ここで押さえておくべきポイントは3つです。

  • 保証対象は“割賦債権の一部”であって、クレーム・解約リスクまではカバーしていない

  • 特定商取引法に沿った契約・クーリングオフ説明をミスると、保証会社も支払い拒否できる

  • エステの実例では、クレーム窓口が未整備のまま保証付きスキームだけ導入し、

    「店舗に言え」「いや保証会社に言え」という責任の押し付け合いで窓口が炎上したケースがある

保証会社が肩代わりしてくれるのは、「法律的に有効で、要件を満たした契約から生じた債権」の範囲です。
小さな説明漏れや契約書の不備があると、そこから漏れた分はそのまま自社の生身のリスクになります。

保証=リスクゼロではなく、
「リスクの種類を“延滞”から“法務・オペレーション”にシフトさせる仕組み」くらいの認識が現実に近いです。

「イニシャルコスト0円サービス」の裏にある長期負担構造

最後に、クラウド型の自社割賦システムで頻発する相談です。

「初期費用0円でスタートできる会社があったのですが、そちらの方がお得ですよね?」

ここで必ず確認してほしいのは、月額と件数単価、そして“赤字ラインの件数”です。

項目 イニシャル0円型 イニシャル有償+低ランニング型
初期構築 0円 数十万円
月額固定 高めになりやすい 低〜中程度
1件当たり課金 高単価の傾向 低単価の傾向
少件数期 赤字化しやすい 赤字幅は小さい
大量件数期 トータル手数料が膨らみやすい スケールしやすい

スクール業界で実際にあったパターンでは、
導入後も成約件数が伸びず「毎月のクラウド課金だけが出ていく」状態が半年以上続き、結果として

  • 自社割賦用のシステム費

  • 既存のクレジット決済手数料

  • 社内オペレーション増加による人件費

が三重で乗って、売上は横ばいなのに固定費だけ増える構造になっていました。

初期費用0円は、「解約までの合計支払い額が見えにくくなる代わりに、とっつきやすくしている料金設計」と理解しておくと安全です。
導入前に最低でも、

  • 1年・3年で「合計いくら払うのか」

  • 何件/月を切ると赤字になるのか

  • 成約が読めない初期6カ月をどう耐えるか

を、自社の数字でラフに書き出してみてください。
自社割賦の導入支援は、「売上アップの夢」ではなく「キャッシュと業務の現実」から逆算した会社ほど、長く安定しやすくなります。

最後に|自社割賦導入を成功させるための3つのSUCCESSルール

「自社割賦=売上アップ装置」とだけ捉えた瞬間から、回収地獄へのカウントダウンが始まります。ここだけは外したくない“3つの設計ルール”をまとめます。

ルール1:SCHEMATICを“売上”ではなく“信用と回収”から組み立てる

自社割賦は「売る仕組み」ではなく、「信用を前借りする契約スキーム」です。
プロが最初に見るのは売上予測ではなく、未収金と延滞率のシミュレーションです。

良いSCHEMATICと危険SCHEMATICの違いを、ざっくり整理するとこうなります。

視点 良いSCHEMATIC 危険SCHEMATIC
顧客選別 信販通過層+一部のみ自社割賦 信販NG客を全て自社割賦
与信ルール 金額・属性ごとに制限 現場裁量でほぼ無制限
指標 延滞率・解約率を毎月確認 売上だけを追い続ける

半年で未収金が月商の3割を超えたWeb制作会社のように、「売れた数=成功」と見ていると、気づいたときには現金が枯れます。
最初に設計すべきは、どの属性までを割賦で受けるか・いつ止めるかという「信用ライン」です。

ルール2:自社でやる業務と外部に出す業務を最初に線引きする

エステやスクールの現場で炎上しがちなのが、誰がどこまで回収・相談・クレームを担当するかの線引き不足です。保証付きサービスを入れても、「そこは保証会社の対応です」「それは店舗の責任です」が曖昧なほど揉めます。

導入前に、最低限この仕分けを紙に落としておきます。

  • 自社がやる業務

    • 初回説明(特商法・割賦条件)
    • 契約書・電子契約の取得
    • 初期のフォロー連絡・満足度確認
  • 外部へ出す候補業務

    • 毎月の請求業務(口座振替・クレジット)
    • 滞納2回目以降の督促
    • 法的措置が絡む回収プロセス

社内に収納・督促・相談窓口を1人分も切り出せない事業は、フル自社割賦ではなく、信販+一部保証付きサービスなど“外部クレジット”の比率を高めた方が安全です。

ルール3:資料とFAQだけで決めず、必ず複数社に質問・比較する

自社割賦サービスの資料は、どこも「手数料」「導入メリット」「当社システムの強み」をきれいに並べています。そこだけで判断すると、イニシャルコスト0円なのに月額課金が重くのしかかるクラウド型や、保証範囲が想像より狭い保証会社スキームを選びがちです。

比較するときは、必ずこの質問をぶつけてください。

  • 信販NG客のうち、どの条件までなら受け入れを推奨するか

  • 延滞率が想定より2〜3%悪化した場合の、収益インパクトの試算が出せるか

  • 特定商取引法の中途解約時、返金フローと説明義務は誰がどこまで負うのか

  • BPOや回収代行を後から足した場合、総手数料はどの水準になるか

このレベルの質問に具体的な数字とプロセスで答えられる会社が、導入支援のパートナー候補です。
「自社割賦 導入支援」は、システム選びではなく、信用設計と回収オペレーションの共同設計プロジェクトだと捉えてください。その視点さえ外さなければ、売上アップとキャッシュの安定を同時に取りにいけます。

執筆者紹介

主要領域は、自社割賦・信販スキームの設計と、中小事業の入金・回収オペレーション整備です。本記事では、導入支援の現場で共有されている一般論や典型パターンを整理し、Web制作・美容・スクール等の少人数事業が、回収リスクを抑えながら現実的なスキームを選べるよう「誰が債権と業務を持つか」という実務基準で解説しています。